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ザクセン州でなぜ暴動が起きるか

 ドイツのザクセン州ケムニッツ市(Chemnitz)で先週末から27日にかけ、極右過激派、ネオナチ、フーリガン(Kaotic Chemnitz)が外国人、難民・移民排斥を訴え、路上で外国人を襲撃するなど暴動に走った。彼らは「メルケル退陣せよ」、「難民殺到を止めろ」と書かれたプラカードを掲げ、ヒトラーを賛美し、ビンや花火玉を極左活動グループや警察部隊に向けて投げた。

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独ザクセン州「2017年憲法擁護報告書」

 警察側の発表では、27日夜には極右過激派ら約5000人から6000人が市内に繰りだす一方、約1500人の極左グループが抗議デモを行った。警察側は600人を出動させ、極右派と極左グループの衝突を回避させるため放水車を動員して治安の維持にあたった。少なくとも約20人が負傷した。

 ことの発端は、35歳のドイツ人がイラン人(23歳)とイラク人(22歳)にナイフで殺害されたことで、それに激怒した極右過激派、ネオナチ・グループ、フーリガンが市内で外国人を襲撃するなどの暴動を起こした。

 ザクセン州は旧東独に属し、ケムニッツ市は同州3番目の都市で人口約25万人だ。同州では外国人や移民、難民の割合はドイツの他の州より低くいが、外国人排斥、移民・難民排斥の傾向が強い。その背後には、東西両ドイツが統合された後も旧東独の生活水準が旧西独より低く、国民には不満が溜まる中、外国人、移民が殺到してきたことから、その不満が外国人や難民に向けられてきたともいえる。

 極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)のマルクス・フローンマイヤー連邦議員は、「国は国民を守るべき義務があるが、それができないのならば、自身で守る以外にない。ナイフを振りかざす難民を阻止すべきだ」というコメントを発信し、極右過激派の外国人襲撃、リンチを擁護するとも受け取れる声明を出している。

 それに対し、メルケル首相は、「路上で外国人を襲撃することは法治国家として絶対に認められない」と指摘、極右、ネオナチストたちの外国人襲撃を厳しく批判した。

 ザクセン州のミヒャエル・クレッチマー首相は28日、「わが州は暴動に対応できる能力を有している」と強調し、同州の対応がまずかったという批判に反論したが、「同州内の極右過激派の動向を完全には掌握できずに、対応が遅れた」、「ドイツ全土から極右活動家たちがケムニッツに集合してきていた」と、同州治安関係者の失策を指摘する声が強い。

 ザクセン州は久しく極右過激派の拠点とみなされてきた。ネオナチ政党「ドイツ国家民主党」(NPD)は2004年から14年の間、州議会に議席を有していた。現在はAfDの躍進でNPDは後退。同州では過去、ハイデナウ市、ドレスデン市、そして今回のケムニッツ市で極右過激派の暴動が起きている。

 同州憲法擁護報告書によると、2017年、同州で約2600件の極右過激派による不祥事が発生し、1959件は犯行を行っている。ケムニッツ市には約150人から200人の極右過激派がいると推定されている。彼らはソーシャルネットワークを通じて他の極右派と連携を深め、その動員力を強化している。彼らはフーリガンだけではなく、国民からも支持を受けているという。

「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」(Pegida運動)が起きた時、政治家たちがその運動の深刻さを正しく評価できなかったことが、同州の極右過激派の台頭を許すことになった、という意見が聞かれる。

 例えば、Pegidaはザクセン州のドレスデンでその活動を開始し、ネオ・テロ細胞NSUはケムニッツ市とツヴィッカウ市で拠点を構築してきた。ケムニッツ市では「民族社会主義統一ケムニッツ」(NSC)が活動を禁止されるまで同市を極右派の拠点としてきた。ちなみに、複数の世論調査によると、ザクセン州では現在、AfDがキリスト教民主同盟(CDU)に次いで第2党に躍進する勢いを見せている。

 ドイツで2015年、100万人を超える難民、移民が殺到して以来、難民・移民問題が大きな政治・社会問題となってきた。サッカーのドイツ代表の一人、トルコ系移民出身のMFメスト・エジル選手が先月22日、ドイツ代表を辞任すると表明し、その理由として「独サッカー連盟(DFB)内の人種差別主義」を挙げたことが明らかになると、DFBばかりか、ベルリンの政界にも大きな波紋を投じたばかりだ。旧東独ザクセン州の極右過激派による暴動は、ドイツ社会が難民・移民問題への対応で分極化してきたことを端的に示している。

(ウィーン在住)

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