仕事がややパニック気味ですが、ちょっと息抜き(^^)
この一年近く凄い勢いで、Channa marulioides(マルリオイデス)と Channa marulius(マルリウス)のバリエーションを徹底的に輸入し、非常に多数のデータをかき集めてきました。 その間にイザベラが公認種として発表されたりもしましたが、まだまだ曖昧な点は沢山残っています。 一方、はっきりしてきた事も沢山あります。 スネークヘッドに関しては、日本の流通や雑誌の中身がめちゃくちゃなので、何から調べるのか良いのか、非常に悩ましかったのですが、マルリオイデスに関してはかなり全体的なバリエーションが見えてきました。 まず、日本でえげつない価格だった和名メラノプテルスは、ボルネオの中カリマンタン州のマルリオイデスのバリエーションで間違いはないです。 メラノプテルスもメラノプテラも全くの同義語で語尾のrus(男性形) ra(女性形)の違いであって、同じものを指しています。 ここから説明していかないといけない日本ってどうなん?ってのが悲しい次元の日本なのですけど。 学術的にはmelanoptera で統一されてますので、以後メラノプテラとします。 そのメラノプテラですが、日本ではカプアス上流で採集されていたとされてましたが、これは大嘘で、カプアス(西カリマンタン州)にはこのタイプはいませんでした。 私が調べ輸入するまでは、余りにも高額な魚だし、アイデンディティも全く疑ってなかったのですが、いざ調べたらぜーんぶでたらめでしたね。 それではメラノプテラとして記載された魚はどこにいるかと言うと、実はカプアス川の最下流域のポンティアナです。 実際このエリアからの魚を多数見てきましたが、カプアス川は下流から最上流のプトゥシバウまで、魚は全く同じだったのです。 特にブラックウォーターのディープなエリアは赤に近い、深いオレンジ色で、ヒレは真っ黒。 下流産は黄色が鮮やかで鰭も黒から黄色までいます。虎のような個体は、下流に多いです。 個体差はありますが、バンドは6-11本前後までまちまちですが、平均多めです。 マーキング(飾り)は、側線を含む鱗から下に2-3枚下にバンドを覆うように入るのが特徴です。 スバリこんな感じ↓ 記載内容からすると、この個体群がマルリオイデスでありメラノプテラなのです。 日本でこれまでメラノプとしていた超高級魚は、中カリマンタン州の固有のマルリオイデスのバリエーションで、大きな特徴としては、マーキングがランダムに入ること、複数のバンドは成長と共にメラニンが増えて、やがて5-6本の太いバンドに変化します。最後尾のバンドは真っ黒になり胴の1/5は真っ黒になる事。 これです↓ この中カリマンタン型のバリエーションは、尾のアイスポットが消える時期が、カプアス川のバリエーションよりもずっと遅いので、メラノプテラの記載の定義から大きく異なってきます。 最終的にはブラックフィンですか、そのブラックフィンはどの国にもいますので、種の特徴としては厳しいかな。 ペヤングはこの中カリマンタン型の超ブラックウォーターに住むスーパーレッドタイプのマルリオイデスの現地名で、中カリマンタン州のディープなブラックウォーター水域から外れると、同じタイプでも、黄色やグレーのカラーバリエーションに変わります。 過去の日本の流通個体で色のない個体もよくいたのはそういう事。 中カリマンタン型のマルリオイデスのマーキングは30cmあたりで目立ってきますが、カプアス型と違い体のあちこちランダムに出てくるので、このマーキング配置の違いで明確にバリエーションがわかります。 マーキングは側線から下だけでなく、上にも同じくらい出てきます。 30cmの過去の輸入個体の画像です↓ 以下の参照文に、メラノプテラとサンバス川のマルリオイデスについて書かれてますが、メラノプテラはマルリオイデスのシノニムかもしれないと書かれているように、 実際違いがないんですよね。 西カリマンタンゆサンバス川は二箇所あるので、どちかは不明ですが これが春に輸入したサンバス産のマルリオイデス30cm ↓ マーキング薄いのでわかりにくいかもしれませんが、側線から下に入ってます。 サンバスはポンティアより北側のマレーシア領の国境までのエリアです。 もう1つのサンバスはポンティアの下側です。 ちなみに、他の成魚画像を見ると、サンバス産は、カプアス川の個体群と全く同じでした。 マルリオイデスはカプアス川から記載されていて、メラノプテラよりも記載が先になるので、やっぱりマルリオイデスのsynonymとして考えるのが妥当ではないでしょうか。 スマトラ島ももう一つのメラノプテラの記載地になりますが、スマトラにはカラーバリエーションとして、ブルーグレーとイエローの2つ。 マーキングはマレーシアの個体群のように派手になるものから飾り気のないシンプルな個体までいます。 ブルーグレー系のバリエーションは、背鰭や尻ビレの柄がマレーシアの個体群のように入り、インドネシアではこれがメラノプテラでは?としてなんて言われることもありますが、やはり種をこえる違いというには厳しいです。 バンドは、マレーシアとボルネオ個体群の中間かボルネオよりな感じです。 黄色のバリエーションは、ボディ後方の上部側に小さなスポットが入る個体が多いので、このバリエーションの特徴でしょう。 ボルネオにはまだ東カリマンタン型と南カリマンタン型が存在し、最近画像が出てきました。 東カリマンタンにはマルリウスの移入魚がいて、このエリアのマルリオイデスらその魚に少し近い表現なので、なにかしらこのマルリウスの移入魚と関連している可能性も少しあります。 マルリオイデスとマルリウスの近似種とのハイブリッドが最近タイの池で生まれているので十分にありえるわけです。 タイのマルリオイデスは、スラタニ州の中の1ポイントにしか分布していません。よって、バリエーションは見られず、個体差による違いのみです。 どれも綺麗なイエロー系です。 最後にマレーシア半島のマルリオイデス。 非常に沢山のバリエーションが存在するので、とりあえずはトレンガヌを。 最近熱くなっているトレンガヌ産マルリオイデスは、正にマレーシアのトーマンブンガの名前の由来とさえ言われており、花のようなマーキングに魅力されるバリエーションです。 また激しいマーキングを持つ雄はキングエンペラーとも表現されます。 トレンガヌ州といっても、広くて生息地はいたるところにあります。 キングエンペラーもしくは、リアルトーマンブンガは、トレンガヌ州の海岸線に近い湿地にいる個体群です。 内陸型はまた表現が異なるので、マレーシアでは、トレンガヌ産を指すのは上記バリエーションに限定されてます。 マレー半島の他のエリアのバリエーションは、他にも少なくとも3-4タイプはいて、 よく流通するマレーシアのロイヤルトーマンはそこに含まれてます。 かなりファンキーなバリエーションがいるのですが、それはなゆくゆく。 高血圧で☆になる前に、この一年間をまとめてみました(笑) 上記文章、画像なパクリはご勘弁してください (参照) seriouslyfish.com C. melanoptera (Bleeker, 1855) was described from the Kapuas River at Pontianak, Indonesian Borneo, and depicted by Bleeker (1877) as a uniformly-coloured fish although Weber and de Beaufort (1922) depicted it as possessing black markings on the flanks. It may represent a juvenile synonym of C. marulioides or a related species with distribution restricted to the Sambas river in West Kalimantan (Kalimantan Barat) province, Indonesian Borneo (Tan & Ng, 2005). |
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