写真家・初沢亜利さんが新作写真集『隣人、それから。38度線の北』を発表した。東京・六本木の山崎文庫にて9月15日まで写真展も開催されている。2016年から2018年にかけて撮影された写真で構成されたこの本は、2012年の『隣人。38度線の北』以来の北朝鮮を撮った作品集である。
『隣人、それから。38度線の北』を見て驚いた。とりわけピョンヤンの街が想像以上に発展しているように感じたからだ。
立ち並ぶ高層ビルに食品があふれる百貨店。世界各国の銘酒が並ぶバーでは人々がくつろぎ、洋菓子店のショーケースには日本のケーキ屋かと見紛うようなお菓子が並ぶ。巨大な廃墟のようだった柳京ホテルは着々と整備が進み、世界有数のホテルを思わせる外観だ。
「ピョンヤンは目に見えて変化しました。市内は高層ビルの建設ラッシュの真っただなか。その様子は、中心部の一歩外から眺めると一目瞭然です。目算で車の量は3倍増えて、日本やドイツの高級車もよく見かけました。外国人が多く訪れることから『北朝鮮のショーウィンドウ』と言われるピョンヤンとはいえ、経済制裁で追い詰められ核開発に予算を使っていたらこんなに余裕があるわけがない。一体何が起きているのか? と驚きました』(初沢)