日本発の夢技術「人工光合成」はここまで来た

太陽光と水からクリーンに「水素」をつくる

光触媒シートを用いた水の分解で、水素と酸素が発生する様子(写真:人工光合成化学プロセス技術研究組合)
人工光合成は、無尽蔵の太陽光エネルギーによって、水と二酸化炭素から水素や有機化合物などを作り出す、夢の技術だ。この夢を実現すべく、産学官連携のもと、実用化を視野に入れた研究開発が行われている。
日本の国家戦略「水素エネルギー」で飛躍するビジネス』の著者・西脇文男氏がその最新事情をレポートする。

植物の「光合成」を人工的に再現

植物の「光合成」は、太陽光エネルギーを使って水を酸素と水素に分解する「明反応」と、生成された水素と大気中の二酸化炭素からデンプン・ブドウ糖などの糖質を合成する「暗反応」の2つの経路を経由する。

『日本の国家戦略「水素エネルギー」で飛躍するビジネス』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「人工光合成」は、植物の光合成と同じ反応を人工的に再現するものだ。

前半の「明反応」では、植物の場合、葉緑素(クロロフィル)が光エネルギーを吸収し、水を水素と酸素に分解する触媒の役割を果たす。人工光合成でこの働きをするのが、酸化チタンの粉末半導体などを使った「光触媒」だ。

後半の「暗反応」では、明反応で生成した水素(正確には水素イオンと電子)と大気中の二酸化炭素を、合成触媒を使ってギ酸(HCOOH)やメタノール(CH3OH)などの有機化合物に合成する。

半世紀前、東京大学大学院生の藤嶋昭氏と指導教官の本多健一助教授(いずれも当時)が、水に浸けた酸化チタンの結晶に紫外光を照射すると、水が分解され水素と酸素が発生することを発見した。

これが「ホンダ・フジシマ効果」と呼ばれる、光触媒に関する歴史的発見だ。以来、光触媒の研究をリードしてきたのは、わが国の研究機関や企業だ。

次ページ実用化するには…
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME734c7ad31227
    石油の価値が激減するね。

    シーレーン防衛が半減するなら、民主主義ブロック経済完成できる。
    up23
    down2
    2018/8/30 08:37
  • NO NAME2a5d30af7829
    いつか人類の生存可能な環境が人類自身の掌の上だけで循環する日がやって来るんだろうか。

    しゅごい。。。
    up15
    down0
    2018/8/30 12:17
  • NO NAME0e3587623560
    かなり期待している。化石燃料頼りだといつかは中国・ロシア・アメリカに食われるのだから。
    up11
    down0
    2018/8/30 14:21
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
値上がり続く学校制服<br>業界の知られざる「体質」

中学校の制服の平均価格はこの10年間で約20%の値上がり。「言い値で価格を上げられる」。ある制服メーカー幹部はそう語る。業者と教員の癒着も残る。旧態依然の構造に迫る。