答えは「
0」です。ありません。全てデジタル装置です。
「手はどうなんだ。生身の体がデジタルなのか」と思う人もいるかも知れませんが、digitalという言葉はラテン語のdigitus(指)に由来するものであり、指折り(あるいは指を立てて)数える手こそが元祖デジタル装置なのです。
いじわるクイズみたいになってしまって恐縮ですが、「アナログ」「デジタル」という言葉本来の定義に従うならこうなります。
そもそも「アナログ」とは、そしてそれと対になる「デジタル」とは何でしょうか。
これは何かの連続した量(長さ、重さ、時間、温度など)をどのように表すかという表現方法の種類です。即ち、連続した量を他の連続した量に置き換えて表すのがアナログ、離散的な量に置き換えて表すのがデジタルです。
「離散的な量」が解り難いかも知れませんが、要は数字のことです。離散的は「とびとびの」「段階的な」「不連続の」と言い換えることができます。例えば整数。0、1、2、3…と1ずつ増えていますが、これが離散的な、とびとびの、連続していない量であることは、定規のcm目盛りを思い浮かべれば理解できると思います。

そして桁をひとつ下げて0.1、0.2、0.3…と増える数字も、増え方が細かくなっても離散的な量であることは、定規のmm目盛りを思い浮かべれば理解できると思います。
つまり、数字で表す以上はどんなに最小単位を細かくしても、離散的な量、デジタルになってしまうのです。逆に言えば、何かの量を数字で表し、数字として管理(計算とか)していればデジタルだと考えれば間違い無いです。
もうひとつ解り易い例を挙げましょう。温度計です。温度は本来連続した量ですが、これをアルコールや水銀などの液柱の高さ(長さ)という別の連続した量に置き換えるのがアナログ温度計、

そして離散的な数値に置き換えるのがデジタル温度計です。

ここまでで、アナログとデジタルが本来どういうものであるかは理解できたと思います。それではここで所謂「アナログゲーム」で扱うパラメータを考えてみましょう。
・ダイスの出目

・カードの枚数やそこに記された数字

・盤上の位置

・キャラクターの能力値

以上で全てではありませんが、主だったものはカバーできている筈です。これらは全て離散的な量、数字であり、そして数字として管理されています。つまりデジタルです。
つまり所謂「アナログゲーム」は、その名に反して本質はデジタルです。
本質がデジタルであるものを「アナログ」と呼ぶことは、果たして適切でしょうか。 コンピュータを介さないもの、物理的実体を伴うもの、人力を要するものなどを「アナログ」と俗称する習慣があることは承知しています。だから「アナログゲーム」という言葉が発生し、受け入れられる土壌があることは理解できます。しかしそれらは言わば
素人の用法です。開発や流通や報道に関わる、所謂業界関係者が「アナログゲーム」という言葉を使うことは
迂闊と言わざるを得ません。業界全体が「この程度か。アナログという言葉の定義も知らないのか」と侮られて、将来の不利益の原因にならないとも限りません。既に使ってしまったものは仕方ありませんが、今からでも、少しずつでも、改めていくべきです。
駄目だ駄目だと言って対案を示さないのは無責任というものです。そこで昔ながらの「
テーブルゲーム」という言葉を使うことを提案します。床の上に直接広げるから「テーブル」じゃないゲーム

もありますが、本質的に間違っている「アナログゲーム」よりは遥かにマシです。
僕のもう一つの専門である「3Dプリンタ」も本来は正しくない(「立体造型機」「ラピッド・プロトタイピング・マシン」が元々の呼び名)のですが、その誤りを正すには余りに広まり過ぎてしまいました(そしてその誤りによって少なからず不利益も被りました)。

だからせめてこっちの方は、手遅れにならないうちに正しておきたい、少なくとも正すことを試みてはおきたいのです。
ここで誤解しないで欲しいのですが、本記事で言いたいのは「アナログゲームという言葉は間違いだ」であって、「ボードゲームやカードゲームはアナログじゃないから駄目だ」ではありません。むしろ本質がデジタルであるお陰で論理的なルールが構築し易くなり、あるものはコンピュータにも容易に移植でき、結果として多種多様なゲームが産まれたし、今も産まれ続けています。所謂「アナログゲーム」は、その名に反して本質がデジタルだからこそここまで繁栄していると言えます。
福笑いは、文句無しにアナログゲームですね。福笑いで扱うパラメータは顔パーツの位置や角度ですが、これらは数値化されることなくそのまま使われています。
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