昭和四十年代の小学三年生という設定の「ちびまる子ちゃん」がお茶の間のテレビに登場したのは一九九〇年、つまり平成二年の一月。いわば平成という時代に愛され続けたキャラクターだった。

　その作者であるさくらももこさんが、平成最後の終戦の日に亡くなっていた。だから、ということでもなかろうが、少し遅れて伝えられた訃報に昭和の記憶がまた一つ、遠ざかっていくような…。

　「現代の子どもが昔より生きにくい時代にいるとは思っていません。どの時代でも時代のつらさはあるし、また楽しさもあると思うのです」と語ったことがある。五十三歳。もっと読みたかった。