昨日セミナーを開催しました。
8月26日 『Scrapbox情報整理術』出版記念セミナー(東京都)
内容をざっと知りたければ、Twitterのハッシュタグを追っていただくのがいちばんいいでしょう。
今回は私を含め、倉下忠憲さん、Tak.さんという3名が登壇してお話ししたのですが、結局、Scrapboxを使うとして、なにに使えばいいのか?ということになるのだろうと思います。
Scrapboxの特徴は、「そこに情報が集中している」という感じをもたらすばかりで、なんとなくもやっとした感じが拭えないという、情報整理ツールにしてはかなり変わった状態をユーザーに残します。
たとえていえば、レシートの山みたいなメモが、どっさりと机に積み上がっているような印象になっていくばかりなのです。
スッキリしないのです。
これは使い込んでいっても解消されないどころか、使い込むほどますますそうなるように思います。
ヒトの脳というものに似ていると思います。
経験を積み、人生を長く生き、知識をたくさん読んだり聞いたりする内に、ますますモヤッとしていって、少しもスッキリしないのです。
だいたい情報整理ツールとして「脳」というのもまた独特です。
検索ヒットはしますが、非常に偏りがありますし、連想で情報を引き出すのは優れていますが、これも文脈にやたらと左右されます。
Scrapboxは脳にちょっと似ています。情報同士を有機的につないでいくことを目指し、アナログに喩えられるところの「整理整頓」はまったくしません。
たとえば、一冊一冊の本のタイトルをいちいち覚えてないのだが、「欲しい本のリスト」が百冊以上ある、といったときには、Evernoteの方が向いています。本のカタログを一覧表示して、「こんな本の中からさらに今一冊選ぶなら?」といった風に、類似、共通項で、リストを並べ、比較・検討・選択をするというのが「整理整頓」の目的です。
Scrapboxでもこれはできますが、それよりもScrapboxは、たとえば整理についてこれまで自分はどんなことを考えてきたんだろう、などといった思考の痕跡検索といった目的に向いています。
こういうのをEvernoteなどでやろうとがんばって、「整理について」などといったタグを付けていっても、タグが煩雑に増えるばかりで、どんなタグを付けていったのか自体を忘れるし、ノートごとにタグを付けていくという作業を「1つ残らず」やりきらなければならないといった意識に責められるので、なかなかうまくいきません。
Scrapboxなら、ノート中に登場したキーワードをタグにすることができるので、Evernoteのようなあえてタグをノートの外から打ち込むという操作より、はるかに「タグについて」のネットワークリンクがやりやすいわけです。
で?
それがなにになるというか?
これは何にでもなると思うのですが、具体的なイメージが湧かない場合には、引用と改善案についてノートを足していくのがいいのではないかと思っています。それについてまた書きます。