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メートル条約(読み)メートルじょうやく(英語表記)International Meter Convention

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

メートル条約
メートルじょうやく
International Meter Convention

メートル法による度量衡標準の国際的統一およびその完成を目指して 1875年5月 20日パリで締結された条約。 14ヵ条の本文と 22ヵ条の付則と6ヵ条の過渡規定から成る。パリに度衡万国中央局を設置すること,国際度量衡委員会国際度量衡総会その他を規定したもの。 1921年の改訂により事業の拡大をはかり,電気,光,温度,時間などの諸単位をも含むことになった。また,60年に電離放射線も加えられた。日本は 1886年に加盟。

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百科事典マイペディアの解説

メートル条約【メートルじょうやく】

メートル法の国際的統一とその完成を目的として1875年パリで締結された条約。1921年一部改正。内容は国際度量衡局,国際度量衡委員会(条約施行の理事機関),国際度量衡総会(条約の議決機関,少なくとも6年に1回パリで開く)の組織・権限,原器に関する事項,条約の加入・脱退,経費の負担など。日本は1885年(明治18年)加盟,1889年原器を交付された。
→関連項目国際度量衡委員会国際度量衡局メートル原器メートル法

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世界大百科事典 第2版の解説

メートルじょうやく【メートル条約】

メートル法を確立するために,国際的な度量衡標準の維持供給機関として国際度量衡局を設立し維持することを取り決めた多国間条約であり,1875年に締結され,1921年に改訂された。 フランスは1795年にメートル法を制定し,99年に標準器を完成したが,その国内での普及は強い抵抗にあい一時的に後退を余儀なくされ,1840年に至ってようやく強制使用の段階に達した。その間メートル法は1816年にイタリア内の州により,21年にベルギーを含むオランダ王国により採用され,また32年にはK.F.ガウスにより地磁気の測定に応用されるなど,その使用は徐々にではあるが確実に広まっていた。

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大辞林 第三版の解説

メートルじょうやく【メートル条約】

度量衡をメートル法によって国際的に統一するための条約。1875年パリで締結され、日本は1885年(明治18)に加入を決定。 → 国際度量衡委員会

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

メートル条約
めーとるじょうやく

度量衡を国際的に統一しようという目的で1875年5月20日に成立した条約。日本は1885年(明治18)に加盟手続を終わっていたが、公布されたのは翌1886年4月16日であった。2013年8月時点の加盟国数は55、準加盟国数は38である。
 メートル条約は、条約本文と附録規定よりなり、国際度量衡局、国際度量衡委員会および国際度量衡総会の組織と権限、加盟各国の経費負担の方法その他に関する諸規定を含んでいる。そして条約締結当時は、国際度量衡局の事業は度量衡の単位の範囲に限られていたが、科学の進歩により新たな物理量の単位も扱う必要が生じたこと、および加盟国の増加によって歳費の増額の必要もあって、一部の改正が行われている。[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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国際度量衡局、国際度量衡委員会、国際度量衡総会、原器、条約の加入脱退および経費負担の6項である。
 国際度量衡局は、国際度量衡委員会の指揮・監督を受けて「条約第6条及び第7条に定める事務」すなわちメートル原器およびキログラム原器の比較、国際原器の保管、各国原器と国際原器およびその副原器との定期比較ならびに国際標準温度計の比較、原器と各国のメートル法によらない度量衡原器との比較、政府、学協会、学者、技術者の依頼に応じ諸原器、標準尺度の比較検査、電気その他の量の単位の原器、標準器の比較、物理定数の決定などを行う。局の設立維持に関しては条約に規定され、パリに設けられてその中立性が保証されている。
 国際度量衡委員会は国籍を異にする18名で構成され、年1回開かれる。委員会の権限のおもなものは、国際度量衡局の指揮・監督、加盟国の協同作業の監督、国際原器の保管の監督、各種諮問委員会の開設とその成果の統合、局の歳費の決定、毎年予算の編成、国際度量衡総会の招集などである。
 国際度量衡総会は条約上最高の議決機関で、4年ごとにパリで開き、パリ科学学士院長が議長となることになっている。なおこの総会では国際度量衡委員の半数改選も行う。
 条約の加盟は、条約上各国の自由とされている。加入の際には、フランス政府に通告し、この通告を受けた同国政府はさらに加盟各国ならびに委員長に通告の手続をとらなければならないことになっている。また条約から脱退する場合は加盟後12年を経ていなければならず、またその政府は1年前にその旨を通知しなければならないとされている。
 条約加盟国の経験によって条約に修正を加えることが有益と認めた場合には、総会における一致の決議によって修正を加えることができる。
 国際度量衡局の維持に必要な経費は、加盟各国の現在人口に基づいて算出した分担金によっていたが、最近はこれに国民総所得を考慮に入れることに改められている。分担金はフランス外務省を通じてパリ貯金局に払い込む。もしある国がこれを3年間滞納した場合は、他の加盟国がその国の分担金の割合に応じて分担する。そしてこの金は滞納金が完納されたときは各国に還付される。また滞納3年に及べば加盟によって受けるべき利益や権能が停止され、引き続き滞納3年に及べば条約より除外される。[小泉袈裟勝]

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メートル条約が締結されるとフランス政府は各国に対して加盟の呼びかけを行い、日本にも駐独公使を通じて勧誘してきたが政府の意見は一致せず、1884年(明治17)重ねての勧誘の際、新たにメートル原器とキログラム原器をつくって加盟国に配布する旨の通知に接して加盟が定まった。日本の原器は抽選によってメートル原器はNo.22、キログラム原器はNo.6と決まり、1889年パリ公使館書記官大山綱介(1853―1912)が受け取り、日本には翌年4月到着した。
 日本が国際度量衡委員の席を得たのは1907年(明治40)で、田中館愛橘(たなかだてあいきつ)が最初の委員である。以後第二次世界大戦後4年の空白期間を除いて委員が出ている。[小泉袈裟勝]

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世界大百科事典内のメートル条約の言及

【度量衡】より

…この条令は度量衡の製作,販売,検査などの制度を定めたものであって,単位には言及していないが,この時期に,長さについては1尺=10/33m,質量については1匁=3.75621gというメートル法単位への結びつけが採用され,さらに1升=6万4827立方分の関係を経由して体積の単位もメートル法に結びつけられたのである。ちなみにこの75年はメートル条約成立の年でもある。日本の条約加盟はその10年後の85年までもちこされたが,取締条令の時期に,表むきではなかったにせよ,メートル法の単位が典拠に選ばれたということは,歴史的に意義深い事実であったといえる。…

※「メートル条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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