老舗で食べた山本五十六の独自アレンジ「水まんじゅう」が仰天の発想…!新潟人の知恵が詰まった和菓子はまさかの美味しさでした

カニポーション

こんにちは。ライターのルリ子(@ruricocoa)です。

新潟県には、世にもめずらしい「水まんじゅう」があるのをご存知ですか?

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それも写真のような、くずを使った半透明の水まんじゅうではありません。

今回紹介する水まんじゅうは、新潟長岡市出身の、ある歴史上の人物に深い関わりがあるんです。

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その人物とは、真珠湾攻撃を指揮した日本海軍のトップ、山本五十六(やまもと いそろく)です。名前だけなら聞いたこともあるでしょうか?

実は五十六は大の甘党だったと言われているのですが、戦時下の日本では配給制度で砂糖の入手がとても困難でした。

そこで考えた五十六は、甘くないまんじゅうを自己流で甘くアレンジして食べていたというのです!

連合艦隊司令長官 山本五十六
映画「連合艦隊司令長官 山本五十六」

実際に山本五十六を描いた映画でも、五十六を演じる俳優の役所広司さんが「うんめぇ~!」とうなり声を上げながら水まんじゅうを食べるシーンがあります。

 

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ただ私が見る限り、どうもおいしそうに見えないんですよ……。

半信半疑ながらも水まんじゅうについて調べてみると、なんと五十六が愛していたまんじゅう屋が今も新潟に存在していることがわかったんです!

一体どんな水まんじゅうなのか、果たして本当にうまいのか!? 疑り深い私は、その真相を探ってくることにしました!

新潟に伝わる水まんじゅうとは?

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というわけで、新潟長岡市にある創業明治23年の「川西屋本店」にやって来ました。

川西屋という名前のお店は市内にもうひとつあるのでご注意を。

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これが、水まんじゅうに使う「酒(さか)まんじゅう」(1個100円税込)です。生地の原料はもち米の粉と麴、小麦粉で、中には塩小豆が入っています。

このままではタダのまんじゅうですが、五十六と同じ水まんじゅうを食べるためには、いくつか用意するものがあります!

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じゃん!!

左上から時計回りに氷、氷水、砂糖(上白糖)、そして酒まんじゅう。

はい。この時点で想像してた水まんじゅうと違うでしょ!? 私も正直、大丈夫なの?
なんかの罰ゲームなの?という気がしているのですが、とにかく作ってみたいと思います!

※お店では酒まんじゅうの販売のみです。

●水まんじゅうを作ってみよう!

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まず、あらかじめ酒まんじゅうに隠し包丁を入れておきます。
この方法は現在のご主人がすぐにおいしく食べるために考えたアイディアなんです。

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次にまんじゅうを少し深めのうつわに入れ、その上に適当に氷を並べていきます。
まんじゅうだよね!? かき氷じゃないよね!?

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そして氷水をうつわの7分目ぐらいまでたっぷりと注ぎます。
まんじゅうが水を吸い込んでいくので、様子をみながら水を注ぎ足しましょう。

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最後に、上白糖をお好みの量でふりかけます。

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これで水まんじゅうの完成です!

どう!? 食べたい!? 食べたくない!?

●水まんじゅうのお味はいかに!?

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最初に切り込みを入れたことによって、食べる頃にはまんじゅうが水をほぼ吸い込んで、生地はしなしなの状態に。

よく混ぜてからスプーンですくい上げるのですが、うーん……。正直、ちょっと食べるのが怖い(笑)

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まんじゅうに砂糖をかけて食べるなんて初めてだよ(笑)

仕方ない! いただきます……!!

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ぱくっ

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ん!? 

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まさか、、思ったよりイケる!?

 

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水まんじゅうの塩小豆は全然甘くないのですが、砂糖を混ぜた氷水を吸い込むことで、ちょうど良い甘さになっている……! 生地はどことなく肉まんにも似ているぞ。

例えるなら小豆のアイスを溶かして食べているような、そんな感じに近いかもしれない。

 

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お店で五十六の息子さんが残した著書を見せてもらうと、こんな一説がありました。

まんじゅうそのものは、ふつうの形よりやや平べったい形をしていて、黄色い皮にくるまったアンコは、小豆を塩ゆでにしたものだった。つまり、塩でゆでた小豆を皮でくるんだだけのものだから、そのまま食べてもうまいわけがない。

まず、中華ソバのどんぶりぐらいのうつわに、水を七分目ぐらい入れる。その水に、冬から貯えておいた雪のかたまりを浮かべ、水を冷たくする。そこにまんじゅうを浮かべて、しばらく放置すると、冷たい水を吸ったまんじゅうが、どんぶりいっぱいにふやけて大きくなる。その上から砂糖をかけ、大きなスプーンで、ザクッとまんじゅうをすくって食べるのである。つまり、砂糖と冷たい水と塩あんと皮とがミックスされたものを、口へほうりこむわけだ。こうして食べる水まんじゅうは、なんともいえぬ味になって、夏向きのうまい菓子になる。

引用元:「父 山本五十六」山本義正

確かに夏は冷えたものが食べたいけれど、もち米の粉が原料に入ったまんじゅうは冷やすと固くなってしまう。

それを雪深い新潟ならではの知恵で、雪解け水で冷やして食べるとは! まさに甘党だからこその探究心!!

 

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あくまでもこの食べ方は山本五十六が独自にアレンジしたもので、地元の人はそのまま食べるのが定番のよう。こうして食べ物のルーツを探ってみるのも、なんだか面白いなぁ。

今回紹介した酒まんじゅうは、お店のオンラインショップからも買うことができます。防腐剤がないためあまり日持ちはしませんが、もし興味があればぜひチェックしてみてください!

youtu.be

つくり方の動画をYoutubeにも上げたので、よかったらこっちも参考にしてね↑

川西屋本店

店名:川西屋本店
住所:新潟長岡市殿町1丁目7−2
電話番号:0258-32-4323
営業時間:午前09:00~午後18:00
定休日:不定休
駐車場:なし(お店の横にパーキングあり)
URL:https://www.kawanishiya.jp/

 

筆者プロフィール

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五十川 ルリ子

新潟県在住のフリーライター。グルメ記事を中心に各WEBメディアで執筆しています。

Twitter:@ruricocoa
Web:http://rurico.net/

Source: ぐるなび みんなのごはん

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