東京都心部と、練馬区および埼玉県南部とを繋ぐ沿線住民の足である西武池袋線。
そんな西武池袋線にあって、ひときわ多くの乗降客で賑わう「大泉学園駅」。
練馬区においては「練馬駅」に次ぐ、有力な駅となりましょうか。
西武鉄道92駅のなかにあって、他路線との接続がないにもかかわらず、一日の乗降客数がなんと上位10傑にランクインする駅なのだとか。
きっと「学園」という名のとおり、素晴らしい学園都市なんだろうなと想像しがちですが、実際は大学なんて存在していないのです。
いったい、どういうこと?
大泉学園駅の駅名の由来
大泉学園駅の経緯についてですが、現在の西武鉄道となる前の武蔵野鉄道時代に「東大泉駅」として設置されたのがはじまり。
その後、学園都市計画にもとづいて、実際に当時の東京商科大学(現・一橋大学)の誘致を図ったそうです。
そりゃ、西武鉄道にしてみたら、沿線に大学を誘致出来たら、一気に乗降客も増え路線の価値も上がろうもの。
しかし、学園都市として先に整備したものの、当の東京商科大学にそっぽ向かれてしまったそうなんですね。
結果、先に改称してしまった「大泉学園駅」という名前だけが残ってしまったというのが、どうやら真相のよう。
せめて、他の大学が名乗りを上げてくれたら、まだ良かったんだけど…。
閑静な高級住宅街でもある大泉学園町
しかし、大学の誘致に失敗したとはいえ、そもそもが学園都市計画にもとづいて大規模開発されていった街。
大泉学園駅からは、北にちょっと歩くのですが、「大泉学園町」というエリアは、そんな学園都市計画の名残を残す町並み。
碁盤の目のように整然と道路がひかれ、一軒一軒の敷地が広く、また景観に配慮した高級住宅地として大泉学園町は成熟していったのです。
そうなんです。
風致地区とは、1919年に制定された都市計画法において、都市内外の自然美を維持保存するために創設された制度である。指定された地区においては、建設物の建築や樹木の伐採などに一定の制限が加えられる。「風致」とは、「おもむき、あじわい、風趣」の意。
閑静な高級住宅地と豊かな自然が調和している大泉一帯
高級住宅地である大泉学園町一帯。
そして、大泉学園町の周囲には、東京23区内でも有数の生産農家が軒を並べているのです。
余談ですが、大泉産の野菜って、ちょっとしたブランド野菜らしいんですよね。
そして、さらに駅前から北に伸びる並木道を北に進んでいくと、「大泉中央公園」という大きな公園も存在します。
緑と街と、たいへん調和がとれた街でもあるのですね。
生活するには、理想的な環境にあるのではないでしょうか。
まとめ
「大泉学園駅」という駅名から、つい学園都市であることを連想してしまう大泉学園町一帯。
しかし、どうして。
そんな駅名とは裏腹に、そもそも大学など存在しない駅だったんですね。
それでも、かつての学園都市計画の名残で、大泉学園町一帯には閑静な高級住宅街が広がり、社会的ステータスの高い方々が多く住んでらっしゃいます。
さらには、かの松本零士氏をはじめとする、文化人たちもこぞって暮らす街でもある訳なんですね。
東映東京撮影所の存在は有名。
だから、「漫画の聖地」とも呼ばれたりもします。
大学の誘致に失敗してしまい、当初の「学園都市計画」自体は頓挫してしまいました。
しかし、「学園都市計画」による大規模な区画整備と、風致地区化による景観の配慮などによって、大泉学園町は、社会的ステータスの高い方々が集う高級住宅地へと変貌していったのです。
そんな大泉学園町の存在が、大泉学園駅のイメージアップにずいぶんと貢献しているのではないのでしょうか?
2018.8.28