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「黄金の犬山城」派手すぎてお蔵入り

他の備品とともに2階の隅に置かれた「黄金の犬山城」=犬山市文化史料館で

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 三十一年前に作られた模型「黄金の犬山城」が、犬山市犬山の市文化史料館で公開されずに眠っている。金ピカで派手すぎるのが裏目に出て、史実に基づいた展示を旨とする文化史料館や国宝犬山城には飾れない。重さは約三百六十キロあり、たやすく置き場所を変えられないのも難点だ。市教育委員会が活用策を探ったが妙案は出ていない。

 「黄金の犬山城」は、一九八七年に開かれた犬山城築城四百五十年イベント「キャスティバル犬山87年」で、当時の市長が会長を務めた実行委員会が製作し、イベント閉幕後に観光振興を目的に市に寄贈した。実物の十八分の一の大きさで縦一メートル、横一・一メートル、高さ一・三メートル。金箔(きんぱく)が施され、市教委によると製作費は当時で三千万円。しゃちほこ部分は十八金だが、盗難を恐れてダミーを付けて、本物は市が保管している。

 昨年の市議会六月定例会で、後藤幸夫議員が「確か黄金の犬山城があったはずだが、その後、見たことがない。ひょっとして処分されたのか」と一般質問し、再び脚光を浴びることになった。

 市教委は「市の備品となっているが、大部分が金色という外観でイベント用品としての性格が強く、保管を任されたものの、文化史料館での展示に生かせた機会はほとんどない」と答弁。扱いに困っていることを説明した。

 模型が人目に触れたのは、名古屋市科学館に一時貸し出したときぐらい。犬山市の新体育館の完成披露で飾る案もあったが、「大き過ぎて来訪者の動線をふさぐ恐れがあるので、具体化しなかった」と市歴史まちづくり課は言う。

 重量もネックとなる。市教委は「三百六十キロもあり、極めて重たいことも活用が困難な理由の一つ。成人男性が五、六人で引きずれば移動させることができるが、動かすには運搬業者に依頼するしかない」と昨年の六月議会で答弁している。

 時を経て現在は一般人が立ち入れない文化史料館二階が「黄金の犬山城」の定位置になった。エレベーターはない。隅っこでおとなしく光っている。

 (三田村泰和)

 

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