


「タコの山のすべり台」誰ともなくそう呼び始めた遊具が全国にあります。呼び名はちょっと変わっても姿を見ればすぐに分かるあの近所の公園の滑り台です。

当社の創業の頃に若い芸術家の卵たちが創り始めたこの不思議な遊具は、ほどなく誕生以来40年を迎えようとする今も町のなかで子供たちに親しまれながら存在しつづけているのです。



「タコの山のすべり台」が出来るきっかけとなった『プレイスカルプチャー。石の山』 |
実はオリジナルデザインは『プレイスカルプチャー。石の山』だったのです。ちょうど「タコの頭」だけを外した姿を想像してください。創業時にこれをデザインした若い彫刻家は、ある人が気づいた『頭をのせたらタコになる』という発見とその注文に考えてしまいました。なにか自分の作品が価値を落としているような気がして・・・造形を志す若者が誰しも共通する悩みにぶつかったのです。・・・

しかしこの発見と注文こそがその後の遊具の運命を決定付けたのです。

『タコの山』は全て手作りです。図面はほとんど絵です。これも彫刻家が書きます。鉄筋を曲げながらタテ横に溶接しながら形を作っていくのも彫刻家たちです。

鉄筋で編むように作られた有機的な曲面がタコの骨組みです。柔らかそうな形ですが実に頑丈です。その後に金網が被せられて後は左官屋さんがモルタルを塗り重ねていきます。最後は表面を研ぎ上げて完成します。

全ての工程がこうした手作りなのです。どのタコも同じように見えますが、ひとつとして同じものはないという不思議な遊具はこうしたプロセスから出来上がっています。



調布市南口児童公園(東京都調布市)
他施設が取り壊されていく中、30年以上調布の子供達を見守り続けています。 |
オリジナルデザインの「石の山」だったら、果たして全国にこれだけの数が生まれたでしょうか。さてどうでしょう。答えはわかりませんが、皆に愛されるデザインとは、という課題を投げかけているのかも知れません。

子供たちに親しまれ、遊んだ子供がやがて親になってその子供さんたちが今も遊んでいます。公園を改修する時「タコの山」だけは残してくれという住民の要請で残されたタコの山がいくつもあります。

私たちは先輩達の仕事を誇らしく思います。そしていまもそれを引き継いでいます。「皆に愛されるデザインとは」の課題とともに。
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親海公園(京都府舞鶴市)
帽子をかぶったタコの山
平成15年、新しい仲間が誕生しました。
これからも地域のささやかなシンボルとして子供達と共にありたいと願います。 |
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北鹿浜公園(東京都足立区)
平成12年、住民のみなさんの要望により移設、補修されました。 |
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