長野県のニュース

映画「一茶」支援 熱い想い 2000万円寄付の社長が飯山訪問

飯山市を訪れ、同市でのロケの様子について説明を受ける沖潮社長(左)=27日飯山市を訪れ、同市でのロケの様子について説明を受ける沖潮社長(左)=27日
 俳人小林一茶の生涯を描いた映画「一茶」の映画製作委員会の中心だった会社が破産し、ロケに関わった業者などに多額の未払い金が生じた問題で、飯山市ロケ分の未払い金に相当する約2千万円を寄付した京都市の建設業「沖潮開発」の沖潮吉績社長(53)=京都市=が27日、飯山市を訪れた。沖潮社長は大病から復帰した経験を踏まえ、社会貢献の一環で寄付を申し出たという。寄付を受けた業者から感謝の言葉を受け、沖潮社長は「寄付が役立ち、良かった。(未公開の)映画の上映に期待したい」と話した。

 同社は解体業と不動産業を営む。沖潮社長は2016年に脳出血で倒れ、現在も左半身に後遺症がある。当初はほとんど歩けなかったが、リハビリを重ね歩けるようになり、仕事に復帰。新たに京都市内で宿泊業も立ち上げ、経営は順調という。

 昨年12月にテレビで、飯山市ロケに関わった一般社団法人・信州いいやま観光局(飯山市)などの業者が、未払い金によって困っていることを知った。「再び仕事ができるようになり、会社も成長でき、自分に自信を取り戻せた。何か自分にはすべきことがあるのではないか」と考え、同観光局など飯山市ロケに関わった10社・団体に未払い金の清算に充ててもらうよう、約2千万円を寄付した。

 この日は、寄付を受けた業者による「お礼を申し上げる会」が市内で開かれた。セットの照明の電源工事をした電気工事会社専務の高津日出夫さん(61)=飯山市=は業者を代表し、「うれしくて涙が出た。寄付をありがたく思う」と述べた。

 映画「一茶」は、飯山市ロケ分を含めて全体で1億7千万円に上る未払い金があることが分かり、公開見通しが立っていない。映画製作に携わった関係者らが発足した「救う会」が公開に向けて出資者を募るなどの活動をしている。

(8月28日)

長野県のニュース(8月28日)