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【芸能・社会】

小学校同級生・FC東京の長谷川監督ショック さくらももこさん死去

2018年8月28日 紙面から

さくらももこさんの代表作「ちびまる子ちゃん」

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 「まる子ちゃんをそのまま大きくしたような、かわいらしくて温かい人だった」-。漫画「ちびまる子ちゃん」の生みの親、さくらももこさんが亡くなった。関係者やファン、出身の静岡市の人々に27日、深い悲しみが広がった。

 FC東京の長谷川健太監督(52)は、さくらさんの当時の清水市立入江小学校のクラスメート。「突然の訃報に驚いています。心よりご冥福をお祈り申し上げます」とコメントを寄せた。長谷川監督は「ちびまる子ちゃん」に登場するサッカー少年ケンタのモデル。小学校時代からサッカーが上手だったという。

◆地元・清水に悲しみ

 清水エスパルスのクラブ創設20周年の時には、さくらさんはイラストやメッセージを寄せている。「クラブ一同、謹んでお悔やみ申し上げます。生前のご厚情に深く感謝し、ご冥福を心よりお祈り申し上げます」とコメントを公開した。

 家や教室を再現した施設「ちびまる子ちゃんランド」運営会社(静岡市清水区)の大井一郎社長(59)は「原画を提供してくれるなど、地元・清水を盛り上げるために熱心だった。来年の開業20周年に向け、一緒に何かできないかと考えていたのに」と肩を落とした。同社の女性社員(57)は約5年前、子どもが描いた絵を熱心に見るさくらさんの姿に温かいものを感じた。「突然のことで信じられない」と惜しんだ。

◆ばななさんは感謝

 創作の仲間もその柔らかな才能に感服していた。作家吉本ばななさんは「青春を共に過ごしたももちゃん、闘病は知っていましたが、いつも元気にメールをくれるから回復を信じていました。言いがたいほど淋(さび)しく、残念です」と受け止めきれない様子。「私たちの時代に、まるちゃんやコジコジをもたらしてくれて、ほんとうにありがとう」。

◆東京のストアでも

 漫画家ちばてつやさんも「30年ほど前、漫画賞の授賞式で初めてお会いした時、明るくて楽しくて、ちびまる子ちゃんが漫画の中から出てきたような人だと思った」と振り返る。「子どもの頃に体験したエピソードや流行を上手に織り込んで読者の共感を呼んだのだと思う。ときどき男の子みたいな言葉遣いになる、まる子ちゃんのキャラクターが気に入っていた。これからも、もっと活躍できたのに。日本の漫画界にとって大きな損失だ。本当にもったいない。残念だ」と惜しんだ。

 JR東京駅地下には、今年6月から9月までの期間限定で「トーキョーちびまる子ちゃんストア」を開設。訃報を聞いて足を運んだ川崎市高津区の主婦田中佳奈子さん(27)は「小学生のころ好きだったので、ショック。素朴で温かく、3世代でほのぼの見られる作品って、ほかに思い当たらない」と肩を落とした。観光中という福井市の会社員の女性(25)も「新しい作品が読めなくなるのはショックだけど、改めて作品を読み直してみたい」。

 さくらさんが所属する「さくらプロダクション」は1984年のデビューから30周年を迎えた時のさくらさんの「良い事も大変な事もいっぱいありましたが、私は作家としてとても幸せな月日を送らせていただいています。感謝にたえません」との言葉を紹介した。

 アニメ「ちびまる子ちゃん」は1990年に始まった。スタッフは「笑ったり、泣いたり、とても楽しく取り組んで来られたのは、さくら先生が見守って下さったから」と感謝した。

◆「おどるポンポコリン」担当 B.B.クィーンズの近藤房之助

 芸能界からもさくらさんを追悼する声が27日、相次いだ。1990年にフジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマ「おどるポンポコリン」で「B.B.クィーンズ」のボーカルでギターの近藤房之助(67)は「B.B.クィーンズが産声を上げることに至ったのは、アニメ『ちびまる子ちゃん』のおかげであるということは言うまでもありません。まさにB.B.クィーンズを生み出していただいたと言っても過言ではない、さくらももこ先生には本当に感謝してもしきれるものではありません」とコメント。さらに「いまだに音楽活動させていただいているのも当初『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマだった『おどるポンポコリン』にB.B.クィーンズの一員として楽曲に参加させていただいたことで、それまでアンダーグラウンドの場で活動していた僕をほんの一時でもメインストリームの場に押し上げていただいたことで、僕のことを知ってくれた数多くの方がいてくれたからだこそと思っております」としのんだ。

◆ゴールデンボンバー「本当に感謝です…」

 「ちびまる子ちゃん」のオープニングテーマ「おどるポンポコリン」を歌うエアバンド「ゴールデンボンバー」の樽美酒研二(37)はブログで「ゴールデンボンバーをキャラクターとして描いてくださったことは一生の誇りです。先生のおかげで幅広い世代の方々に僕らのことを知っていただくことができました。本当に感謝です。一生感謝し続けます」とつづった。

 「おどる-」を2014年にカバーした女性グループ「E-girls」のメンバーも訃報に信じられない様子。当時メンバーだったDream Aya(31)が所属事務所を通じてコメントを発表した。Ayaは「子供のころからメンバー全員が『ちびまる子ちゃん』を見て育ち、まさか『おどるポンポコリン』を歌わせていただける日がくるなんて思ってもいませんでした」と感謝した。

さくらももこさんが静岡市に寄贈したちびまる子ちゃんのマンホールのふた=静岡市役所で

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◆静岡市にマンホール寄贈したばかり…

 静岡市の田辺信宏市長は27日、同市出身のさくらさんの訃報を受け、「地元のお祭りや動物園が大好きで、地元愛にあふれた方だった。ご冥福をお祈りする」とのコメントを発表した。

 さくらさんは2007年度から、職員の名刺やバッグなどの絵を市に提供。7日には「ちびまる子ちゃん」のイラストが入った下水道用マンホール2枚を市に寄贈しており、田辺市長は「市民も設置を楽しみにしていた矢先だった」と哀悼の意を示した。

 

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