マイクロソフト、Xbox本体込み+ゲーム遊び放題の月額プラン Xbox All Access 正式発表
米国のみ
うわさどおり、マイクロソフトがXbox One 本体とゲーム遊び放題サービスをセットにした割安な月額プラン Xbox All Access を発表しました。
Xbox One S の場合は月22ドル、Xbox One Xなら月35ドルを支払えば、初期費用なしで本体と遊び放題サービス Xbox Game Pass、ネットサービスXbox Live が利用できる購入プランです。
新しいサブスクリプション・サービスというよりは、スマホのように本体代金を分割で毎月のサービス料金に載せることで初期費用を抑える割賦販売プランの位置づけ。今のところ米国のマイクロソフトストア店頭でのみ申し込みができます。
月22ドルまたは35ドルに含まれるのは、100タイトル以上のゲームを自由にダウンロードして遊べる Xbox Game Pass (月9.99ドル)と、オンラインマルチプレイや毎月の割引・無料ゲームなどがセットになったXbox Live (割安な1年分で買うと約60ドル)が2年分。および、Xbox One S または Xbox One X の本体。レンタルではなく、分割で払い終わった2年後には手元に残ります。
こうした分割払いプランは、初期費用がかからないかわりに2年分を合計すると利子込みで一括払いより割高だったりするものですが、本体を新品のマイクロソフトストア価格ベースで、オンラインサービスは限定セール以外のもっとも安いレートで合計してみると、
Xbox One S 本体 250ドル前後 (299ドルで特定ゲームバンドルなど)
Xbox Live 1年 59.99ドル x 2年分で120ドル
Xbox Game Pass 月9.99ドル x 2年分で約240ドル (基本的に割引なし、年間でも同じ)
計 610ドル。
22ドル x 24か月は528ドルなので、この計算では個別に一括購入するより、2年分割で払う Xbox All Access のほうが本体価格により50ドル~120ドルほど安いことになります。
Xbox Liveの12か月コードだけ別の量販店で買うと55ドルで買えるので10ドルお得、あるいはGame Pass をプロモーションの1か月~2か月のみ1ドルにするなどを選べばもう少し安くなりますが、基本的にはAll Access のほうが、セットで2年分買うだけ割安になる設定です。
(もちろん本体を中古で探して、初期費用は自分でなんとかすれば、コンディションや保証の話はあるにしろ、同等もしくはもう少し安くなる場合もありますが、価格の半分以上を占めるオンラインサービス分は変わりません)
一方 Xbox One X の場合、35ドル x 24か月は840ドル。Game Pass と Live Gold 2年分の計360ドルを引くと本体分の支払いは480ドル。Xbox One X はマイクロソフトストア価格が499ドルなので、初期費用なし、利息なしではあるものの、わずかに得する程度です。
セットになっている Xbox Game Pass は日本国内で提供されていないため、あまり有り難みがわかりませんが、公称100タイトル以上のゲームがフルダウンロードで遊び放題になるサービスです。
定額ゲームサービスXbox Game Pass、日本除く31カ国で6月1日開始。月9.99ドルで約100タイトルから
サードパーティーのソフトは、今まさに売れている最新ゲームは当然ながらあまり入らず、基本的にシリーズ前作までが入る程度。参加していないメーカーもあり、網羅性はそれほど高くありません。インディーゲームの人気作やXbox 360ゲーム、初代Xboxゲームもあるものの、あくまで一部です。
しかしXbox Game Pass のもっとも大きな、ある層にとって破壊的な魅力は、マイクロソフトが販売するゲームは、すべて一般発売日と同時に遊び放題入りすること。つまり Halo シリーズの新作 Halo Infinite も、この秋に発売される Forza Horizon 4も、いずれ投入される Gears of War シリーズ最新作やスピンオフも、そのほか独占目玉タイトルは原則すべて、月10ドルでプレイ可能です。
過去作についても、ギアーズやHalo、Forzaといった自社看板シリーズ、そのほか自社IPの新作 Sea of Thieves、あるいは開発は外部のゲーム会社でパブリッシュのみマイクロソフトのタイトルなども、すでに多くがカタログに含まれています。
この Xbox Game Pass サービスや、今後正式発表予定のクラウドゲーミングサービスは、Xbox部門の責任者 フィル・スペンサーが唱える「ゲーム業界にもNetflixのようなサービスが必要」という考えに沿った戦略。
Xbox One は戦略立案者が発売直前に退社するなど迷走した挙げ句ライバルに大差をつけられましたが、立て直しに抜擢されたフィル・スペンサーは、もともとマイクロソフト傘下のゲーム開発スタジオ群 Microsoft Game Studios を統括する立場でした。
怪物ゲーム Minecraft の買収を作者ノッチを通してとりまとめ、その後もマルチプラットフォームのまま拡大成長させ、ある意味マイクロソフトの看板にまでしたことなどから、PCを含むゲーミング部門全体の責任者として、法人向けに舵を切りつつあるマイクロソフトに対してゲーミング部門の優先度を再考させたといわれる人物です。
(実際にスペンサーのもとでゲーム部門の収益は改善しており、直近の四半期では売上が前年比39%増、Xboxのソフトウェアとサービスは36%増。年間では14%増。サードパーティータイトルの好調が主要因ですが、Xbox Liveの加入者や定額制もサービス収益として大きな割合を占めています。)
スペンサーが推進する遊び放題の定額制サービス成功に必要なのは、加入したくなる魅力的なコンテンツを揃えること。また加入までのハードルをできるだけ下げること。
Xbox の独占シリーズには固定ファンが多いものの、ラインナップ全体を比較した場合、今世代のグローバル普及台数で大差をつけるライバル PS4 や、強力無比な自社IPを誇る任天堂よりも貧弱と言わざるを得ない状態が続いてきました。
スペンサーはXboxが独占タイトルを手薄にしたのは誤りだったと公言しており、中堅ゲーム会社 4社を一気に買収したり、Microsoft Game Studios 内にゲーム業界ベテランを招いて新スタジオを設立するなど、独自タイトルの充実に改めて注力する姿勢を示しています。
Xbox Game Pass は、これまでマイクロソフトの独占看板タイトルを発売日に買ってきた忠実なファンはもちろん、新作の前に前作やシリーズを予習復習したい、Xbox 360 や 初代Xboxゲームも懐古したいプレーヤーには、現状でもすでに魅力的なサービスです。
あるいは海の物とも山の物ともつかないインディーゲームや、普段遊ぶジャンル外の作品、なぜか縁がないままの著名シリーズなど、ちゃんと遊ぶか分からないゲームを買うのは躊躇する、でも気になる、開拓したいという雑食好奇心ゲーマーには、軽率に片っ端から試せる点で特に向いています。
しかしこの、「マイクロソフトがパブリッシュするタイトルは原則として発売同時に遊び放題」に、最近の「自社独自タイトル再注力姿勢」が合わさったことで、今後さらにお得感が増す可能性もあります。
Xbox All Access は現時点で米国の店頭販売のみ、期間・数量限定。 タイトルが充実してきた Xbox Game Pass も、国内でのサービスは「検討中」です。
昨年からの Xbox Game Pass、そして今回のXbox All Accessのように 「定額サービスの魅力を高め、加入のハードルをできるだけ低くする」戦略としては、クラウドストリーミングゲームサービスがすでに正式に予告済み。さらにこのストリーミング専用で安価な新型ハードウェアの登場もうわさされています。
ハードコアなファン向けのXbox One X 後継高性能機と、ゲームパスやストリーミングのオマケに配れるような安価なストリーミング専用機が、今後のXboxの姿になるかもしれません。
次世代Xbox『Scarlett (スカーレット)』は2020年発売?複数の製品が開発中
マイクロソフト、スマホで遊べるXboxストリーミングゲームサービスを予告