グラビア撮影
カメラマン「はい!イイよ、こっち目線こっちね。イイ、良い!じゃ、肩をコッチ側に。そうそうそう!」
カメラマンのペースでノリよく進む撮影。上半身裸の5人の男性モデルがカメラに収まって行く。僕はアシスタントで働き出してやっと半年を超えた。毎日いろんな現場、いろんなモノを撮る。やっぱり人を撮る時、特に閉鎖されたスタジオでの撮影は独特の緊張感がある。僕と同年代の男性モデルばかり、それも女性雑誌「ahnahn」の表紙を飾る綺麗な身体のモデルばかり。男でも思わずウットリ見とれてしまうイケメンばかり。
柔らかい暖色のライトに照らされた彼らは、男特有の油臭い雰囲気はなくて爽やかだ。僕は無意識に視線を送ってしまうモデルがいることに自分で今気がついた。いかにも好青年な彼を、ついつい見つめている自分に。
カメラマン「じゃあね、ちょっとパンツ(ズボン)を手でこう、少し下げる感じで。そうそう、もうちょっとギリギリまで。あ、お毛毛見えないようにね。表紙で使うから見えちゃうとマズいし。ま、見せたい人はオフレコで。あ、違うか(笑)」
生温い先生(カメラマン)の和ませコメントに現場の愛想笑いが出る。モデル達はお互い軽く顔を見合わせて、照れくさそうにパンツを下ろす。中にはヘソ辺りの毛が見えているモデルもいる。もちろんソレはセーフだ。例の彼のは見えていない。
先生が撮ったばかりの写真何点かがパソコンのモニタに映し出される。それをチェックするデザイナーの厳しい目。デザイナーはモニタを指差してカメラマンに指示した。
カメラマン「えっとね。ごめん、そこの彼、うんキミ。センターに来てくれる?」
僕が注目してた彼がセンターになった。そのほうがイイと思った。デザイナーは「うんうん」とうなづいてモデルに目線をやったりパソコンを確認したりとイメージを膨らませている。
僕はと言うと。。。なぜか彼の裸のイメージを膨らませてしまった。男を「カッコいい」と「そうじゃない」に自分なりに判別してた部分はあったけど「裸を想像」することになるなんて。目の前のモデルは確かに事実、上半身は脱いでいる。そこから「下半身の裸」も想像している自分がいる。そして僕のアレは起っていた。
自分でもよく判らないこの感じは、これが「ホモ」なのか。。。僕はホモなんだろうか。。。