米ウーバー「自動車より自転車に注力へ」 CEO表明
米配車サービス大手ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は26日、利益減少の可能性があるとしても、自動車配車事業への注力を弱めて電動キックボードと自転車事業に重点を置く計画だと明かした。英経済紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに答えた。
コスロシャヒCEOは、自転車やキックボードなど1人で移動できる乗り物の方が都市内の移動には適していると述べた。
またコスロシャヒ氏は、利用者は将来的に、今までより短い距離の移動を今までよりを高い頻度でするようになるとも予測した。
「人1人を10ブロック運ぶのに1トンの巨大な金属の塊を使うのは、通勤時間帯には非常に非効率だ」と同氏はフィナンシャル・タイムズに語った。
「短期的な財政面では、我々の利益にならないかもしれない。しかし長期の戦略的には、この方針転換こそが我々の進みたい方向だと考えている」
ウーバーは昨年、複数の自転車事業会社に出資している。
同社の電動自転車「ジャンプ」は現在、ニューヨークやワシントンを含む米国8都市で利用可能になっており、ドイツのベルリンでも近くサービスを開始する。
またウーバーは、電動キックボードのシェアリング事業を行う米ライムとも提携したほか、公共交通や貨物輸送といった他領域でも契約をまとめている。
移動距離が同じ場合、自動車より自転車のほうがウーバーの売り上げは低くなると、コスロシャヒ氏は認めた。しかし、顧客が短距離移動でウーバーを今までより頻繁に使えば、穴埋めになるだろうとも述べた。
「我々は短期的な単位あたりの経済性を、長期的な利用頻度の向上によって、相殺しようとしている」と同氏はフィナンシャル・タイムズに語った。
コスロシャヒ氏はさらに、この計画でウーバーの運転手が損をすることになる可能性を認めた。ただし、長期的にみれば、運転手は収益性の高い長距離移動で利益を得るだろうとも話した。
かかる圧力
昨年45億ドル(約5000億円)の損失を計上したウーバーは、予定される上場を前に、財政状況の改善圧力を受けている。
タクシー事業の収益は拡大しているが、自転車シェアリングや食料品配達といった新分野への事業拡大にかかる費用で、損失も急増した。
規制圧力が成長の脅威となっている市場もある。
ニューヨーク市は今月、混雑対策のため、配車サービス車両への新規許可証発行を一時的に制限する条例案を可決した。英ロンドン市長も同様の規制案を検討すると話している。