ツイッターに書ききれないので、こちらに記載します。
以下の文章は、母から聞き取った内容をまとめ、名古屋市障害者差別相談センターを通じて、主催の名古屋市とCBCテレビに送った文章です。
ほぼ同じ文章を、誠実かつ迅速な対応を求めて、河村たかし名古屋市長にも送りました。
私の母は名古屋市在住で生まれつき全盲の視覚障がい者です。
認知症などは無く、足腰も悪くありません。
母は7月5日に名古屋国際音楽祭(主催CBCテレビ・名古屋市)というクラシックのコンサートを鑑賞のためタクシーで名古屋市中区にある名古屋市民会館へ一人で出かけました。
(この文章は母から聞き取ったことを息子の私が書いています。)
会場に到着後から終了までに母はとても差別的で屈辱的な扱いを受けました。
1、会場入口までは、自宅から乗車したタクシー運転手が誘導してくれました。
会場に入ると会場の主催者側の男性スタッフが車いすをもってきて座るように母に言いました。
母は足腰は丈夫であり車いすに不慣れでもあることから、いつも通りに腕に軽くつかまらせてもらい、
歩きたいと申し出ました。そのほうが母自身にとって安全だからです。
白い杖も持参しているから、杖を持てば周りの人も配慮してくれるからと、
何度かそのように言ったそうですが、認められず仕方なく車いすに座りました。
車いすに座る際も、例えば「大丈夫ですか?動かしますよ」などの声掛けは一切ありませんでした。
不慣れな母は足をどこにおいてよいかもわからず、とても不安定な状態だったそうです。
車いすを降りる際に、スタッフが車いすのブレーキをかけずに母に降りるように言ったために、立ち上がる際に車いすが動き、転倒しそうになりました。母は本当に身の危険を感じ、「危ないじゃないですか」
と思わず言いました。しかし主催者側スタッフから特に謝罪はありませんでした。
車いすに乗り降りする際にブレーキをかけることは常識ですし、
その場での、ちょっとした謝罪も常識ではないかと思います。
2、主催者側スタッフに案内された席に違和感を感じた母はスタッフに、自分の購入した座席か尋ねました。すると、案内された席は最後尾の角、つまり会場のいちばん隅に座らせられていました。
母の購入した席はほぼ中央の席でした。
クラシックが大好きな母は、中央の席でより良い音を聞きたかったのです。
母は、「歩けるから自分が購入した席へ連れていってほしい」と、何度も言いましたが、通路にあるわずかな段差を理由に母の願いを聞き入れませんでした。
さらに主催者側スタッフは、あろうことか、それならあと差額5000円を支払えば車いす専用の席があるのでそこならば移動できると言うのです。
母はそのような不条理な提案は当然拒否しました。
その後も主催者側に何度か自分の購入した座席への案内を求めたが聞き入れられず、公共の場で、開演時間も近づいてきて他の人に迷惑もかかるかもしれないと母は思い、あきらめて会場の隅に座りました。
結局、母はコンサート終了まで自分の意志で購入した座席に一度も座れず、
主催者側によって強制的に会場の隅に座らされることになりました。
(主催者側スタッフは、どうせ見えないのだからステージが見にくい隅の席でいいだろうとでも思ったのでしょうか?)
もちろん料金の返還などありません。
母は普通に歩けるのですから、案内さえしてもらえれば自分の購入した席に容易に行けるのです。何度もそう訴えたのです。
腕に軽くつかまって階段を昇り降りすることは、母に限らず視覚障がい者にとって、極めて普通の動作なのです。
主催者側が1人で視覚障がい者を案内するのが不安なら、複数のスタッフで案内すればよいだけのことです。
開演前の多忙な時間帯でも、主催者側スタッフのほかに市民会館の職員も居たはずです。
障がい者差別解消法に定める差別的扱いの禁止、合理的配慮などまったく無視した扱いです。
主催者の名古屋市は障がい者への合理的配慮に、法的義務があるにもかかわらずこのような扱いをし、違法行為であることは疑う余地がありません。
CBCテレビは民間会社であり、努力義務と規定されていますが、
名古屋を代表する大手放送局ならば、
自治体同様に高い遵法精神が求められることに異論はないはずです。
また、憲法が定める基本的人権の尊重も無視した扱いです。
3 コンサート終了後に同じ男性スタッフが迎えに来ました。
車いすまで距離がありそこまで歩く際、
そのスタッフは何の声掛けもなく、いきなり母の両肩を後ろから両手でつかみ、両肩つかんだまま押しながら歩いたそうです。
母は瞬間的に危険を感じ、「やめてください、はなしてください」と
何度か言いました。
スタッフは無視して車いすまでその状態で歩き続けました。
視覚障がい者にとってこのような行為が短時間であっても、いかに危険で恐怖を感じるか想像できるでしょうか。
また、高齢者でも女性です。まったく知らない男性に公共の場でいきなり両肩をつかまれる行為、
しかも手をはなすよう言っても離さない。危険と恐怖を感じたとのことです。
このような行為は明確にセクハラ行為であり愛知県迷惑防止条例に反するのではとさえ思います。
主催者である名古屋市が発行する
「こんなときどうする?障害がある人を理解し配慮ある接し方をするガイドブック」には、
視覚障がい者の案内のしかたも丁寧に解説されています。
4、後日、母はこのような扱いに抗議するためCBCテレビ事業部に電話をしました。
しかし誠意ある回答は得られませんでした。
その後、よほど悔しい思いをしたのか、私に電話をかけてきて、この件を私に訴えるように話しました。
私も母同様に深い憤りと悲しさを感じました。
私からも、CBCテレビ事業部に抗議の電話を入れました。
7月11日に私の携帯電話にCBCテレビ事業部から謝罪に訪問したいと連絡がありましたが、今の段階では謝罪を受け入れることはできないと伝えました。
この時、私から「障害者差別解消法という法律をご存知ですか?」と質問しましたが、知らない、と答えられました。
公にしないでの解決はあり得ないと思いました。また、この問題の本質を理解されていないと感じました。
一人で外出する視覚障がい者、コンサートに出かける障がい者は珍しくありません。
母が音楽祭に出かけなかったとしても、他の障害者が名古屋国際音楽祭に出かけて、
同様の不当な差別、屈辱的な扱いを受けたかもしれません。
また、歴史あるこの音楽祭で過去にも同様の不当な差別を受けた障がい者がいたかもしれません。
不当な差別を受けても我慢して泣き寝入りした障がい者がいたかもしれないことは、決して否定できません。今まで、この音楽祭で不当に差別をうけても声を上げられなかった障がい者はいるはずです。
二度とこのような事が起こらないためにも、今回の視覚障がい者への不当な差別、障がい者差別解消法に反する行為を、主催者は自ら記者会見を開き公表すべきです。
当初は、名古屋市障害者差別相談センターを通じて主催者側と対応していました。
しかし、何の進展も無いまま1ヶ月程した8月1日に相談センターからメールで、
「名古屋市が遂行する事務事業についての差別相談は市に引き継ぎ市の対応要領に沿って市が対応することとなっておりますのでその原則に基づき今後は名古屋市が対応することとなります」
と告げられ、仕方なく主催者側と直接やりとりすることになりました。
その後、
名古屋市観光文化交流局などに報道機関を通じて公表するよう何度も申し入れしましたが、名古屋市とCBCテレビは不祥事の公表を拒み続けています。
障害者差別解消法の違反さえ「不適切な対応」という言葉を使い、認めようとしません。
主催者側の責任者がだれなのかさえ明確にしてくれません。
個人の力の限界を感じています。障害者差別解消法の順守を啓もうする立場にある行政機関と放送局が、こんな対応であり残念です。また誠意の無い対応に本人はもちろん家族も本当に悔しい思いです。
読んでくださり、ありがとうございます。
経過を随時ツイッターやブログにアップしていきます。
差別に対し声を上げるために、良い意味での炎上が必要と思います。
リツイート、応援よろしくお願いいたします。ブログへのコメントもお待ちしています。
8月26日追記
当初から、今回の障害者差別解消法に反する事実を名古屋市発行の広報誌「広報なごや」視覚障害者 向けの「声の広報なごや」「広報なごや点字版」への掲載を求めていました。 しかし、
8月24日
「広報なごや・声の広報なごやへの掲載について 掲載は予定しておりません」(原文ママ)
観光文化交流局文化振興室からのメールであっさりと拒否されました。視覚障害者はこの事実を知る必要はないということでしょうか。