韓国の国家情報院は北朝鮮に寄港した船舶を監視できるが、今回北朝鮮産石炭の輸入を事前に摘発することができなかったため、北朝鮮に対する監視活動への懸念が広がっている。米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は22日「北朝鮮産石炭輸入の摘発には米国からの情報提供が決定的な役割を果たした」と指摘した上で、上記の懸念を示した。
米国からの情報提供を受け、北朝鮮産石炭の輸入に関与した疑いでトーゴ船籍の貨物船が群山港で抑留されたが、VOAはこの貨物船にも注目している。この貨物船は別の名称を使って昨年7-8月に北朝鮮の南浦港に立ち寄っていた。2016年末に韓国政府が発表した独自制裁によると、北朝鮮に寄港した外国船舶は1年間、韓国の港に入港できない。ところがこの貨物船は北朝鮮に立ち寄った後の昨年10-11月、仁川、釜山、浦項、麗水と4回にわたり韓国の港に入港し、いずれも何の制止も受けず出港していた。
これについてVOAは「北朝鮮に寄港した船舶の追跡と監視が行われていないか、あるいは北朝鮮への寄港を把握しながら意図的に対応しなかったとの批判を受けてもおかしくない」と指摘した。一方で米財務省が21日に独自制裁の対象に指定したロシア船籍の6隻の貨物船のうちNeptun(2回)、Bogatyr(7回)、Partizan(5回)、Sevastopol(10回)の4隻は今年韓国の港に立ち寄った記録が残っていた。うちSevastopolは現在も釜山港に停泊し修理が行われているという。
韓国政府はこの船舶に対して立ち入り検査を行い、米国と協議した上で、この船舶が国連安保理による制裁に直接違反した容疑がないか確認し、今後の対応について決める予定だ。米国の独自制裁は制裁対象船舶の抑留を義務付けておらず、また韓国の関税法に基づいて抑留するには、安保理決議への違反に直接加担した証拠が必要になる。そのためSevastopolを韓国政府が抑留するには、国連安保理制裁の対象に追加で指定されるか、あるいは安保理制裁に直接違反した証拠を摘発しなければならない。