事件があった江原道寧越郡寧越邑内の集落は、寧越邑の中心部から車で10分ほど離れた所にある。住民は188世帯・345人。寧越郡の中でも唐辛子・稲作・果樹農業が盛んと言われている。食べる物も豊富で、人々の情も厚い。素朴で静かな農村の集落だ。
だが、記者が22日午後に同地を訪れた時は、収穫期を迎えて忙しく働く住民たちは見当たらなかった。道で会った住民たちは、よそから来た人々に会うのが怖いのか、避けるように目をそらした。何とか話してみようとしても、警戒心を解くのは容易でなかった。「ああ、この村でなぜあんなことが…。恥ずかしくて顔も上げられません」。やっとの事で話してくれた住民のキムさんはため息をついた。キムさんは「この集落ができてから一番衝撃的な事件だから…」と言葉を濁した。キムさんが言った「衝撃的な事件」とは、同じ集落に住む女性(25)に対して60-80代の男7人が数年間にわたり性的暴行を加えていた事件のことだ。知的障がいを持つこの女性の精神年齢は3歳半程度だという。警察は2014年からこの女性に対して常習的に性的暴行を加えていた男7人のうち3人を逮捕、4人を在宅のまま立件し、先月9日に送検した。
事件が明らかになった後も、容疑者とされる男たちは一様に犯行を否定している。この日、集落で会った容疑者の1人は「(被害者女性に)性的暴行を振るったことはない」と主張した。 80代のこの容疑者は白髪頭で耳が遠い。「女性に対して、なぜそのようなことをしたのか」と記者が問うと、この容疑者は「『体を一度触ってやろう』と言っただけだ。孫娘のようだからそうした。私は誰よりも(被害者女性のことを)かわいがっている。警察はあの女の言葉しか信じていないのでこうなった。くやしい」と主張した。