「凬」「罧」「愆」…何て読む? 難読社名増加、検索社会を反映 これは嘘ニュースです
愆雎竭櫢凬社内。社長含め誰一人読み書きできないという。
ネット広告代理店の愆雎竭櫢凬(東京都)は、3月に立ち上がったばかりベンチャー企業だ。社名の由来について、社長の江沢民雄さん(24)は「読めない漢字を集めただけなので意味はありません。私の名前のせいもあって中国系企業じゃないかとよく間違われます」と苦笑いする。
江沢さんが社名にこのような漢字を使ったことには理由がある。ネット上での風評被害を避けるためだ。以前、中国について書かれた新聞記事をネットで読んだとき、人名の一部が黒丸(●)に置き換えられていることに気が付いた。
新聞・雑誌などのメディアでは、原則として国が常用漢字として定めた2136字以外を用いない方針がある。また、コンピューターの基本ソフト(OS)によっては、常用外の漢字を正しく表示できない場合もあるため、かなに置き換えたり、読み仮名を入れたりして対応するのが一般的だ。元SMAPの草なぎ剛さんについて書いた記事の文末に「草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀」という、元の字を知っている人にしか通じない本末転倒な但し書きが入っているのもこのような理由による。
「この表記ルールを逆手に取れば、将来弊社が何か不祥事をやらかしても、ネット記事には『行構えの間にサンズイをはさんだ字の下に心』みたいな面倒くさい但し書きが入るか、『●●●●●』と全文字伏せ字の自己検閲状態になるはず。ささいな事件なら記者が面倒くさがって掲載を見送る可能性もあります」と江沢さんは語る。
「今や不祥事を起こした途端、企業名の検索候補に『不祥事』『ブラック』『逮捕』などの語句が並ぶ時代になりました。不名誉な検索を避けるという意味では、ウェブページ上に『noindex』のようなバレバレのメタタグを入れるより、よほど効果的ではないでしょうか。かつて社名は創業者や創業理念を託した『会社の顔』でした。しかし、検索技術の進歩が著しい今、その顔に泥を塗られるのを防ぐマスクが必要な時代になっているのです」
企業の命名について詳しい京都大学広告宣伝学部の坂本義太夫教授(光宙論)は「こういうことにばかり知恵が回る会社に泥よけマスクは必要ないのではないか。元々面の皮が厚いから」と疑問を呈した。