志位和夫の勇気ある渾身のツイートに拍手 - 昭和天皇の戦争責任
昨日(23日)、昭和天皇が戦争責任について晩年に侍従に語った件が報道された。元侍従の小林忍が日記に書いていて、共同通信がそれを入手し公開したものだ。全体の文脈を読むと、85歳(死の1年半前)の昭和天皇が侍従に愚痴をこぼしていて、長生きしても楽しいことはない、近親者も不幸になるし、戦争責任のことを言われるしと嘆いている。朝日の記事を見ると、その昭和天皇の愚痴に対して、小林忍は「戦争責任はごく一部の者がいうだけで国民の大多数はそうではない。(略)お気になさることはない」と慰めている。おそらく、この小林忍の慰めが欲しくて、昭和天皇は愚痴をこぼしたのだろう。テレビのニュースでは、右翼の古川隆久が解説に登場し、「昭和天皇が戦争責任の問題を長年重く受け止め、高齢になるにつれその思いが強くなっていたことがうかがえる」と「分析」を垂れていた。昭和天皇が戦争責任を重く受け止めていたというフィクションを撒き、視聴者にフェイクを刷り込んでいる。驚いたことに、朝日の紙面(2面)にも古川隆久が出ていて、NHKと同じ「解説」を記事にしている。脱力させられた。
われわれの通念からすれば、こうした問題を朝日が記事にするときは、原武史か保阪正康を起用するのが自然で、古川隆久はまさかと目を疑う人選だ。どういうことなのだろう。この23日の地方紙1面トップを飾ったスクープは、共同通信が小林忍の遺族から日記を預かり、半藤一利と保阪正康と共に分析した上で出したものらしく。その経緯から考えれば、まずまず筋のいい情報であり、右翼が昭和天皇を美化する目的で仕込んだものとは考えにくい。この「情報」と「報道」の意味を読み解くのは至難の業だが、一つ言えるのは、半藤一利と保阪正康が絡んでいるのなら、間違いなく平成天皇本人も関わっているということだ。半藤一利と保阪正康は平成天皇に近く、かなり緊密に平素から連絡を取り合っていることは間違いない。今回、「報道」の解説に、分析に加わったはずの二人が登場しておらず、黒子として隠れた形になっている。そして、マスコミの「報道」には古川隆久が登場した。意味が分かりにくい政治だ。いったい、平成天皇はこの「情報」に接して半藤一利と保阪正康に何と言ったのだろう。平成天皇は、昭和天皇の戦争責任の問題をどう始末するつもりなのか。
私は個人的に、リベラルの平成天皇の口から昭和天皇の戦争責任について語ってもらいたいと思うし、戦争責任と向き合わず、反省せず卑劣に逃げ続けた昭和天皇を批判して欲しいと願っている。平成天皇の言葉として、昭和天皇の戦争責任を断罪し総括することをやり遂げてもらい、昭和天皇の戦争責任についての議論に終止符を打ってもらいたいと考えている。それが、平和憲法で定められた象徴天皇の使命であり、平成天皇の義務だろうと求めたい。そのことによって国論が統一され、歴史認識のカタがつき、韓国中国をはじめアジア諸国と国際社会に対するけじめも果たせる。明仁天皇と美智子皇后が死ぬ前に、昭和天皇の戦争責任について正論を発し、その宿題(負債)を皇太子や秋篠宮に残すことをしないで欲しい。それが親としての責務だと確信する。あの生前退位のときと同じように、勇気を出してこの課題に挑戦し、将来の日本人のために正しい地平を切り拓いて欲しい。責任回避は許されない。欺瞞も無視も詭弁も許されない。侵略戦争をやったのは昭和天皇だった。あのアジア太平洋の戦争は「昭和天皇の戦争」だった。ヨーロッパの戦争が「ヒトラーの戦争」であるように。
この問題について、すぐに志位和夫がツイートを発し、「昭和天皇は、中国侵略でも対米英開戦決定でも、軍の最高責任者として侵略戦争拡大の方向で積極的に関与した。個々の軍事作戦に指導と命令を与え、戦争末期の45年に入っても戦争継続に固執して惨害を広げた。歴史の事実だ」と述べた。素晴らしい。この志位和夫の勇敢な発言には拍手を送りたい。よく言った。このとおりだ。さすがに日本一のステイツマン。見事に正論を切り込んで一刀両断にしている。このツイートは歴史に残り、後世高く評価されることになるだろう。責任のある政党の党首がこう言い切るのは、よほどの覚悟がないといけないし、裏打ちされた歴史の知識がないといけない。普通の人間がこれを見て思うのは、軽薄さとは無縁で、深い知性を持った志位和夫がここまで断言するのだから、豊富で確実な歴史的資料の根拠があり、公の場で反論されればいくらでも反証を挙げられるだろうということであり、つまり、信用できる主張だということだ。実際、歴史学者の地道な研究は、その証拠を積み上げ、昭和天皇のイメージを大きく変えてきた。私も、20年前とは大きく異なり、あの戦争と昭和天皇の概念を変えた。
政治学的にプリミティブに考えて、戦争をする国家というのは強力な指導者がなければできないのである。特に総力戦となった第二次大戦はそうだ。国家そのものが軍隊であり、国民一人一人一人が兵士であり、すべては戦争に従属する。国民生活とは軍隊生活のことである。英国はチャーチル、米国はルーズベルト、ソ連はスターリンが連合国側の最高司令官として戦争を指導した。枢軸国側(ファシズム側)は、ムッソリーニとヒトラーと昭和天皇である。だからこそ、当たり前のことだが、豪州は昭和天皇の戦犯有罪死刑を要求した。私を含めて多くの者は、嘗ては、昭和天皇というのは軍部に操られた木偶人形だと考えていたし、その神輿の表象を補強するのが、天皇には国家の政策決定の権限はないとか、実権はなく介入できないとかの法的なタテマエ論だった。それが全くの作り話であり、壮絶な神話であることを察知したのは、私の場合、最近のことで、吉田裕や豊下楢彦の昭和天皇の終戦史の研究を読んで啓発されたことが契機だった。何もかもあの男の主導だったのだ。有効な一撃に拘ってずるずる講和を引き延ばしたのもあの男だ。米国に占領させて国体護持を図ったのもあの男だ。
そうして、ようやく、終戦前に首相がコロコロ替わっている事情も理解した。意味が分かった。権力が空洞であるようで、実際には空洞ではなく、中心に権力を持って差配している男がいたのだ。ああしろ、こうしろと。志位和夫の簡潔なツイートは一言残らず正しい。よく言い切ってくれたと思う。中国への侵略戦争(陸軍)もこの男だし、米国との無謀な開戦(海軍)もこの男だ。この男の意思決定だ。東条英機を買ったのはこの男で、石井部隊の細菌戦も、中国でのアヘン密売も、おそらく耳に入れていただろう。軍の情報は必ず上に上がる。外には漏れないが、上には真っ直ぐ上がる。統帥と機密というのはそういうものだ。ぜひプライムニュースは志位和夫をスタジオに呼び、櫻井よしこでも誰でもいいから右翼の猛者を相手にさせ、この昭和天皇の戦争責任の問題で討論を組んで欲しい。志位和夫が論破しまくって、一晩で正しい歴史認識がこの国に確立するに違いない。今回この問題で、志位和夫は見事なファインプレーを演じたが、それをエンドースする政治学者が一人も出て来ない。政治学者が不勉強で、知識もなく、勇気もなく、志位和夫に続くことができない。論点に中身を肉付けして右翼に説教してやることができない。
われわれの通念からすれば、こうした問題を朝日が記事にするときは、原武史か保阪正康を起用するのが自然で、古川隆久はまさかと目を疑う人選だ。どういうことなのだろう。この23日の地方紙1面トップを飾ったスクープは、共同通信が小林忍の遺族から日記を預かり、半藤一利と保阪正康と共に分析した上で出したものらしく。その経緯から考えれば、まずまず筋のいい情報であり、右翼が昭和天皇を美化する目的で仕込んだものとは考えにくい。この「情報」と「報道」の意味を読み解くのは至難の業だが、一つ言えるのは、半藤一利と保阪正康が絡んでいるのなら、間違いなく平成天皇本人も関わっているということだ。半藤一利と保阪正康は平成天皇に近く、かなり緊密に平素から連絡を取り合っていることは間違いない。今回、「報道」の解説に、分析に加わったはずの二人が登場しておらず、黒子として隠れた形になっている。そして、マスコミの「報道」には古川隆久が登場した。意味が分かりにくい政治だ。いったい、平成天皇はこの「情報」に接して半藤一利と保阪正康に何と言ったのだろう。平成天皇は、昭和天皇の戦争責任の問題をどう始末するつもりなのか。
私は個人的に、リベラルの平成天皇の口から昭和天皇の戦争責任について語ってもらいたいと思うし、戦争責任と向き合わず、反省せず卑劣に逃げ続けた昭和天皇を批判して欲しいと願っている。平成天皇の言葉として、昭和天皇の戦争責任を断罪し総括することをやり遂げてもらい、昭和天皇の戦争責任についての議論に終止符を打ってもらいたいと考えている。それが、平和憲法で定められた象徴天皇の使命であり、平成天皇の義務だろうと求めたい。そのことによって国論が統一され、歴史認識のカタがつき、韓国中国をはじめアジア諸国と国際社会に対するけじめも果たせる。明仁天皇と美智子皇后が死ぬ前に、昭和天皇の戦争責任について正論を発し、その宿題(負債)を皇太子や秋篠宮に残すことをしないで欲しい。それが親としての責務だと確信する。あの生前退位のときと同じように、勇気を出してこの課題に挑戦し、将来の日本人のために正しい地平を切り拓いて欲しい。責任回避は許されない。欺瞞も無視も詭弁も許されない。侵略戦争をやったのは昭和天皇だった。あのアジア太平洋の戦争は「昭和天皇の戦争」だった。ヨーロッパの戦争が「ヒトラーの戦争」であるように。
この問題について、すぐに志位和夫がツイートを発し、「昭和天皇は、中国侵略でも対米英開戦決定でも、軍の最高責任者として侵略戦争拡大の方向で積極的に関与した。個々の軍事作戦に指導と命令を与え、戦争末期の45年に入っても戦争継続に固執して惨害を広げた。歴史の事実だ」と述べた。素晴らしい。この志位和夫の勇敢な発言には拍手を送りたい。よく言った。このとおりだ。さすがに日本一のステイツマン。見事に正論を切り込んで一刀両断にしている。このツイートは歴史に残り、後世高く評価されることになるだろう。責任のある政党の党首がこう言い切るのは、よほどの覚悟がないといけないし、裏打ちされた歴史の知識がないといけない。普通の人間がこれを見て思うのは、軽薄さとは無縁で、深い知性を持った志位和夫がここまで断言するのだから、豊富で確実な歴史的資料の根拠があり、公の場で反論されればいくらでも反証を挙げられるだろうということであり、つまり、信用できる主張だということだ。実際、歴史学者の地道な研究は、その証拠を積み上げ、昭和天皇のイメージを大きく変えてきた。私も、20年前とは大きく異なり、あの戦争と昭和天皇の概念を変えた。
政治学的にプリミティブに考えて、戦争をする国家というのは強力な指導者がなければできないのである。特に総力戦となった第二次大戦はそうだ。国家そのものが軍隊であり、国民一人一人一人が兵士であり、すべては戦争に従属する。国民生活とは軍隊生活のことである。英国はチャーチル、米国はルーズベルト、ソ連はスターリンが連合国側の最高司令官として戦争を指導した。枢軸国側(ファシズム側)は、ムッソリーニとヒトラーと昭和天皇である。だからこそ、当たり前のことだが、豪州は昭和天皇の戦犯有罪死刑を要求した。私を含めて多くの者は、嘗ては、昭和天皇というのは軍部に操られた木偶人形だと考えていたし、その神輿の表象を補強するのが、天皇には国家の政策決定の権限はないとか、実権はなく介入できないとかの法的なタテマエ論だった。それが全くの作り話であり、壮絶な神話であることを察知したのは、私の場合、最近のことで、吉田裕や豊下楢彦の昭和天皇の終戦史の研究を読んで啓発されたことが契機だった。何もかもあの男の主導だったのだ。有効な一撃に拘ってずるずる講和を引き延ばしたのもあの男だ。米国に占領させて国体護持を図ったのもあの男だ。
そうして、ようやく、終戦前に首相がコロコロ替わっている事情も理解した。意味が分かった。権力が空洞であるようで、実際には空洞ではなく、中心に権力を持って差配している男がいたのだ。ああしろ、こうしろと。志位和夫の簡潔なツイートは一言残らず正しい。よく言い切ってくれたと思う。中国への侵略戦争(陸軍)もこの男だし、米国との無謀な開戦(海軍)もこの男だ。この男の意思決定だ。東条英機を買ったのはこの男で、石井部隊の細菌戦も、中国でのアヘン密売も、おそらく耳に入れていただろう。軍の情報は必ず上に上がる。外には漏れないが、上には真っ直ぐ上がる。統帥と機密というのはそういうものだ。ぜひプライムニュースは志位和夫をスタジオに呼び、櫻井よしこでも誰でもいいから右翼の猛者を相手にさせ、この昭和天皇の戦争責任の問題で討論を組んで欲しい。志位和夫が論破しまくって、一晩で正しい歴史認識がこの国に確立するに違いない。今回この問題で、志位和夫は見事なファインプレーを演じたが、それをエンドースする政治学者が一人も出て来ない。政治学者が不勉強で、知識もなく、勇気もなく、志位和夫に続くことができない。論点に中身を肉付けして右翼に説教してやることができない。
そのことがとても腹立たしい。チャラチャラと売名のためにSEALDsをマスコミに売り、「野党共闘」の太鼓持ちになって宣伝に努め、流行のマイノリティ主義の尻馬に乗ってお経を唱えているしばき隊政治学者は多くいるが、このような重要な局面で志位和夫をサポートできる政治学者がいない。昭和天皇の戦争責任を学問的に論じて右翼に反駁し説教する政治学者がいない。それに取り組もうとする政治学者がいない。情けないとしか言いようがない。
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by yoniumuhibi
| 2018-08-24 23:30
|
Comments(3)
Commented
by
某院生
at 2018-08-25 00:25
x
興味深い記事です。
もっと詳しく書いて頂きたい。
もっと詳しく書いて頂きたい。
Commented
by
不来庵
at 2018-08-25 14:30
x
いつも拝読しております。今回の記事、右派と自認している私ですが反論のぐうの余地もありません。
共産党の志位氏については言いたいこともありますが今回ばかりは見直した次第です。
迫力のある記事でした。
ありがとうございます。
共産党の志位氏については言いたいこともありますが今回ばかりは見直した次第です。
迫力のある記事でした。
ありがとうございます。
Commented
by
長坂
at 2018-08-26 21:23
x
「リベラル」の人達は、2004年の「国旗国歌が強制でないのが望ましい」に一縷の望みをかけ更なる右傾化の歯止めとして天皇を利用?(と言うと言葉は悪いが)してきたと思います。今では「日本国憲法を破壊し戦後民主主義を終焉させる」シンゾーVS 「日本国憲法の擁護者であり戦後民主主義の体現者」天皇みたいな構図で、天皇は反安倍の象徴。私もシンゾーの歴史修正主義、極右思想に対しあの戦争を深く反省すると言う「お言葉」を聞くとホッとしてました。でも「反省」「不幸な出来事」「膨大な数の無辜の市民の死」と言われても決して誰が不幸な出来事を起こしたとか、何故膨大な死者が出たかには一切触れない、オバマの「空から降ってきた原爆」と同じ。結局シンゾーとマッチポンプの関係じゃないかと。で、危惧した通り、毎日新聞が「現代の知の巨人」(びっくり)と崇める内田樹の「天皇主義者」宣言。「福音と世界」に掲載されたインタビューを読んだだけですが、そこに皇居清掃のボランティアをしている青年が天皇から深々と頭を下げられ「ご苦労様」と言われ「首相の為には死ねないが、天皇陛下の為なら死ねる」と言うくだり。戦後日本のレゾンデートル全否定じゃない、これ。自称「リベラル」と言う人や新聞は本気で戦争反対しませんよ。
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