Opai Puzzle
タイトルの『Opai Puzzle』は、日本語の「おっぱい」の意味と思われるが「Oppai」ではない。単なる間違いか、意図的かは不明だが、ここから想像できるように「性的な絵を見ることが目的のパズルゲーム」と考えていいと思う。
発売日は「2018年6月19日」となっているが、ユーザーによるレビューや掲示板の書き込み時期を見ると、実質の発売はつい先日。デベロッパー・パブリッシャーは「OPai Game」と書かれているが、ゲームでは中国語のメッセージが表示される。価格は定価205円、発売当初はセールで123円と低価格だった。
このゲームに限らず、Steamで「hentai」のキーワードで検索すると、同様の趣旨と思われるゲームが大量に表示される。このようなゲームを低価格で入手できることは、ある種の魅力とも言えるが、『Opai Puzzle』はその中でも少し特殊な経緯を見せていた。
ゲームの特徴と、発生する問題
このゲームは性的な表現が多いなどの理由により、スクリーンショットに修正を加えていることはご容赦願いたい。ゲームを起動すると、デフォルトで入っている6枚のサムネイルが表示され、選択すると、バラバラに配置されたピースを揃えるパズルが始まる。
操作はマウスのみで、ドラッグ&ドロップでピースを掴んで運ぶと、もともと置かれていたピースと入れ替わる。並べ替えが容易なので難易度は極めて低く、絵を完成することだけに集中できる、親切と言えば親切なシステムである。
だが、実際にプレイできるのは6枚だけではなく、
ユーザーが自分で作成した絵を自由にアップロードして、他のユーザーがダウンロードしてパズルとして遊べる
アップロードされた画像は、Steamコミュニティ内のワークショップ(現在は閉鎖されている)で回覧され、ゲーム内に取り込むことができた。しかも画像だけではなく、プレイ中のBGMを変えたり、完成すると動画が流れるなど、演出も自由に作ることができる、そんな無限の可能性を秘めたものだった。
「自由」が問題に
だが、これによる問題が早々に発生する。発売開始された当初から大量の画像がアップされ、性的なものや著作権を侵害するもの、ネタ的に投稿されたものであふれかえっていたのである。つまりこのゲームは、
著作権などに反する画像・動画・音声もアップロード・ダウンロードが自由になってしまう、ファイル共有ソフトの側面も持っていた
それから数日後、ゲームのアップロード・ダウンロード機能は削除され、ワークショップは閉鎖される。その時期に書き込まれたSteamコミュニティの掲示板を見ると、最初はムービーのアップロードのみと削除され、後に画像を含めた機能の削除とワークショップの閉鎖となったようだ。
このおかげで、残ったのはたった6枚の画像のみ。それさえも、最初はかなり性的な部分を露出していたものが、一部を隠すなど修正されたものに差し替わっていた。
もはや何の特徴もない簡素なパズルゲームとなってしまったが、実はここから、更なる変貌を見せる。
作者が行った「無断」
ある日、ゲームにアップデートが施され、突然1GBの容量を越えるという、あり得ないボリュームに膨れ上がる。それを起動すると、「私の最後のゲーム、そして最初のゲーム」(翻訳サイトで確認)というメッセージが表示される、どうも新しいゲームが追加されたらしい。
それを選択すると・・・
何と、パズルとは全く別の3Dアクションゲームが始まった。キーボードとマウス操作でプレイヤーを操作して敵を倒していくというもので、ゲームとしては結構楽しめるものだった。
実はこれ、すでにSteamで配信中の『Girl X Mushrooms(少女X蘑菇)』がそのまま混入されていた。
このゲームにも中国語が表示されることや、デベロッパー・パブリッシャー名が「shabi」(中国語でとても下品な意味)であることから、『Opai Puzzle』と同作者の可能性はあるが、例えそうであろうと、Steamで販売されている別のゲームを混入する行為は許されるのか。
それと共に、なぜか毎日のようにデフォルトの画像は修正あり・なしが何度も繰り返された(私の知る範囲で3回ほど)り、全く別の画像に差し替えられることもあった。
その中でも、私が調べた限り、修正版画像ののLEVEL 1は『デュエリスト×エンゲージ』というゲームのキャラクター、槙野 萌菜香の場面を使用していることが分かった。他の画像もそれぞれ絵柄が全く違うことや、これらの経緯から考えても、全て無断転載という可能性は否定できない。
そしていつの間にか、ゲーム自体がSteamのストア上から姿を消していた。ストアページ自体は残っているが、Steamの検索で見つけることはできない。
経緯のまとめと可能性
これらの経緯をまとめると、- ユーザーが自由にアップ・ダウンできるパズルゲームが発売開始される。
- 違法な画像・動画などが大量にアップされる。
- アップデートによりアップロード・ダウンロード機能が削除され、ワークショップも閉鎖される。
- ほぼ同時に、デフォルトで入っていた画像は修正されたものに差し替えられる。
- 更なるアップデートで、全く別のゲームが混入される。
- デフォルトの画像は修正あり・なしを繰り返したり、全て別のものに差し替えられる。
- ストアでの発売停止。
その中での問題は、
- 画像や動画などのファイルを自由に配布できた。
- ワークショップで性的なものや著作権に触れる画像が大量にアップされた。
- ゲーム自体にも無断転載の画像など著作権に触れていた。
- 配信のものと全く別のゲームを混入した。
- 混入したゲームはSteamで配信中のものだった。
「正」にも「負」にもなる
ここから先は、私が個人的に思ったことや想像したことに過ぎないので、あくまで1ユーザーの意見として読んで欲しい。私が今回思ったのは、このような形で配信されると、仮に画像が問題であってもゲーム自体の責任は問われないなど、色々な形で逃げ道を作ることで、
「Steamで画像や動画の配布が可能になる」のではないか、作者はそれに対する方法を模索していたのではないか、という懸念があったこと。
この辺のことを発売当初に思ったので、購入して流れを追っていたが、想像以上の、まさに斜め上の(『斜め下』と言うべきか?)結果に至ったということ。
といっても、作者の本当の目的は不明で、純粋にゲームの特徴として備えたものだったら、Steamにおける可能性の一つとして期待できただろう。だが今回は全く逆と言える、Steamにおける「負の可能性」を見てしまったような気がする。
タグ:Steam Opai Puzzle