中学生の夏休みの宿題と言えば、『人権作文』と『税金作文』が主流となってきている。両方の作文を書かせる中学校もあれば、どちらかを選択できる中学校もあるらしい。
昨今、いじめ・難民・女性の問題が問いただされているので、人権に関しては取り組みやすいかもしれない。しかし、中学生にとって馴染みの薄い税金に関しては、作文で何を書いたら良いのかわからない生徒も多いだろう。
税金作文を書く上での基礎知識
まずは、税金にどんな種類があるのかを知ってもらいたい。もし自分が興味を持つ税金の種類があればその税金について掘り下げて調べてみると作文が捗るであろう。
ここでは、各税金の大まかな概要だけを知って欲しい。後述するが、税金の作文を書くからといって詳しく知る必要はないのだ。概要だけを知っていればよい。
税金の種類
消費税・・・商品やサービスに対してかかる税金。2015年10月現在8% ※2017年4月より10%に変更
所得税・・・個人の所得に応じてかかる税金。所得が多ければ多いほど税金の比率が高くなる。
住民税・・・住んでいる都道府県に納める税金。
法人税・・・会社の所得に応じてかかる税金。
酒税・・・お酒にかかる税金。
たばこ税・・・たばこにかかる税金。
自動車税・・・自動車をもっている人にかかる税金。
これら上記の税金は消費者が直接支払う、『直接税』と製造者や販売者が代わりに支払う『間接税』に分けられる。 細かい区分は以下の通りだ。
直接税 | 間接税 | |
国税 | 所得税・法人税、相続税、贈与税など | 消費税、酒税、たばこ税、関税など |
道府県税 | 道府県民税、事業税、自動車税など | 地方消費税、道府県たばこ税、ゴルフ場利用税など |
市町村税 | 市町村民税、固定資産税、軽自動車税など | 市町村たばこ税、入湯税など |
先ほども述べたかが、1つ1つの税金の種類について細かく掘り下げる必要はない。
もし自分が興味を持てる分野があれば、調べてみると作文がスラスラかけるようになると思うので、できる人はやってほしい。
税金はなぜ支払うのか?どのように使われるのか?
ここがポイントとなる。
税の作文は、毎年国税庁と全国納税貯蓄組合連合会が『税の作文』を募集し、内閣総理大臣賞、総務大臣賞、財務大臣賞、文部科学大臣奨励賞、国税庁長官賞を決定している。
賞を獲得している税金作文は国税庁のHPに記載されているが、次に平成26年度の受賞作品のタイトルだけ見てみよう。
『税金がたどりつく場所』
『税で作る支えあいの輪』
『税と「相互扶助」の精神』
『気づきから生まれた誇り』
引用:平成26年度 中学生「税についての作文」
つまり、賞を受賞している作品では、1つ1つの税金について細かいことは触れていない。 税金がどのように使われるのか? 税金の存在によって私たちの生活がどれほど助かっているのか? そういった大きな枠組みでの税金に対する自分の体験談や気づきなどを作文に落とし込んでいけばいいのだ。
もしも税金が存在しなかったら・・・?
税金がなかったら私たちの生活は結構大変なことになる。
税金の使い道は、1番身近な使われ方としては、「公共サービス」のために使われる。公共サービスとは、国民が豊かな生活を実現するために、みんなにとって必要なことを提供するサービスのことだ。
もしも公共サービスが無ければ・・・ 救急車が有料になる 公園が有料になる 医療費が全額自己負担になる ごみ収集が有料になる 交番が有料になる 市役所が有料になる などなどの弊害が起きる。今まで、当たり前のように使っていたサービスは実は税金で支払われているのだ。
税金作文のネタ
上記の説明で税金が人々の生活に与える影響は理解して貰えたはずだ。
税金のおかげで私たちは公共サービスの恩恵を受けることができているのだ。 その1つ1つに対して、少し掘り下げて調べてみたりテレビや自分の体験談での気づきを踏まえて作文を書いていけばいいのだ。
ここでは、ちょっとしたアドバイスとして、どんなテーマが税金作文のネタになるか?をいくつか挙げてみよう。
○医療費
テレビで見たことがある人もいるかもしれない。 あるアメリカ人男性が盲腸にかかり手術を受けた。その医療費はなんど・・・113万円もかかったのだ。
しかも民間の保険を使用してこの金額なので、実際は500万円以上の請求を受けていたのだ。 アメリカの場合は、医療費の保険はほぼすべて民間企業が行っている。
低所得者や老人への保険制度は国が運営しているが、それ以外は民間企業の保険に年間20万円程度支払うのだ。 それに対して、日本の場合は国民皆保険制度に多くの税金が投入されている。(国民皆保険とは国民全員が医療費の保険に入ることだ)。
社会保険や国民健康保険などの言葉を聞いたことがあるかもしれないが、国や地方自治体の税金も多く投入されている。 日本が国をあげて医療保険に税金を投入することによって、病気になってしまったら、無料で救急車が病院まで連れていってくれて手厚い医療を安価な金額で受けることができ、かかった医療費の7割が保険が負担してくれるのだ
。70歳以上の老人に関しては9割が保険によって賄われている。 『日本の医療費がなぜ安いのか?』 『税金が日本の医療費を安くしている?』 等のタイトルで作文を書きだすことができるだろう。
○年金・介護・障害
お年寄りや、病気で介護が必要な人、事故や先天性で体に障害がある人。
彼らは仕事をしたくてもできない状況にあるかもしれない。では、彼らの生活はどのように支えられているのか? もちろん税金が使われている。
これらの制度のことを大きな意味で社会保障制度と言う。欧米の国では、日本よりも税金がはるかに高い国がたくさんある。例えばスウェーデンなどは消費税が25%と日本と比べると3倍近くの税率となっている。
しかし、その代りに社会保障が充実しており、年を取ってからの老後生活を国が面倒を見てくれるということだ。 この切り口もおもしろいかもしれない。
スウェーデンでは20歳未満の医療費は税金が使われ無料となっているので、社会全体で助け合う精神が根付いている。 中学生にとって身近な例であれば、養護施設の体験や老人ホームなどの訪問をしたことがある人もいるかもしれない。 そういった施設に行って、感じたこと、「相互扶助」の考えなどをテーマに作文を書いてもいいかもしれない。
○教育費
日本では中学校までは義務教育とされている。国民の3大義務の1つに「教育を受けさせる義務」があることから、中学校の教育にももちろん税金が使われている。
例えば、公立の小中学校では、教科書や実験道具・体育の運動道具などに税金が使われているし、先生たちのお給料にも税金が使われている。
親のいない子供や、虐待などで親と一緒に暮らせない子供達の児童養護施設等も税金が使われている。広い意味で教育費になるだろう。
「国が教育費に税金をかける目的」「なぜ国は教育に税金をかけるのか?」等のタイトルで、目的を調べていっても面白いかもしれない。そこに自分の意見が入れられれば良い作文になるだろう。
○上下水道
上下水道の処理にも税金が使われている。お風呂やトイレに使った下水は下水処理場で処理されなければならない。
もちろん下水処理場で働いている人たちのお給料もかかるし、下水処理を行う施設や機械にもお金がかかる。上水も人間が飲んでも安全な値での水を提供するように処理がされている。東京は「東京水プロジェクト」にも力を入れていて、安心して水道の水が飲めるようにしているのだ。
私たちが当たり前のように使っている、水道にも税金が使われているので、何か気づきがあれば作文にできるかもしれない。 小学校の時に社会科見学で下水処理場の見学に行ったことがあれば、それだけで作文の入り口としては素晴らしいだろう。
まとめ
今回は、税金作文を書く上での基礎知識について述べた。 1つ1つの税金の知識を深く掘り下げる必要はまったくない。
私たちの税金がどのように使われているのか?私たちの税金が使われることによって私たちの生活にどんなメリットがあるのか? まずはその点をおさえなければならない。
そしてそれは知っていなければ、税金の作文なんて書き始めることができないのだ。
まずは、税金の用途に関して知識をつけ、自分の実体験にからめて感想を入れられると良い作文になる。是非、参考にしてみて欲しい。 コメント欄では、税金作文のネタについてアドバイスをしている。 質問や相談があれば気軽に投稿してくれ。
作文でもズバリ「税金作文」にテーマを絞った解説、とても参考になりました。
自分の日常から、より具体的なエピソードを絡めて書くことがコツですね。
ところで・・・そもそも、小論文自体が苦手な場合、どうしたら良いのでしょう。
推薦入試でも必須です。大学入学後もレポートで苦戦する学生が多いと聞きます。
400字詰め原稿用紙2枚にまとめるコツを何回かに分けてシリーズで詳しくご教授お願いします。
中学生にとっては税金は馴染みがない分野なので作文を書くのは難しいですよね。
次回は、小論文や作文の書き方についてまとめてみたいと思います。
大学ではレポート提出が必須なのに体系立ててレポートの書き方を学ぶ機会は少ないですもんね。
少々お待ちください。