国際電気通信基礎技術研究所は2018年7月26日、両腕を使いながら脳でロボットアームを操作するBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)手法の研究成果を発表した。同研究所石黒浩特別研究所 主幹研究員の西尾修一氏らのグループが実証した。
同研究では、人が両腕を使いながらBMIを介して脳波によるロボットアームを操作する実験を行い、高い成功率で操作できることを実証した。これまでBMIの性能は限定的で、使用者が体を静止して強く集中することが必要なこともあり、障害者用などの用途に限られ、技術の汎用化が課題となっていた。
実験では、アンドロイドのアームが肩からもう1本腕が出ているように実験参加者の左横に設置。参加者は両手で板を持ち、板の上に置かれたボールが板に描かれた4つの図形の上を順に回るよう板を動かし続けた。
さらに実験参加者は、差し出されたペットボトルをロボットアームで握り、ペットボトルが引き戻された時にロボットアームを下ろすことができれば成功とした。実験の結果、うまく操作できる群8人とうまく操作できない群7人とに分かれること、またうまく操作できる群では平均85%の成功率が得られることが判明した。
成果はBMI技術の用途拡大に向けた第一歩になるとともに、人のマルチタスク能力など認知能力の解明と向上にも役立つと考えられ、研究の進展が期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.