望月吉彦先生
更新日:2015/04/06
皆さんは、「リンゲル液」をご存じでしょうか?
世界中の何処の病院にも必ずあると言っても過言ではないでしょう。勿論、エミリオ森口クリニックもあります。大抵は、「乳酸リンゲル液」と言う名前がついています。これは、基本中の基本の「点滴液」です。
ところで、皆さん、「長崎ちゃんぽん」を好きですか?私は好きです。一ヶ月に一度くらい食べに行くほどです!と言っても、長崎まで行くわけではありません。 「リンガーハット」のお店(正式名称:リンガーハットジャパン株式会社、本社:長崎県長崎市)へ行って食べます。耳より情報としては、糖質を減らそうと思われる方なら“野菜増量で麺抜き”をお勧めします。
「リンガーハット」の名前の由来はご存知ですか? 長崎旅行をすると必ず(?)行く観光名所に「グラバー園」があります。大変眺めが良い所です。私も20年位前に学会で長崎に行った時に行きました。
「グラバー園」と称する一帯の中にはグラバー(トーマス・ブレーク・グラバー、1838- 1911年、スコットランド出身の商人)と仲の良かったイギリス人貿易商2名(リンガー、オルト)の邸宅もあります。仲良く、長崎の山の上に邸宅を建てたのですね。それらの邸宅はすべて重要文化財です。リンガー邸を見学していた時、その説明文に「このリンガー邸はフレデリック・リンガー氏の邸宅で、同氏はリンゲル液で有名なシドニー・リンガーの弟である。」と書かれていました。我々は、「リンゲル液」と通称していますが、「リンガーのドイツ読み」だったのですね。びっくりしました。世界中の医師が「リンゲル液」を点滴に使っています。別に日本でリンゲル液が作られたわけではありませんが、ちょっとだけ親しみを感じませんか?
リンガーハットはこのリンガー邸を元に名付けられています。ハットは小さな家という意味ですので、『リンガーハット=リンガーさんの小さな家』という意味です。リンガー邸は確かに小ぶりですが、とても住み心地が良さそうです。なお、「リンガー家」と「リンガーハット(チェーン)」とは全く無関係です。名前を借りただけです。
そういう訳で、「リンゲル液」と「長崎ちゃんぽん」とは無関係ですが、私はリンガーハットでちゃんぽんを食べている時、よくこの事を思い出します(笑)。
リンゲル液のシドニー・リンガー:兄、長崎のフレデリック・リンガー:弟
「リンゲル液の発見」と言うか「発明」はまさに『セレンディピティ』です(「セレンディピティ」については、前号からお読みください)。
どうしてこんな偶然が生じたのか、思わず“神様”に感謝したくなります。同時に偶然を生かす知識、準備、好奇心について考えさせられます。
また、「リンゲル液」と称しますが、リンガーはイギリス人ですから正式には英語読みで「リンガー液」なんでしょうね。ただ当時、医学の主流はドイツでしたから、この読み方で広まったのでしょう。
さて、前置きはここまで。
次回は本編、大発見につながった偶然について紹介します。
望月吉彦先生
医療法人社団エミリオ森口 芝浦スリーワンクリニック
東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング1階 プラザ 111 内
TEL:03-6779-8181
URL:http://www.emilio-moriguchi.or.jp/
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