若年層の8割が「現金」主義! 難航するキャッシュレス化
若年層を対象に、電子マネーに関する調査が行われた
8月15日、アンケートアプリを開発・運営するテスティーが若年層男女1,194名(10代566名、20代628名)を対象に実施したた「電子マネーに関する調査」の結果を発表。
それによると、若年層全体の電子マネー保有率は52.8%。10代の44.2%、20代の60.7%が電子マネーを「持っている」と回答したという。
続いて、電子マネー保有者を対象に「保有している電子マネーの種類」を尋ねたところ、10台、20代ともに第1位はSuica等の「交通系」、第2位はセブン-イレブンをはじめとする加盟店で利用できる「nanaco」。第3位はイオングループの商業施設等で利用できる「WAON」となった。
また20代は、商品購入などでポイントが貯まる交通系以外の電子マネーの保有率も高い傾向が見られたとのことだ。
次に、電子マネー決済を利用する「場所」についての回答結果を見ると、10代・20代ともに少額決済が可能で、日頃から頻繁に利用するコンビニや交通機関に集中している。同時に、20代は10代に比べて、コンビニやスーパー以外の飲食店や日用品購入においても電子マネーを利用している割合が高い傾向にあるとも発表されている。
そして、現金と電子マネーのどちらをよく利用するかという質問に対しては、10代の87.4%、20代の78.9%が「現金」と回答。若年層の電子マネー利用率は2割程度に留まることが判明した。電子マネーを利用できるシーンは拡大し続けているが、普及速度は今一つのようだ。
だが一方で、電子マネー決済の普及を望んでいるかという質問に対しては、10代、20代ともに約6割が「(普及してほしいと)思う」と回答している。現状は圧倒的に「現金派」が多いとはいえ、若年層の約6割が電子マネー決済の普及を望んでいることが分かった。
また、「(普及してほしいと)思わない」と回答した人に対して行われた「電子マネーについて不安がありますか?」という質問に対しては、10代の62.4%、20代の56.3%が「(不安が)ある」と回答している。
その理由として最も多く挙げられたのは、10代、20代ともに「紛失のリスク」だ。他にも、「金銭感覚が狂う」、「使用出来ない場所がある」という声が挙がっており、昨今の若者は金銭面に対し非常に慎重であることが分かる。
世界規模で急速にキャッシュレス化が進む中、日本はまだまだこれからという従来からの認識を裏付ける結果が明らかとなった。以下の「若者が日常的に利用している決済方法」を見ても、圧倒的に現金が用いられていることがよく分かる。
こちらでは、20代の電子マネーよりも高い「クレジットカード」利用率(41.7%)に注目したい。「支払いを先延ばしにできる」という点が好まれている側面も大いにあるだろうが、クレジットカードの強みは何と言っても決済可能な場所の豊富さにある。電子マネーも利用できる場所が増えているとはいえ、言わずもがなクレジットカードには及ばない。
電子マネー決済を普及させるには、決済できる箇所をさらに増やすこと。そして紛失や使い過ぎリスクへの対策を講じることが鍵になりそうだ。
キャッシュレス化という観点からすると、電子マネーは決して目新しい決済方法ではないし、今後はスマートフォン決済等に取って代わられるのかもしれない。しかし、こうして若年層の過半数に期待を寄せられているということは、まだまだ伸びしろがある決済方法だと言えるのではないだろうか。今後も普及率の推移を見守っていきたい。