【スポーツ】[競泳]池江璃花子6冠、アジア女子初! 50メートル自由形も大会新で金2018年8月25日 紙面から
◇ジャカルタ・アジア大会<第7日>【ジャカルタ木村尚公、川村庸介】競泳の女子50メートル自由形で池江璃花子(18)=ルネサンス=が24秒53の大会新記録で優勝して6個目の金メダルを手にし、日本選手の1大会の最多獲得記録を更新。アジア女子としても最多となった。非五輪種目の男子50メートル平泳ぎは小関也朱篤(26)=ミキハウス=が27秒07で優勝し、平泳ぎ3冠を達成。 ◇ アジア大会67年の歴史を塗り替え、女子史上最多の6冠を池江が達成した。だが今大会、これまで取った5個のメダルとは決定的に違うものがあった。24秒53の激闘を制し、満面の笑みで上がった表彰台を降り、メインスタンドに向かったその時だ。池江の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。 「一気に緊張から解放されて、親やコーチ、見に来て下さるたくさんの人の顔を見たら安心して涙が出てきた」。ひとたび水に飛び込めば誰より負けん気を出すアジアの最強女王も、普段は普通の女子高生。海外遠征では機内映画に涙し、選手村では仲間と通信ゲームでリラックスする18歳に戻った瞬間だった。 アジア大会自身最後のレースとなった50メートル自由形は、パンパシフィック選手権から数えて16日間で25レース目。しかも相手はアジア記録保持者の劉湘(中国)だ。「最後はタッチまで絶対に負けたくない気持ちで泳いで意地を見せられた」。さすがに疲労は隠せず、心も折れそうになった。それでも「体はきつくても、いかに気持ちを落とさず最後まで泳ぎ切れるかの問題」。笑顔の裏に秘める執念で0秒07差の勝利をつかみ、右腕を突き上げそして涙した。 プレッシャーからは解放されたがそれもつかの間。関係者によると今季終了後の10月にも渡欧し、リオデジャネイロ五輪女子100メートルバタフライ金メダリストで世界記録(55秒48)保持者のサラ・ショーストロム(スウェーデン)との合同練習の計画が浮上している。「一番抜かしたい、尊敬する選手。サラ選手を抜かして金メダル宣言をしたい」と語る池江にとって何よりの飛躍のきっかけになる。 出場8種目で6冠と2つの銀、計8個のメダルを手にしたアジア大会。「6冠はできると思っていなかったので本当に、素直にうれしいけどまだアジア。これをどう来年の世界選手権、東京五輪につなげられるかがカギになる」。もう涙は乾いた。アジア最強女王から世界の池江璃花子へ突き進む。 (川村庸介)
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