糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの

08月23日の「今日のダーリン」

・古賀史健さんと、加藤貞顕さんと珈琲屋にいて、
 なんの用事があるわけでもなく、雑談をして過ごした。

 どういう時代にも「ヒーロー」というものがいて、
 長嶋茂雄だったこともあるし、田中角栄だったことも、
 ビートたけしだったことも、木村拓哉だったことも、
 スティーブ・ジョブズや、ビル・ゲイツだったことも、
 あったと思うのだけれど、イーロン・マスク以後、
 なんかそういう名前があがらないような気がするね、と。
 そんな床屋政談みたいなことを話していたところに、
 偶然に「ほぼ日」の永田さんがやってきたものだから、
 永田さんに、「いまヒーローってだれだと思う?」と、
 唐突な質問をしたら、真顔になってすぐに答えた。

 「幡野(広志)さんじゃないですかね」。
 ぼくを含めた三人は、即座に納得してしまった。
 幡野さんは、ぼくらとよく付き合ってくれている
 実にいい写真を撮るカメラマンで、文筆家でもある。
 そして、余命3年と言われた血液のがん患者でもある。
 「幡野広志」で検索したら、さまざまな角度から
 彼のことがわかってくると思う。
 そして、ほんとに、いまこれを書いていて気づいたのだが
 『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』という
 初めて出す本が8月23日、つまり今日発売だ。
 限られたスペースで、かんたんにまとめて紹介するより、
 じぶんで写真や文章を探して読んだほうがよさそうだ。
 ぼくら、そこにいた雑談人たちは、
 他のだれでもなく幡野広志の名前が、
 こういうふうにあがるということを、あらためて考えた。
 他にいないのかよ、という気持ちもあり、
 他のだれでもなく幡野さんこそだよという気持ちもある。
 いずれ、「ほぼ日」紙面も含めて、
 彼のことがもっとわかってくることになるだろうけれど、
 とりあえず、この人の一面がわかると思う
 彼の「求人のツイート」を貼り付けておく。

 Lightroom(Mac)を使用して現像作業、
 プリントや額装など撮影以外の雑務をして
 ぼくの寿命を延ばしてくれる方を募集。
 月に2〜3回程度。日給15000円+交通費 食費
 JR八王子駅から徒歩8分。
 非喫煙者で写真が好きな人や写真学生さん歓迎。
 応募はDMで。よろしくお願いします。
 勤務時間は10時くらいから18時くらいまで。
 人見知りしない息子と、人見知りする妻がいます。
 パソコン作業をしてもらっているあいだ
 ぼくは原稿を書いたり、掃除をしたり、料理をしたり、
 映画を見たり、本を読んだり遊んでしまう
 と思うのですが、それを見てイラっとしない気の長い方。
 ぜひ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いつもより10行長い「今日のダーリン」になりましたね。