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金農・吉田の881球と進路に948球・斎藤佑樹の金言


本紙の取材に胸中を明かした斎藤佑樹

 第100回全国高校野球選手権大会で881球を投じ、最後は力尽きた金足農・吉田輝星投手(3年)の「球数問題」論争が収まる気配がない。本紙が21日発行1面で報じた現場サイドの異論・反論の声は、ネットなどで大きな議論を呼ぶなどさらに波紋を広げているのだが、あの男はこの問題についてどう考えているのか。2006年夏の甲子園で、吉田を上回る948球を投じた斎藤佑樹投手(30=日本ハム)が、本紙の直撃に激白した。

 ――今日は聞きたいことがあって来ました

 斎藤:金足農の吉田君の話でしょ(笑い)。

 ――ズバリそうです。世間では「登板過多」を懸念して球数制限を設けるべきとの意見も出ている

 斎藤:うーん…。「球数制限がいい」って考えもあるだろうし「そんなこと考えてられない」って現場の考えもあるはず。そもそも自分には周りが盛り上がっているだけに見えるんですよね。最近は熱中症対策の話題もそうだし「高校野球は危険だ」って感じになっちゃってるのはよくないと思うんです。

 ――「登板過多」の問題もしかり

 斎藤:そうです。結局どうなろうと、投げてる本人が最後に責任を取るわけじゃないですか。もちろん監督もエースに投げてほしい気持ちはあるでしょうけど、強制的に投げさせるなんてことは今の時代、絶対ないはずで、あったとしてもそんな学校は地方大会で負けているはずですから。

 ――確かに

 斎藤:なんだろうなぁ。この議論は絶対答えが出ないと思うんですよ。だからこそ「大人の正義感」のような観点から物を言うべきじゃない。100年も前からある大会ですし、今年を機に一気に変わるような話じゃないですからね。

 ――球数制限導入賛成派の意見としては「将来性のある子供の選手生命を連投で壊すべきではない」との意見もある

 斎藤:それは分かります。プロ入りを目指して臨む選手もいるはずですから。ただ、あくまで僕の場合は、あの試合(駒大苫小牧との決勝戦)がなかったら今の自分はいないわけですから。むしろあそこまで“投げさせてもらった”という気持ちのほうが強いですね。

 ――もしあの夏、肩が壊れて野球人生が終わっていたとしても後悔はなかったのか

 斎藤:ないです。今でもそう思えます。「甲子園で優勝すること」が一番の目標でしたから。「投げ過ぎた」というよりは「投げさせてもらった」という気持ちのほうが強いですね。

 ――とはいえ、日本高野連も将来的な球数制限導入を検討しているのも事実

 斎藤:連盟の方々はよりベターな方向へかじを切ってくれますから。100回もの大会を途絶えることなくここまで運営してきたのがその証拠じゃないですかね。自分も連盟の方々の支えがあってあの球数を投げることができたわけですからね。

 ――今後気になるのは吉田の進路。大学進学予定との話もあるが、プロからも即戦力として注目を集めている

 斎藤:やはり気になりますよね。僕から言えるとしたら、周りの大人の意見に流されずに進路を決めてほしい。僕も(早大に行かずに直接プロ入りしたほうがよかったなど)いろいろと言われたりしますが、大学に進学したことは1%も後悔していません。高卒でプロ入りしていても早くに潰れていた可能性だってあるわけだし、それは誰にも分からないじゃないですか。自分の人生、結局周りの人間は当然責任は取ってくれないわけですから、納得のいく進路を決めてくれるといいですね。

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