【プロ野球】東大出身51年ぶり先発 日本ハム・宮台、合格点2018年8月24日 紙面から
◇ソフトバンク6-2日本ハムソフトバンクが6連勝で2位浮上。2回に西田の二塁打、牧原の中前打で2点を先制。同点の8回は今宮、柳田の2点二塁打で4点勝ち越した。日本ハムは5連敗で3位転落。宮台が試合をつくったが、4番手のトンキンが誤算。 この世界で生きていく覚悟を胸に全力で腕を振った。プロ初先発の日本ハム・宮台が4イニング2/3、4安打、6四死球、2失点。ピンチの連続だったが、最後まで攻めた。 「気持ちで押していこうと思った」。1球目。先頭の牧原への初球は138キロ直球。高めに外れたが、ひるまず攻めて最後は139キロ直球で左飛に。その後今宮に四球、柳田に死球を与え、2死一、二塁のピンチ。「抜けていたので緊張感はあった」。それでも腕の振りが緩むどころか力強さを増した。松田をチェンジアップで空振り三振に仕留め、紅潮した表情でベンチに引き揚げた。 2回に西田に左中間適時二塁打を浴びるなど2点を失った。その後も走者を出しながらの投球が続いたが何とか粘った。「開き直って投げてました」。5回2死二塁から中村に四球を出したところで降板。「あと一人抑えないといけない」と悔しさものぞかせた。 東京ドームは母校東大からもほど近く「見に来ていました」と話す。2016年の侍ジャパンの強化試合で大谷が打った右中間への特大アーチは忘れられない。東大法学部出身で弁護士にも官僚にもなれたかもしれない。しかし選んだのはプロの道。そして野球界の天才たちが集う場所に自らもたどり着いた。 新入団選手発表の際、大渕スカウト部長から「これまでの価値観を変えるチェンジメーカーになれるようわれわれはサポートします」とメッセージを送られた。東大出身者51年ぶりの勝利はお預けになったが「次は結果を求めたい」と前を向いた。チーム事情で24日に出場選手登録を抹消されるが、今後も道なき道を切り開く。 (土屋善文) ◆井手さんTV観戦「真っすぐに威力があった」後輩の力投に東大の先輩も手応えをつかんでいた。元中日選手で引退後は指導者、フロントとして中日を支えた東大卒の井手峻さん(74)は東京都内の自宅でテレビ観戦。勝ち投手こそ逃したが「球速は出ていなかったが、真っすぐに威力があった。右打者へのチェンジアップが有効だった」とうなずいた。 現在は母校・新宿高の外部コーチを務める井手さんは2015年の中日退団後は常に後輩たちを応援。宮台の大学時代もスタンドやグラウンドを訪れ、アドバイスを求められることもあったという。「大学のときはもっと真っすぐは速かったけど、肩のスタミナがなかった」と振り返った。 東大卒で勝てば自身が勝利した1967年9月10日の大洋戦(中日)以来。その試合で同じ東大卒の新治伸治と投げ合ったことを思い出し「向こうの監督の計らいで実現してね。宮台はきょうの投球に精度を上げてほしい」とエールを送った。
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