全米の新聞がトランプ氏に抗議、日本はどうか

民主主義とは異なる意見の存在を認めること

2018年8月24日(金)

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トランプ氏は批判的なメディアに対し「フェイクニュースだ」と応戦する(写真:ロイター/アフロ)

 全米の300以上の新聞が8月16日付の社説で報道の自由の必要性を訴え、一斉にトランプ大統領を非難した。トランプ氏はこれまで何度も、自身に批判的なメディアを「フェイクニュースだ」と痛烈に批判していた。今回の新聞社の動きは、そういったトランプ氏への反発である。

 トランプ氏は大統領に立候補する時、それまで誰も主張していなかった「米国第一主義」を掲げた。第二次大戦以降、米国は「世界の警察」を続けていた。そのため経済が安全保障に逼迫され、米国は世界の犠牲になっていた、というのである。米国経済はどんどん悪化し、「こんなことは続けられない」と主張するトランプ氏は「米国第一主義」を掲げたのである。

 彼がこれを打ち出した理由は、安全保障の問題だけではない。大きな要因の一つは、グローバリズムの弊害が深刻化してきたことだ。グローバリズムによってマネーが国境を超えて移動するようになり、世界市場が活性化された。しかし、米国は人件費が非常に高いことから、国内の多くの企業が工場を人件費の安いアジアの国々に移転させるようになってしまった。そのためにデトロイトをはじめとする旧工業地帯の雇用が失われ、廃墟と化してしまった。こうして、特に白人労働者たちの失業が増え、国内は大変な事態となった。

 もう一つは、格差の拡大だ。グローバリズムによって、ウォールストリートを中心とする一部の層は非常に豊かになった一方、生活に困窮する国民が増えた。富裕層と白人労働者層らを含む貧困層との間に、大きな格差が生じたのである。2011年11月には、ウォールストリートで格差反対を訴える「ウォール街を占拠せよ」のデモが行われた。こうしたなかでトランプ氏は、米国第一主義と共にエスタブリッシュメント批判を展開した。

 このエスタブリッシュメント批判が大いに支持され、大統領選挙では民主党のヒラリー・クリントン氏が落選することとなった。彼女はエスタブリッシュメントのシンボルだったからだ。

 トランプ氏は大統領当選後、露骨な米国第一主義を進めた。例えば、イスラム圏からの入国を阻止するという話もあった。あるいは、メキシコと国境に壁を作るという発言もあった。

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「全米の新聞がトランプ氏に抗議、日本はどうか」の著者

田原 総一朗

田原 総一朗(たはら・そういちろう)

ジャーナリスト

1934年滋賀県生まれ。早大文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、フリーランスのジャーナリストとして独立。「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」等のキャスターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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