約30年前の綾瀬「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人の“元少年”が殺人未遂事件を起こした。

 19日、刃渡り8センチのナイフで男性を刺して殺人未遂容疑で、埼玉県警に逮捕されたのは、“元少年”の無職の男(45=埼玉県川口市)。

 男は同日午後5時半ごろ、JR東川口駅から車で10分ほどの自宅アパート前で、半袖短パン姿で仁王立ちし、帰宅した向かいの駐車場の車に対し、奇声を発し、ガンを飛ばした。男は毎日のように、夕方になるとその場所に立ち、駐車場に戻ってくる10台ほどの車の運転手に片っ端からケンカを売っていたという。

 そこへ隣のアパートに住む被害男性の会社員Aさん(32)が、友人が運転するワゴン車で帰宅。アパートの奥の道は行き止まりなので、友人は一度、自動車の頭を男のアパート側に振ってUターンしようとしたところ、男が車に近寄ってきてイチャモンを付けてきた。

 友人は車を降り、男とモミ合いとなった。男は3段伸縮式の全長41センチの警棒を持ち出し、止めに入ったAさんに殴り掛かってきた。近隣に住む目撃者はこう話す。

「『テメー、この野郎、ブッ殺すぞ!!』と、怒声が聞こえたので恐る恐る家の中からのぞいてみると、男2人が倒れながらお互いに取っ組み合いになっていた。Aさんがなんとか2人を引き離し、車に戻り、その場から離れようとしたまさにその時、わずかに開いていた車の窓の隙間から、男が手を入れ、取り出したナイフでAさんの首をグサッと刺したように見えた。Aさんは血まみれでした」

 Aさんは地面に血を滴らせながら携帯で通報。パトカー数台と救急車が到着したが、男は自宅に立てこもり、1時間近く出て来なかった。静かな住宅街は騒然となり、男は署に連行された。その時も「ニヤニヤしていて不気味だった」と近隣住民は話す。

 実はこの男こそが、綾瀬「女子高生コンクリート殺人事件」で当時16~18歳だった4人の犯行メンバーのひとり。1989年、当時17歳だった見知らぬ女子高生を、路上で拉致し、メンバーの自宅2階に監禁。約40日間にわたり、強姦から集団リンチまで、陵辱の限りを尽くし、最後は遺体をドラム缶にコンクリート詰めにして遺棄した事件だ。

 男は2カ月ほど前にこの場所に引っ越してきた。近所でも有名な“危険人物”だったようだ。

「男はアパートの2階に住んでいましたが、夜中に意味もなくドンドンと床を蹴り散らして、階下の住人も困っていた。仕事は不明だが、夜になると車でどこかに出掛け、同居する女性もいたようだ。昼間はいつも“カーッ”とわざと大きく咳ばらいしたり、奇声を発して周囲をジロッとニラミつけたりしながら、坊主頭でウロウロしていた。自宅周辺の私道にも入って来るので、怖くて目を合わさないようにしていた。今にも事件を起こしそうで怖かった。完全に“ヤバいヤツ”でした」(別の近隣住民)

 調べに対し男は「殺すつもりはなかった」と容疑を否認している。ネットでも話題になりつつあるが、男の“本性”を知った近隣住民は恐怖におののいている。