時速500km、無人運転って大丈夫?

リニア開発本部長に聞いてみた

2018年8月23日(木)

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 時速500kmで東京~大阪間を1時間で結ぶJR東海のリニア新幹線。世界でも突出したスピードとなる「超高速鉄道」は飛行機技術をベースに開発された。しかし、地上を飛行機で走って大丈夫なのか。しかも無人運転で。長くリニア開発に携わってきたリニア開発本部長の寺井元昭常務執行役員に聞いた。※日経ビジネス8月20日号(発売中)ではリニア新幹線の特集を21ページにわたって掲載しています。

リニア開発本部長の寺井元昭・JR東海常務執行役員

寺井さんは1980年代、すでに鉄道総研(鉄道総合技術研究所)でリニア新幹線に関わっていますね。

寺井:そうですね。(鉄道総研は)2年間だけですけれども。鉄道総研の宮崎の実験線の方に出向しておりましたので、そのときに山梨(実験線)の前の世代を宮崎でずっと見て、(経験が)非常に役に立っています。自分自身が理解できたということと、どういうところに問題があったか、理解できたと思っています。

50年以上前の計画を現実にする

まず技術発展史を教えていただきたいのですが、そもそも1962年に始まったということは東海道新幹線開業よりも前から始まっていた。なぜ、それほど早くから目をつけられたのですか。

寺井:歴史を見ていきますと、もともと東海道線の輸送力が足りない、輸送が逼迫しているから東海道新幹線がいるんだということでスタートしました。ただ、東海道新幹線を造っている途中も需要が増えてきて、遠からず東海道新幹線もパンクするのではないかという想定がありました。それで、東海道新幹線の次の世代の高速鉄道がいずれいるだろうということで開発がスタートした。ただし、東海道新幹線レベルのものであれば現に造っているわけですね。

 その次はもう少し速いスピードで東京~大阪を結びましょうと。距離でだいたい500キロですので、時速500km出せば1時間で到達できるねという、ざっくりとしたイメージなんですけれども、それで始めた。

そうすると62年の段階で時速500km、1時間と考えていた。

寺井:そうですね。ざっくりとしたイメージとしてはそういうのがあった。

まさに50年以上かけてその通りのものをスタートさせようとしている。

寺井:はい。最初に設定した目標って何も変わっていなくて。しかも東海道新幹線の次の世代に位置付けられていますので、よりグレードが高いとか、新幹線ですから輸送能力がないといけませんので、大量輸送ができて高速であるという要件がすでに最初から設定されていました。それを今、実現しつつあるということです。

ちょうど寺井さんが入社されたころにはもう宮崎実験線をやっているわけですよね。

寺井:そうですね。宮崎は77年からスタートしました。私は入社が81年ですので、すでに私が大学生のころに宮崎で実験をやってたわけですね。時速517kmを出したニュースを聞いたのも大学時代です。

入社されて、すぐリニアの担当になったんですか。

寺井:当時の国鉄って、人事とかがぐちゃぐちゃというか、ばらばらという感じでした。人使いがあらいので。私は電気で採用されているんですけれど機械になったんですよ。で、浜松工場で研修をやってみたり。それで分割民営化の直前から新幹線の台車の設計をやっていたんです。ちょうど300系の新幹線を造る前段で、そのときは新幹線の最高速度って時速210kmだったんですが、それを250kmとか270kmぐらいに上げるために必要な台車の開発が決まっていたんです。それの開発などをやったというのが、JRになる直前でした。それでJRになって1年経ったときにJR東海のリニア開発で、私が総研に出向して宮崎に行ったと。

宮崎実験線は、91年にクエンチ現象で事故を起こしている。

寺井:そうですね。問題が非常に多かったからですね。それは、現地で目の当たりにしました。

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「時速500km、無人運転って大丈夫?」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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