ベネズエラで新通貨導入 経済活動は麻痺状態に
経済危機が深刻化する南米のベネズエラで、通貨単位を10万分の1に切り下げるデノミネーション(デノミ)の実施に伴う新通貨の導入が21日、本格的に始まった。新しい単位の「ボリバル・ソベラノ」に対応するため、多くの企業・商店が業務を停止し、労働者は仕事に出かけなかった。
ベネズエラ政府は、20日に実施されたデノミは急激なインフレを抑えるのに必要な措置だとしているが、経済危機をさらに深刻化すると批判する声が上がっている。
ニコラス・マドゥーロ大統領は新通貨の導入に伴い、20日を休日にして銀行などを休業させた。
通貨単位が5桁切り下げされたことで、先月には250万ボリバル強だった首都カラカスでのコーヒー1杯の値段は、25ボリバルに変わる。
しかし、カラカス住民はBBCに対し、21日にATM(現金自動出入機)から引き出せる上限額は10ボリバルだと語った。
21日のベネズエラ各地では、新紙幣の入手が困難ななか、街中からはひと気が消えた。
ドルの闇市場も、新通貨の導入による混乱や経済の不透明感を背景に、活動が麻痺状態となった。
新通貨の導入に伴い、ベネズエラ政府はいくつかの主要な経済立て直し策を発表。これには、最低賃金を9月1日から34倍に引き上げる措置や付加価値税の引き上げ、燃料補助金の削減が含まれる。
マドゥーロ大統領はさらに、ベネズエラの埋蔵原油が裏づけになっていると政府が説明する仮想通貨「ペトロ」に、通貨ボリバルを連動させると表明している。
しかし、米国は自国民にペトロの取引を禁止しているほか、仮想通貨のウェブサイト「ICOindex.com」はペトロを「詐欺」だと呼んでいる。
エコノミストのルイス・ビセンテ・レオン氏はAFP通信の取材に対し、「ボリバルをペトロに連動させるのは、まったく意味がない」と語った。
M7.3の地震発生
21日には、ベネズエラ北部の沿岸部で強い地震が発生。カラカスでも揺れが感じられ、多くの建物で避難指示が出た。
米地質調査所(USGS)によると地震の規模はマグニチュード(M)7.3で、震源はベネズエラ北東部だった。ベネズエラ当局は地震の規模をM6.3と発表した。
ロイター通信は沿岸の町クマナでの目撃者談として、地震が起きたときには住民たちが道路に飛び出したと伝えた。死傷者は現時点で報告されていない。
(英語記事 Venezuela 'paralysed' by launch of sovereign bolivar currency)