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平成29年8月23日
選ぶ前に知っておきたい
「格安スマホ」の基本
「格安スマホ」は、料金の安さを背景に近年急速に普及していますが、一方で、消費者からの相談も急増しています。どのような相談が寄せられているのか、トラブルを防ぐにはどうしたらよいかなど、格安スマホを選ぶ前に知っておきたいポイントを紹介します。
1.「格安スマホ」と従来のスマホはどう違うの?
料金のほか、サービス内容や販売方法など様々な違いが
「格安スマホ」とは、従来の携帯電話会社等から通信回線を借りた事業者(格安スマホ会社)が、比較的安価な料金で提供する通信サービスをいいます。
料金の安さで注目されている「格安スマホ」ですが、従来の携帯電話会社と比較すると、次のような違いがあります。
格安スマホ会社と従来の携帯電話会社との比較
格安スマホ会社 | 従来の携帯電話会社 |
自社の通信設備をもたない ※従来の携帯電話会社等のネットワークを利用 |
自社の通信設備をもつ |
インターネットなどの通信販売が多く、実店舗はまだ少ない | 実店舗がある |
問い合わせ窓口は電話・インターネットが多い | 実店舗のほかに電話やインターネットなどによる問い合わせ窓口がある |
端末と通信サービス(SIM)は別々に契約できる | 端末と通信サービスは基本的にセットで契約 |
自分が必要なサービスだけを選んで契約できる フィルタリングサービスや端末の故障・修理時の代替機サービスなどは付加されていないため、利用する際には別途費用がかかる場合がある |
フィルタリングサービスや端末の故障・修理時の代替機サービスなどが付加されるなど、サービスの内容が手厚い |
メールアドレスの提供がないことがある(もしくは有料で提供される) | 独自のメールアドレス(キャリアメール)が無料で提供される |
「格安スマホ」を提供する格安スマホ会社は、自社の通信設備をもたず、従来の携帯電話会社等の通信回線を借りて携帯電話(スマホを含む)向けの通信サービスを提供しています。このため、電波がつながるエリアは、従来の携帯電話会社に準じています。
一方で、通信設備の維持管理等の必要がないことや、インターネット等による通信販売を主にして実店舗をほとんどもたなかったり、提供するサービスを限定したりすることで、従来の携帯電話会社に比べて各種コストが抑えられています。こうした方法によって、格安スマホ会社は、低料金での通信サービス提供を実現しています。
格安スマホを利用するときは、格安スマホ会社で新たなスマホ端末と通信サービス(SIM)をセットで契約する方法と、端末は自分で用意したものを使い、通信サービス(SIM)のみを契約する方法があります(SIMについては下記囲み記事を参照)。
○SIMについて:
SIM(またはSIMカード)は、利用者を特定するための情報が記録されたICカードで、スマホなどで通話やメールを利用するには、これをスマホ等の端末に取り付ける必要があります。
従来の携帯電話会社では、携帯電話等の端末と通信サービスを利用するために必要なSIMをセットで契約することが一般的ですが、格安スマホ会社の場合は、必ずしも端末とSIMをセットでの契約ではなく、SIMだけで契約することもできます。
手持ちの端末を利用して通信サービスだけを乗り換える場合は、SIMのみを差し替えて利用します。
2.「格安スマホ」に関する相談は、どのくらい増えているの?
件数はまだ少ないが近年は2~3倍のペースで急増
格安スマホは従来の携帯電話会社のスマホと比べると、通信料が安く、今まで使っていたスマホ端末や中古端末などを使うことで通信端末の価格を抑えられることから、利用者が急増しています。契約数は年々増加しており、平成28年度末は1,409万件に達しています。
一方、格安スマホに関する相談も急増しており、平成26年度(2014年度)は139件、平成27年度(2015年度)は380件、平成28年度(2016年度)は1,045件と、近年は前年と比べて2~3倍のペースで増えています。
格安スマホに関する相談件数の推移
※資料:(独)国民生活センター 2017年3月31日までのPIO-NET登録分
3.どんな相談が寄せられているの?
格安スマホ会社と従来の携帯電話会社のサービスの違いが原因に
格安スマホに関して消費生活センターに寄せられた相談から、主な事例をご紹介します。
(1)今までの携帯電話会社とサービス内容が異なることによるトラブル
【事例】
- 問い合わせ先が電話窓口しかなく、つながりにくい。
- 修理期間中の代替機の貸し出しサービスがなく、修理中の1か月間、スマホが利用できない。
- 携帯電話用のメールアドレスの提供がないため、別会社のメールアドレスを使ってスマホからメールを送ったが、相手にメールが届かない。
格安スマホ会社のサービスは利用料金が安価である一方、従来の携帯電話会社と同様のサービスが受けられるとは限りません。例えば、格安スマホ会社は実店舗がないことが多く、この場合、問い合わせ先が電話やメールに限られます。従来の携帯電話会社では、フィルタリングサービスや修理時の代替機貸し出しサービスなどが無料で提供されていますが、格安スマホ会社ではそうしたサービスがなかったり、有料オプションになっていたりすることがあります。メールアドレス(キャリアメール)が提供されない、もしくは有料オプションになっている場合もあるため、メールを利用するためには別会社の無料メール用アプリを利用する必要があります。
この場合、受信者側のメール設定によっては相手にメールが届かない場合があり、相手にメール設定を変えてもらうことが必要です。
格安スマホ会社のサービスは、従来の携帯電話会社のサービスとは様々な点で異なりますが、それを利用者が十分に理解していなかったことでトラブルになる例が目立っています。
(2)端末とSIMカードを別々に購入することで発生するトラブル
【事例】
- 格安スマホ会社のSIMを申し込み、以前から使っていたスマホ端末で利用しようとしたが、その端末がSIMロック解除できないため、使えなかった。
従来の携帯電話会社等で購入したスマホ端末では、その携帯電話会社以外のSIMを入れても通話や通信ができない設定(SIMロック)になっています。
スマホ端末は手持ちのものを利用して、通信サービスだけを格安スマホに乗り換えようとする場合は、端末のSIMロック解除が必要です(※)。
なお、自分が使いたい端末が格安スマホ会社で動作確認がとれていない場合、格安スマホ会社のSIMを入れても利用できない場合があります。
※平成27年5月1日以降に新たに発売された端末は、原則SIMロック解除ができる。
また、中古端末を購入して利用する場合、「ネットワーク利用制限」で通話や通信ができない状態になっている可能性もあります。端末の製造番号がわかれば、その端末を販売した携帯電話会社のホームページで「ネットワーク利用制限」の対象になっていないかを調べることができます。
相談の内容を踏まえて、格安スマホを利用する際の注意点をご紹介します。
4.「格安スマホ」を選ぶ際の注意点は?
通話、メール、インターネットのどれを優先?自分の利用状況に合った利用プランを考えよう
従来の携帯電話会社と格安スマホ会社のどちらを選ぶか検討する際は、料金に加えて、自分の使い方に合ったサービスを提供している会社を選ぶことが大切です。
より自分のニーズに合ったスマホのサービスを選び、格安スマホのトラブルを防ぐために、次の点に注意しましょう。
(1)スマホの利用状況を確認する
音声通話やメールの送受信の頻度、SNSやネット閲覧などのデータ通信量等の全体の利用状況をよく確認し、自分の使い方に適した利用プランを考えましょう。
(2)利用したい格安スマホ会社を検討
スマホの利用状況をもとに、どの格安スマホ会社が自分の利用状況に合ったサービスや料金プランを提供しているか、解約条件や解約金の有無、通信制限の有無、サポート体制(問い合わせ方法)など、ホームページなどで調べて比較検討しましょう。気になる点があれば格安スマホ会社に問い合わせましょう。
(3)端末について
今まで自分が使っていた端末を引き続き使う場合や、中古で購入した端末を使う場合は、その端末が格安スマホ会社で動作確認がとれているか、SIMロック解除が必要かなど、格安スマホ会社、携帯電話会社それぞれに確認しておくことが必要です。とくに、中古端末の購入を考えている場合は、購入前に端末の製造番号を確認し、「ネットワーク利用制限」の対象となっていないかを調べましょう。
◆不安に思うことがある、トラブルが生じたときは
格安スマホ会社との契約について不安に思うことがあったり、トラブルが生じたりした場合は、最寄りの消費生活センターにご相談ください。
- 消費者ホットライン 局番なし 188 (いやや!)
日本全国のお近くの消費生活相談窓口をご案内します。 - 全国の消費生活センター一覧(http://www.kokusen.go.jp/map/index.html)
<取材協力:消費者庁、国民生活センター 文責:政府広報オンライン>
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