『名探偵コナン ゼロの執行人』の公安礼賛がヒドい! 元公安担当記者・青木理が大ブレイクの“安室透”に絶句

『名探偵コナン ゼロの執行人』の公安礼賛がヒドい! 元公安担当記者・青木理が大ブレイクの安室透に絶句の画像1
映画『名探偵コナン ゼロの執行人』公式サイト

「安室透ブーム」なるものをご存知だろうか。アニメ化もされている人気マンガ『名探偵コナン』(青山剛昌/小学館)のキャラクター・安室透。その人気が最近ブレイクし、一種の社会現象となっているのだ。

『名探偵コナン』シリーズといえば、主に小中学生を中心とした子ども向けマンガではあるが、安室透なるキャラは大人の女性にも絶大な人気を博している。8月9日発売の『女性セブン』(小学館)合併号では、巻頭でキムタクと並んで安室特集が組まれ、安室を主人公にしたスピンオフマンガ『ゼロの日常』(新井隆広/小学館)は発売から1週間足らずで60万部を突破。作者の地元である鳥取の空港には安室のオブジェまで立てられたという。少し前には、『ゼロの日常』の作者がイラストをツイッターに投稿したところ、そのイラストに安室と女性が一緒に収まっていたことを理由に「女性とのツーショット画像が流出」と騒ぎになって謝罪に追い込まれるという、どうでもよすぎる“炎上騒動”まで起きている。

 そして安室をフィーチャーした映画『名探偵コナン ゼロの執行人』も4月の公開以来大ヒット。いまなおロングラン上映が続きシリーズ最大のヒット、7月はじめには興行収入85億円を突破し上半期映画興行収入第1位となり、シリーズ初の「邦画年間第1位」まで視野に入っている。

 その安室なるキャラ、普段はコナンが居候する毛利小五郎の弟子の私立探偵であり、喫茶店ポアロの店員として生活しているが、実は警察庁警備局の秘密組織“ゼロ”に所属する「降谷零」が正体だという設定。ようは公安警察なのだが、これに女性ファンが熱狂しているのだ。

●「安室の女」「執行女子」と呼ばれるファン、応援上映の熱狂

 彼女たちは「安室の女」と呼ばれ、映画のヒットも牽引。安室を「100億の男」にする(=興行収入100億円を突破させる)ために繰り返し映画を鑑賞し、そうしたリピーターは「執行女子」とも呼ばれているらしい。

 なかでも彼女たちの心をつかんでいるのが、安室が映画終盤に口にするこんなセリフだという。「僕の恋人は、この国さ」――。

 このセリフを聞くだけでも、背中がぞわぞわしてくるが、いったいどんな映画なのか、都内で「応援上映」なるものがあるというので覗いてみた。上映中にペンライトを振ったり、掛け声をかけることができるというイベントで、すでに公開から数カ月経つというのに館内はほぼ満席。大半は女性だが、コスプレ姿のいかにも濃いファンから制服姿の女子高生、さらには20代、30代の仕事帰りと思しき女性まで幅広い層が訪れている。

 映画のストーリーは「東京サミット」を目前に控え、東京湾岸の埋立地に新しく完成したIR(カジノも備えた統合型リゾート)で原因不明の爆発が起きるものの、最終的にはコナンと安室が協力して真犯人を解明し、大規模テロも未然に防いで一件落着という、単純なもの。しかし、すごいのは、観客の熱気だ。

 観客の大半がリピーター=「執行女子」なのか、人気キャラが登場するたびに「コナン君っ!」「小五郎っ!」などと声援があがり、機動隊の装甲車が登場した際は「機動隊っ!」という意味不明の掛け声までが飛び交う。

 なかでも安室人気は確かに凄まじく、安室と思しき人物の足元が映っただけで「キャーーッ!」と大歓声。なかでもひときわ激しい歓声があがったのは、安室が「俺の、恋人は……この国さ」とタメにタメて例の決めゼリフを放ったときだった。安室のカラーだという黄色いペンライトが劇場中で振られ、まるでアイドルのコンサート……。

 いや、でもちょっと待ってほしい。アニメとはいえ安室の正体は公安。アイドルのように歓声を浴びせ、手放しでヒーロー視するような対象なのか。そもそも実際の公安は、こんなカッコいい代物ではなく、むしろ様々な危険性や問題点を指摘されている組織だ。それをここまで礼賛、するというのは、いくらなんでもやばいんじゃないのか。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

『名探偵コナン ゼロの執行人』の公安礼賛がヒドい! 元公安担当記者・青木理が大ブレイクの“安室透”に絶句のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。セガサミーゼロの執行人公安名探偵コナン安室透編集部青木理の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 『名探偵コナン』の公安礼賛がヒドい
2 田崎史郎を時事通が特別扱いした理由
3 石破茂が安倍応援団メディアを痛烈批判
4 りゅうちぇるがさんま・一茂・良純と「家事」論争
5 沖縄県知事自民候補と沖縄ヘイトの親密関係
6 慰安婦めぐり国連で日本政府がデマ反論
7 第一子誕生りゅうちぇるが語ったキラキラネーム問題
8 りゅうちぇるの意見が真っ当すぎる!
9 安倍「股関節炎は仮病」証明のゴルフ
10 木村拓哉『検察側の罪人』めぐりジャニーズと文春が
11 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
12 阿波おどりを徳島新聞が私物化!
13 綾瀬はるかが戦時化の性犯罪をレポート
14 秋元康の東京五輪に椎名林檎が危機感
15 『ゲゲゲの鬼太郎』の戦争描写をネトウヨが攻撃
16 NHKの戦争特集に和田政宗が圧力
17 安倍が選挙妨害に関与の決定的証拠
18 終戦の日の自民党声明から「民主主義、基本的人権」が消えた
19 フジ『バイキング』で金美齢が部落差別
20 グッディ!土田マジギレ真の原因
1りゅうちぇるがさんま・一茂・良純と「家事」論争
2安倍「股関節炎は仮病」証明のゴルフ
3翁長知事は最後まで安倍政権のいじめと闘い続けた
4田崎史郎を時事通が特別扱いした理由
5 綾瀬はるかが戦時化の性犯罪をレポート
6 終戦の日の自民党声明から「民主主義、基本的人権」が消えた
7安室奈美恵の翁長知事追悼にネトウヨが「反日」攻撃!
8ネトウヨ局アナがテレ朝のお昼の顔に
9NHKの戦争特集に和田政宗が圧力
10石破茂が安倍応援団メディアを痛烈批判
11『ゲゲゲの鬼太郎』の戦争描写をネトウヨが攻撃
12慰安婦めぐり国連で日本政府がデマ反論
13創価学会が靖国神社「みたままつり」に提灯奉納!
14『報道特集』が報じた日本軍の証拠隠滅の実態
15 安倍昭恵完全復活! 支持者会合に首相と登場
16安倍「臨時国会に改憲案」の醜悪な裏
17安倍が杉田水脈問題に「なんで騒いでるの」
18安倍の態度には長崎の被爆者代表が激怒「毎年一緒」
19安倍首相が津川雅彦に特別扱い追悼会見
20北朝鮮の日本人拘束事件で政府が報道管制

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄