お盆の帰省で、実家の状況について再認識する人は少なくない。たいていの場合、年老いた両親が住む家はモノで溢れ返っており、不思議なことにその量は増える一方である。実家を適切に管理しなければと思っても、日常生活に戻ってしまうとなかなか手がつけられないのが現実ではないだろうか。
だが、日本は急速な人口減少社会に突入しており、実家をどう管理するのかによって、自身の経済的状況は大きく変わってくる。今回のマネーシフトは「実家マネジメント」について取り上げてみたい。
(この記事は、連載「寿命100年時代のマネーシフト」の第14回です。前回までの連載はこちらから)
総務省の住宅・土地統計調査によると、2013年時点における空き家の数は819万6000戸となっており、全住宅の13.5%を占めている。この割合は年々増加しており、近い将来は空き家率が30%を超えるとの試算もある。このところメディアで空き家問題が取り上げられる機会が増えているので、気になっている人も多いだろう。
この数字には、賃貸用住宅で借り手がいない物件などが含まれており、住む人が不在になったという意味での空き家とは限らない。今回のテーマである実家マネジメントという趣旨に添って考えた場合、該当する可能性の高い空き家は約320万戸と考えられる。この戸数も年々増加しており、今後も同じ傾向が続くことはほぼ間違いないだろう。
空き家が発生する最大要因は、進学や就職に伴う子供の転居である。
首都圏など大都市圏で世帯を持ち、実家には両親のみが住んでいるという家族はかなり多いはずだ。親が元気なうちは何の問題もないが、60代から70代に入ってくると、何らかの疾患を抱える人が増えてくる。場合によっては長期入院や施設への入所となるが、それでも老夫婦のどちらかが元気であれば、それほど大きな問題にはならない。
だが両親のどちらかが他界してしまうと、状況は大きく変わる。
夫婦が2人で生活しているのと、単身になってしまうのとでは、家の維持管理能力がまるで違ってくる。残された一人が病気がちだった場合には、長期入院などが重なるため、家の管理はさらに難しくなる。最終的に他界してしまった後には、大量の家財とともに住宅だけが残される。
人の住んでいない住宅は、火災などのリスクもあり、そのまま放置することはできない。だが実家が遠い場所にあると、首都圏などから実家に戻って管理する負担が大きく、人によっては実家の管理を放棄してしまう。世帯の事情は様々だろうが、上記は、空き家が増える典型的なパターンのひとつといってよいだろう。