快進撃、健闘…全力応援 光った雑草魂大舞台で堂々 地元・秋田生徒、JA
2018年08月22日
秋田市の県立金足農業高校の体育館では21日、在校生や卒業生、近隣住民ら1000人以上が詰め掛け、声援を送った。11点差の敗戦にも農業高校として戦後初の準優勝が決まると、大きな拍手や「ありがとう」の声が上がった。
体育館の巨大スクリーンの向こうで躍動する選手に大きな声援を送った。Tシャツやタオルには「雑草軍団」や「KANANO」の文字。紫色のメガホンをたたいた。
卒業生で秋田市の米農家、真坂熙都さん(22)は「農業で学んだ土壇場の底力が発揮されたと思う」と後輩をたたえた。
地元のJA秋田なまはげでは、県勢初の優勝を懸けた一戦を職員らが組合長室や会議室に分かれて、見守った。
組合長室には、「祈優勝金農がんばれ 東北勢・農業高校初の全国制覇へ、がんばれ!! 金農ナイン!!」と印刷された紙が貼られた。JAの京極芳郎組合長は「農業環境が厳しい中、専門知識を勉強している子たちが活躍するのは本当に素晴らしい。農業に興味のある人が、今まで以上に出てくるのではないか。JAも支援していきたい」と活躍をたたえた。
体育館の巨大スクリーンの向こうで躍動する選手に大きな声援を送った。Tシャツやタオルには「雑草軍団」や「KANANO」の文字。紫色のメガホンをたたいた。
卒業生で秋田市の米農家、真坂熙都さん(22)は「農業で学んだ土壇場の底力が発揮されたと思う」と後輩をたたえた。
地元のJA秋田なまはげでは、県勢初の優勝を懸けた一戦を職員らが組合長室や会議室に分かれて、見守った。
組合長室には、「祈優勝金農がんばれ 東北勢・農業高校初の全国制覇へ、がんばれ!! 金農ナイン!!」と印刷された紙が貼られた。JAの京極芳郎組合長は「農業環境が厳しい中、専門知識を勉強している子たちが活躍するのは本当に素晴らしい。農業に興味のある人が、今まで以上に出てくるのではないか。JAも支援していきたい」と活躍をたたえた。
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水の郷綾 調理だし 宮崎・JA綾町
宮崎県JA綾町加工場が開発したオリジナル調理だし。釜で加熱したしょうゆに、かつお節、シイタケ、だし昆布、中双糖を加えてだしを取った。薄口と濃い口を混ぜ合わせたしょうゆを使い、辛過ぎず濃い味に仕上げた。主婦に人気で、まとめ買いする人も多い。
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2018年08月16日
豪州侵入食い止め 空港で検疫担当官摘発 穂木から病原体 かんきつグリーニング病
オーストラリア政府は、オレンジなどに感染するかんきつグリーニング病(HLB)の侵入を間一髪で食い止めた。5月末、空港で旅行者が手荷物に隠して持ち込もうとしたキンカンの穂木を植物検疫担当官が摘発。植物体からHLB病原体が検出された。見逃していれば、オーストラリアのかんきつ産業に打撃となる可能性があった。フリーランス・ジャーナリストのセレステ・マッキントッシュが報告する。
穂木を違法に持ち込もうとした旅行者に対する捜査は、8月初めの時点で継続中だ。オーストラリア農業水資源安全省のキム・リトマン首席植物保護官は、記者の問い合わせに対し「アジア地域からキンカンの穂木が持ち込まれようとした」と明らかにしたものの、詳しい説明を拒んでいる。
報道発表などによると、事件は5月29日に発生。ブリスベン空港の検疫で、プラスチック袋にくるまれたキンカン穂木がタイヤチューブ内部から発見され没収された。その後の検査で、同国内に確認されていないHLBに冒されていたことが分かった。HLBはいったん感染すると回復できないため、オーストラリアでは重要な植物病害虫に位置付けられる。
同国のかんきつ団体は事件の発覚直後、「植物検疫当局によって4億6000万ドル(約370億円)に上るかんきつ産業が守られた」との声明を発表。厳しい植物検疫制度を持つ同国は、世界でまん延しているさまざまな病害虫の侵入から免れているという。
検疫当局は明確にしないが、穂木の持ち込み先はフィリピンの可能性が高い。公表された写真で穂木がくるまれているのは、フィリピンで広く使われる緑色のプラスチック袋だ。
フィリピン農業省が2016年に公表した文書によると、HLBは1950年代に中国、台湾、インドから侵入した。その後、フィリピン国内に拡大し、70年代までに国内生産の半分に相当する100万本のかんきつが被害を受けて枯れた。
フィリピンのHLB専門家、ジュリアン・オチャサン博士によると、「国内のキンカン栽培は高冷地の一部で行われているが、小規模なためHLB感染の報告はない。ただし、近隣のかんきつから感染する可能性はある」と説明した。リトマン首席植物検疫官は、穂木を持ち込もうとした旅行客は、オーストラリア国内のかんきつ園に勤務しているが、違法行為との認識はないとみる。
2018年08月12日
乳雌牛出生26万頭台 4年ぶり大幅増加 17年度予測
全国の乳牛の牛群検定報告をまとめている乳用牛群検定全国協議会が乳用雌子牛の出生頭数予測を発表し、2017年度は26万9100頭で13年度以来4年ぶりに26万頭台に回復するとした。16年度比では6%増となる。予測誤差は5%以下のため「前年度超えか、前年度並みは確実」とみている。
同協議会は、全国の酪農家戸数の半数に当たる7917戸の牛群検定報告を取りまとめている。今月上旬、最新の牛群検定報告を基にした18年5月までの最終予測を公開。検定報告にあった人工授精結果と受胎率を基に算出した。
予測によると、17年度の乳用雌子牛出生頭数は16年度実数、25万3903頭に比べて6%増えた。性比は雌が56・8%。雄子牛の出生予測は20万4500頭で、前年度比2%減だった。
乳用雌子牛出生頭数は、酪農家が子牛を繁殖させるか購入するかを決める目安となる。同協議会は「雌子牛市場が高値となっていることを受けて、近年の繁殖減少に歯止めがかかる傾向」と説明する。16年は関東、東北が冷夏だったことで繁殖成績が良かったことも一因とみている。
交雑種の出生は25万8900頭で、前年度比2%減。乳用種、交雑種の出生合計は73万2800頭で、同1%増と予測した。
なお、17年度出生頭数の実数は家畜改良センターが10月に発表を見込んでいる。
2018年08月20日
「飲めるごはん」登場 災害時でも手軽に JA北大阪
大阪府のJA北大阪は、自然災害などで水道、ガス、電気が止まった状況でも熱や水を加えず手軽に栄養と水分補給ができる缶入り穀物飲料を開発し、8月から販売を始めた。地元産米を活用した飲料で、商品名は「農協の飲めるごはん」。非常食や保存食として提案し、受注生産も請け負う。全国のJAなどにも活用してもらいたい考えだ。
地元の米「ヒノヒカリ」と国内産のハトムギ、小豆を主原料に開発した。1缶(245グラム)当たりの熱量は150キロカロリーで、保存期間は5年間。嚥下(えんげ)能力が弱くなった高齢者も摂取できるよう、とろみのある飲料にした。アレルゲン特定物質27品は使わない。「梅・こんぶ風味」「ココア風味」「シナモン風味」を用意した。
受注生産では、米を送ってもらえば、JA名などを表示したオリジナルの容器にして納品する。3万缶から対応する。
JAの木下昭男組合長は「近年、災害が頻発し、万が一の備えは欠かせない。各地のJAなども地域の米を活用して商品を作り、地元の自治体などに備蓄用食品として提案できれば、地域の農家、農業、防災の強化に貢献できる」とアピールする。受注生産は、注文から納品まで2~4カ月程度かかる。費用は1缶当たり150円で、想定する小売価格は1缶250円前後。
2018年08月18日
ちまたでは恋愛にしつこい男性
ちまたでは恋愛にしつこい男性より、あっさりした“塩系男子”がもてるとか。丹精な顔立ちで以前流行したしょうゆ顔よりさらに薄く、中性的なタイプを言うらしい▼今の時代、粘っこく付きまとえばセクハラとかストーカーとも言われかねない。そんな時世を反映してか、納豆も粘らない、糸を引かないタイプが登場した。国内だけでなくフランス、ドイツで受けている▼その名は「豆乃香」。箸を使う習慣や、すすって食べる習慣がない海外の人たちに向けて茨城県産業技術イノベーションセンターが開発した。大豆は一般的な品種を使い、納豆菌を変えるだけで糸引きの少ない納豆ができるという。2015年に特許を取得。センターが拡大培養し、県内の食品メーカー6社に提供する▼今後は「県外からの希望があれば菌の利用を認可したい」と同センターの久保雄司さん。ギョーザやチョコケーキ、ワッフル、ドレッシングなど加工にも向いており、国内外に向けて発信する▼あっさり系の男子や納豆は歓迎だが、西日本豪雨の被災地支援は粘りが必要。暑さが続き、汗をかいて脱水症状になると体内の血液はドロドロに。熱中症だけでなく夏は血栓症も起こりやすい。血液をサラサラにする納豆を食べて、血栓を予防し粘りの利く体をつくろう。
2018年08月20日
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金農よくやった 準優勝 大阪桐蔭に2―13 農で培った底力発揮
金農、希望と感動をありがとう。第100回全国高校野球選手権大会の決勝に進んだ金足農業高校(秋田)は21日、大阪桐蔭高校(北大阪)に2―13で敗れた。準優勝は、秋田県勢では103年ぶり、農高では戦後初。決勝では、点差が開いても諦めない姿に、農高の底力を示した。吉田輝星投手は試合後、「地域に支えられここまでこれた。最高のチームだった」と涙を流した。甲子園に農高の新たな足跡を残した。(前田大介)
試合後に一塁側アルプス席前まであいさつに来た選手は泣きながら「ありがとうございました」と一礼。アルプス席からは大きな拍手が起こり、「ありがとう」「よくやった」との多くの声が上がった。
吉田投手の父、正樹さん(42)は「決勝は疲れていただけでなく、相手が強豪だけに力みがあった。輝星のことを普段は褒めないが、きょうはよく頑張ったと言ってあげたい」と誇らしげな表情で話した。
同校の渡辺勉校長は「子どもたちはよく頑張った。公立の農業高校が決勝まで来ること自体すごい。学校に感謝するメッセージが届いている。負けはしたが胸を張って秋田に帰ってほしい」とたたえた。
秋田と甲子園を往復し、3試合応援した秋田県潟上市の米農家、菊地栄一さん(68)は「農作業そっちのけで甲子園に通った。金農の快進撃は暗い話題が多い農業の中で明るいニュースとなった」とねぎらった。
快進撃は、甲子園を沸かせた。横浜高校(南神奈川)戦での逆転3ラン、近江高校(滋賀)戦では9回裏の2ランスクイズでサヨナラ勝ち。吉田投手は球速150キロを記録した。
ゲームキャプテンの佐々木大夢選手は「全国の農業高校に夢と希望を与えられたと思う」と胸を張った。野球部マネジャーの高橋桃佳さんは「この活躍を見て、農業高校に入りたいと思える人たちが一人でも増えたらうれしい」と笑顔で話した。
2018年08月22日
快進撃、健闘…全力応援 光った雑草魂大舞台で堂々 地元・秋田生徒、JA
秋田市の県立金足農業高校の体育館では21日、在校生や卒業生、近隣住民ら1000人以上が詰め掛け、声援を送った。11点差の敗戦にも農業高校として戦後初の準優勝が決まると、大きな拍手や「ありがとう」の声が上がった。
体育館の巨大スクリーンの向こうで躍動する選手に大きな声援を送った。Tシャツやタオルには「雑草軍団」や「KANANO」の文字。紫色のメガホンをたたいた。
卒業生で秋田市の米農家、真坂熙都さん(22)は「農業で学んだ土壇場の底力が発揮されたと思う」と後輩をたたえた。
地元のJA秋田なまはげでは、県勢初の優勝を懸けた一戦を職員らが組合長室や会議室に分かれて、見守った。
組合長室には、「祈優勝金農がんばれ 東北勢・農業高校初の全国制覇へ、がんばれ!! 金農ナイン!!」と印刷された紙が貼られた。JAの京極芳郎組合長は「農業環境が厳しい中、専門知識を勉強している子たちが活躍するのは本当に素晴らしい。農業に興味のある人が、今まで以上に出てくるのではないか。JAも支援していきたい」と活躍をたたえた。
2018年08月22日
見せた!!農高力 金農 準優勝 健闘たたえ拍手
“金農旋風”に沸いた夏の甲子園大会が21日、閉幕した。金足農業高校は連日の逆転劇などで勝ち進み、諦めない“農高力”で全国から注目を集めた。地元の秋田県では同日の決勝戦を応援しようと、同校とJA秋田なまはげに生徒や農業関係者らが集結。最後まで同校の選手らに声援を送った。
声援 最後まで 残念…でも感謝 「農業も頑張れる」 JA秋田なまはげ
金足農業高校の地元、秋田市のJA秋田なまはげ本店では21日、役職員らが組合長室や会議室から声援を送った。秋田県勢では103年ぶり、農業高校では戦後初の決勝進出の快挙に、職員から感謝の声があふれた。
3回表、同校が1点を返すと職員らは拍手をして盛り上がったが、4回裏に大阪桐蔭にホームランを打たれ、5回裏にも6点を取られて11点差となると頭を抱え、部屋はため息に包まれた。それでも懸命に戦う選手の姿に「まだまだ」「絶対諦めるな」と応援を続け、望みをつないだ。「金農が頑張っている。秋田の農業、日本の農業も頑張れってことだ。分かるか」と若手職員に話す役員もいた。
試合終了の瞬間、職員は一瞬うなだれたが、「お疲れさま」「よく頑張った」と大きな拍手が湧き起こった。同校出身で総務課の佐々木崇課長は「夢をありがとう。選手たちはつらいと思うが、決勝に出た輝かしい経験を今後の人生に役立てて、違う夢をかなえてもらいたい」と激励した。
JA秋田地区営農センターの鈴木康稔さん(24)は、元高校球児で県大会で同校に負けた経験を持つ。「感謝の気持ちでいっぱい。活躍は自分だけでなく県民全体を勇気付けた」と、かつてのライバルをたたえた。
JR秋田駅では21日、改札横のホワイトボードに、選手への応援メッセージを書き込む人々の姿が目立った。
ボードは10日に設置。「雑草魂で優勝」「あきたこまちを食べてがんばれ」といった激励の言葉が次々と書き込まれ、決勝戦の同日には書き込む場所がないほど文字で真っ黒に埋め尽くされた。同県湯沢市から訪れた佐々木涼子さん(39)は「あぁ栄冠は君金足に輝く」と書き込み、「金農は秋田の誇り」と思いを託した。
生徒やOB 1000人、声枯らし 真摯な姿「自慢」
秋田市の金足農業高校には、生徒や関係者ら1000人が集結。試合開始前から、チームカラーの紫のメガホンや「KANANO」「雑草軍団」とプリントされたタオルを使って声援を送った。
4番打者の打川和輝選手や準々決勝の近江高校戦でサヨナラスクイズを決めた斎藤璃玖選手のクラスメートで、食品流通科3年の伊藤英寿さん(18)は「最後まで一人一人が役割を果たした。自分も24日からボクシングの全国大会に出場するので、野球部の雪辱を果たしたい」と力を込めた。
体育館では男鹿市の小学2年生、木村蒼君(7)が応援団長として会場を盛り上げた。蒼君は同校OB・OGの長男。母の優さん(31)によると、心臓に難病を抱えて激しい運動ができないが、金農野球部に入部することが夢だという。蒼君は「選手たちはかっこ良かった」と笑顔を見せ、優さんも「良いものを見せてもらった。自慢の後輩です」と話した。
同校の宮腰明教科主任は「5年前は県大会1回戦負けで、金農野球部は浮上できないと思われた時期もあった。選手たちは農業を通じて真摯(しんし)に取り組む姿勢を学び、農業と同じように野球にも向き合った。その成果だと思う」と涙を拭った。
勇気もらった
JA秋田中央会の船木耕太郎会長
メンバー全員が県内出身者で公立高校の金足農業が、全国の強豪と渡り合ったことを誇りに思う。今回の経験が人生の大きな糧となることを期待している。胸を張って秋田に帰ってきてほしい。
JA全中の中家徹会長
農業の勉学に励みながらも全力で頑張る姿には、全国の農業高校、さらには農業関係者も大いに勇気付けられたと思う。今後とも、未来の農業の担い手と地域の中核人材を輩出されることに期待している。
全国農業高等学校長協会の福島実理事長
日頃、農業を学んでいる生徒たちが甲子園の決勝に進んだことは快挙だ。全国の農業高校の生徒や卒業生、学校関係者、そして農家に、大きな勇気と励みを与えてくれた。
“高校牛児”として2017年の宮城全共・高校の部で日本一に輝いた岐阜県立飛騨高山高校の神田純さん(17)
農業実習などと野球の両立は大変だったはず。同じ農業を学ぶ高校生として、最後まで諦めない姿勢に勇気をもらった。
2018年08月22日
「金農パンケーキ」復活 甲子園での躍進受け 秋田県ローソン191店舗で販売
ローソンは23日から、第100回全国高校野球選手権大会で準優勝を果たした秋田県の金足農業高校と共同開発した「金農パンケーキ」を、同県内のローソン191店舗で再販売する。「あきたこまち」の米粉など県産食材を使った商品として5月に期間限定で販売したが、同校の活躍を受けて復活させた。
米粉と卵を使ったもっちり食感の生地に、小玉醸造(同県潟上市)のしょうゆを練り込んだ。蜜漬けリンゴを挟み、甘じょっぱい味が楽しめる。前回は県産リンゴを使っていたが、今回は原料調達が難しく県産は使わない。1個145円。数量限定で発売する。
同社は、地産地消による地域活性化の取り組みとして同校と共同で商品開発し、5月から県内で販売していた。パンケーキの表面には同校の校章がデザインされている。同社は「インターネット交流サイト(SNS)などを通じて、再販を希望する声が多かった」(広報室)と話す。
2018年08月22日
金農 日大三に2-1 農高で戦後初 きょう決勝
農業高校の悲願まであと1勝──。第100回全国高校野球選手権大会で準決勝に進んだ金足農業高校(秋田)は20日、日本大学第三高校(西東京)に2―1で競り勝ち決勝進出を決めた。秋田県勢では第1回大会(1915年)で準優勝した秋田中以来103年ぶり、農高では、戦後初の快挙となる。21日の決勝で春のセンバツ優勝校、大阪桐蔭高校(北大阪)と対戦する。1失点7奪三振と力投した吉田輝星投手は「全国の農業高校の代表として絶対優勝を勝ち取りたい」と力を込めた。
快進撃は続く。金足農は1回に左前打で1点を先制し、5回に中前打で加点。吉田投手は8回に初めての失点を喫した。9回も1死一、二塁のピンチを迎えたが、食い下がる日大三の勢いを冷静に止めた。最後は中飛に仕留め、完投した。
一塁側アルプス席には、「雑草軍団」と書かれた紫のTシャツを着た1000人規模の応援団が詰め掛けた。試合前から「かなのう」コールの大声援がこだました。吉田投手が最後の打者を打ち取ると、農業関係者からは「やったー」と歓声が上がった。跳びはねるなど大興奮。ボルテージは最高潮に達した。
紫のメガホンをたたき目頭を熱くしたのは、吉田投手の祖父で同県潟上市の吉田理正さん(70)。「最高。まさかこんなことになるとは……。あすは勝ち負け関係なく悔いなくやってほしい」とエールを送った。
「農作業どころじゃ…」
農家も熱い視線を送った。「農作業どころではない」と、車で甲子園球場に駆け付けたという同市の米農家、佐藤眞智子さん(61)は、勝利を見届け、「感動した。わが子のように応援した」と興奮冷めやらぬ様子だ。
同校の渡辺勉校長は「有言実行した吉田は素晴らしい。深紅の大優勝旗を秋田に持ち帰ってほしいが、けがが心配。無事に大会を終えてほしい」と話し、選手の体を気遣う。
34年前の第66回大会でべスト4進出時の監督で現在、秋田県五城目町で農業を営む嶋崎久美さん(70)は、大阪桐蔭戦を踏まえ「強豪だが同じ高校生ということを忘れないでほしい。野球の基本を忘れず戦えば勝機は見えてくるはず」と激励した。
決勝は21日午後2時にプレーボールの予定。(前田大介)
2018年08月21日
金農「あと一つ」 旋風やまず 地元・秋田は熱狂
「フレフレ金農!」「KA・NA・NO!」。普段は夏休みで静寂に包まれる秋田市の県立金足農業高校の校内が20日、大声援で揺れた。“留守番”の生徒や教員、住民ら約100人が体育館に集結。決勝進出を決めた瞬間、生徒らは跳びはね、抱き合い大興奮。激励電話は鳴りやまず、「金農旋風」の勢いが止まらない。(塩崎恵)
「決勝だ」総立ち、歓声
甲子園に行けなかった生徒らはこの日、チームカラーの紫色のタオルやキャップを身に着けて応援。メガホンをたたきながら、体育館に設置した大型スクリーンに映し出されるナインに大声援を送った。
同校リードで試合が終盤に近付くと、会場は総立ち状態。9回裏は「金農コール」が湧き起こった。勝利の瞬間を迎えると、生徒らは抱き合って泣いたり、走り回ったりして大喜び。選手と同様、体を反らせながら校歌を一緒に歌う姿もあった。
打川和輝選手と斎藤璃玖選手と同じ、食品流通科3年生の阿部拓海さん(17)は「感動した。東北初の優勝を金農で取りたい。農業高校は実習があるので、体力がある」と歓喜の声を上げた。
JA秋田やまもとの職員からの賛助金を持参して観戦した、同校出身の見上廣美専務は「快挙だ。農業は厳しい状況だが、農家の励みになっている。入学者も増えるのではないか」と活躍をたたえた。
快進撃に感動 メールや手紙1000件近く 全国から激励続々
今大会唯一の農業高校の快進撃に、全国から応援メッセージや寄付の申し出が舞い込む。
横浜高校に勝利した3回戦の直後から、同校への激励が一気に増加。メールや手紙、電報などが少なくても1000件近くが届いている。20日に決勝進出を決めると、職員室の電話は鳴り続け、職員は対応に追われた。
農業関係者からは「農業高校の頑張りに感動した」(アスパラガス農家)、「全国農業高校の星」(息子が農業高校を卒業したという北海道の女性)などと熱い激励が届いた。県内の女性農業者から「秋田の農業を担うかもしれない子どもたちに協力したい」と、賛助金の申し出もあった。
20日は試合直後から同校へ財布を片手にした人が次々と訪れ、職員玄関に設置した賛助金の受付に行列ができた。秋田市の松田信和さん(77)は「頑張ってほしくて、居ても立ってもいられず寄付金を持ってきた」と話した。
徒歩や車、自転車の他、タクシーで駆け付ける人もいて、夜まで老若男女がひっきりなしに訪れた。同校に飾られた「おめでとう甲子園出場 金足農業高校」の横断幕の前や校門、グラウンドを撮影する人もいた。
「代表の活躍 誇り」 「粘り強さ 刺激に」… 農高仲間応援の声
金足農業高校の快進撃に、全国の農業高校も大喜び。各校から応援の声が上がる。
北海道士幌町にある町立士幌高校の近江勉校長は「諦めない心、挑戦する心が素晴らしい」と感銘を受けている。同校では、農業生産工程管理(GAP)など農畜産物や加工品の生産過程で世界的に通用する認定基準の取得に挑戦している。「生徒にも、諦めず挑戦する心を持ち続けてほしい」と話す。
宮城県農業高校の岩城幸喜教頭は「東北だけでなく、全国の農業高校の代表として誇りに思う」と声を弾ませる。金足農高について「冬に雪深くなる厳しい環境の中、こつこつと練習に励み、尊敬している。農業のイメージアップにもなる」と喜びを語る。
三重県伊勢市の農業高校、県立明野高校の大久保克彦校長は「いつか甲子園で対決できたら最高ですね」。同校は甲子園に春夏合わせて8回出場。30年ほど大舞台から遠ざかっているが「同じ農業高校として、刺激になる」と期待を寄せる。
農業系の学科を持つ福井県立坂井高校は昨年夏、甲子園に出場。今夏は予選で敗退した。吉田繁校長は「都市の私立高校が独占傾向の甲子園で、地方の公立高校がここまで活躍するとは。一生懸命さ、校歌を歌う時の素朴さ、そして粘り強さに農業高校の香りを感じる」と賛辞を送る。
広島県東広島市の県立西条農業高校で野球部部長を務める桧山公教諭は「県立、しかも農業高校という全く同じ立場。ぜひ頑張ってほしい」と力を込める。同校は春夏合わせて3回、甲子園に出場した経験があるが、今年は地区予選で涙を流した。「活躍は大変励みになっている」と喜ぶ。
遠く離れた九州も“金農旋風”に沸く。2009年夏の第91回大会に出場した佐賀県伊万里市の県立伊万里農林高校の松尾信寿教頭は「農業高校で人数は少ないはず。これほど勝ち進むなんて」と、報道にくぎ付けだ。夏休みで授業はないが、農作物の管理などのため登校する生徒やPTA関係者も金足農高の躍進を話題にしているという。
2018年08月21日
「諦めぬ!」 金農サヨナラ 近江に3-2、あす日大三と準決勝 あきたこまち快進撃支える
第100回全国高校野球選手権大会で準々決勝に進んだ金足農業高校(秋田)は18日、近江高校(滋賀)と対戦。3-2で劇的なサヨナラ勝ちを収め、34年ぶりのベスト4に進出した。20日の準決勝で日本大学第三高校(西東京)と対戦する。連日の逆転劇を呼び込んだ気力と体力、諦めない勝負強さの秘密は、秋田県産「あきたこまち」だ。4試合で計615球投げた吉田輝星投手(3年)もその一人。宿舎で毎晩食べており、「体力を維持できたのは、食べ慣れた米のおかげ」と語る。
同校は選手らの宿舎に地元産「あきたこまち」を持ち込み、毎日食べて試合に臨んでいる。秋田県農業試験場で米などの作物を研究する川本朋彦主席研究員は「食べ慣れないものを食べ続ければ食欲が減退し、選手のパフォーマンスにも影響するだろう。そういう意味でも県産の米の効果は大きい」と分析する。
甲子園球場へ応援に駆け付けた野球部OB会長の中山英悦さん(71)は、「あきたこまち」を生産する農家。「陰ながら、あきたこまちが快進撃を支えたと思うと、米農家でよかったと心底感じる」と感慨深げだ。
「農高の誇り」
同校の快進撃で刺激を受けた農高生も多い。“友情応援”をした兵庫県三田市の有馬高校1年で吹奏楽部の釜渕教実さんは、農業系学科「人と自然科」で学ぶ。「金足農高の活躍で、農業系高校の生徒であることが、以前より増して誇りに思えた」と力を込める。
金足農高生物資源科で果樹を学ぶ吹奏楽部部長の熊谷望愛さん(3年)は「快進撃が農業高校に進学したいと思うきっかけになればうれしい」と力を込める。(前田大介)
校歌、万歳、叫び地元“歓喜の渦”
金足農業高校の吉田輝星投手(3年)、菊地亮太選手(3年)、菅原天空選手(3年)らの地元、秋田県潟上市役所では18日、役所内ホールの大型スクリーンで試合を放映した。吉田投手が所属していた少年野球チームの子どもや農業関係者、地元住民ら約170人が集まり、劇的なサヨナラ勝ちに歓喜した。
9回裏サヨナラ勝ちを決めると、観客は立ち上がり叫び声を上げ、抱き合って大喜び。校歌を一緒に立ち上がって歌う観客もいた。藤原一成市長も駆け付けて観客らと万歳した。
同市で輪菊を栽培する伊藤司さん(36)は「感動しかない。金農はいつも何かをやってくれる。農業高校に興味を持つ人や、入学者が増えるのではないか」と喜んだ。少年野球チームに所属する同市の吉田慶さん(6)は「勝ってうれしい。金農に入って甲子園に出たい」と夢を語った。
2018年08月19日
里山まるごとホテル 農村流 お・も・て・な・し 石川県輪島市の三井地区
フロントはかやぶき屋根の古民家、廊下はあぜ道──。石川県輪島市に今年、地域一帯を一つのホテルと見立てて客を迎え入れる「里山まるごとホテル」が誕生した。食事の提供や農家民宿の運営など、地域住民ができることを補完し合いながら客をもてなす。農業と観光を組み合わせて農村の付加価値を高め、能登の豊かな自然を次世代につなげていく構想を描く。政府が推進する滞在型観光「農泊」のモデルとしても注目を集めそうだ。(斯波希)
地域住民が協力 「農泊」モデルに
世界農業遺産に登録された能登半島の小さな町、輪島市三井(みい)地区。町の入り口には、築150年のかやぶき屋根の古民家が、訪問客を迎え入れるようにたたずむ。今年4月にオープンした「里山まるごとホテル」の“フロント兼食堂”だ。
客は田舎に帰ってきたような感覚で、畳の間や縁側で食事をしたり昼寝をしたりと思い思いに過ごす。縁側の先には田んぼが広がり、夏の青々とした稲や秋には黄金色に実る稲穂など、季節ごとの農村風景を楽しめる。
予約をすれば、ガイド付きで集落を巡るサイクリング(4000円~)や和紙すき(500円~)、農家民宿での宿泊も体験できる。拠点となる古民家「茅葺庵(かやぶきあん)三井の里」には、月に700~800人が訪れる。
運営は、同市の元地域おこし協力隊が今年2月に設立した「百笑の暮らし」。代表を務める東京都出身の山本亮さん(31)は「三井の暮らしの形を伝え、自分と同じようにファンになってくれる人を増やす。人と里山の関係が生まれる場所にしたい」と力を込める。
食堂で使う食材の提供や調理などには、山本さんの思いに賛同する地域住民が積極的に関わり、ホテルを盛り上げる。農家民宿など一つの施設で完結するのではなく、住民が協力し合うことで、無理なく客を受け入れる仕組みができつつある。
かやぶき屋根に使うカヤの生産や農産物加工などに取り組む農家ら約50人でつくる「みい里山百笑の会」の西山茂男会長は「今、まさに滞在型の観光に注目が集まっている。ありのままの暮らしを見てもらい、収入につなげることが、過疎が進む地域の生き残り方になってくる」と展望する。
里山まるごとホテルでは今後、宿泊場所となる古民家や農家民宿の整備、ホームページの多言語対応などを進め、訪日外国人(インバウンド)を含めた国内外に里山の魅力を発信する考えだ。
2018年08月19日
金足 見せた農高魂 甲子園8強 畜産学ぶ高橋選手 逆転弾
強豪・横浜を撃破。甲子園に“金農旋風”吹き荒れる──。第100回全国高校野球選手権大会で金足農業高校(秋田)は17日、3回戦で横浜高校(南神奈川)を5―4で下し、準々決勝に進んだ。ベスト8進出は23年ぶり。決勝点となる逆転ホームランを放った高橋佑輔選手(3年)は「全国の農業高校に勇気を与えられたと思う。甲子園で戦う唯一の農業高校として勝ち続けたい」と声を弾ませた。18日の第4試合で近江高校(滋賀)と対戦する。(塩崎恵、前田大介)
鶏舎の掃除 心身鍛錬
歓喜の瞬間は突然訪れた。2―4で迎えた8回裏一死1、2塁。6番打者の高橋選手が相手投手の初球を振り抜くと、打球は放物線を描きバックスクリーンに吸い込まれた。その瞬間、一塁側のアルプス席で生徒らは抱き合い、メガホンをたたき喜びを爆発させた。
高橋選手はレギュラー選手で唯一、畜産動物を扱う生物資源科に所属。学校では鶏の飼育などを担当して週2回、“バット”を“スコップ”に持ち替え、鶏舎の掃除や餌やりをしている。
畜産担当の近江広和教諭(46)は「ふんを一輪車で運ぶとき、腕と背筋にかかる負担は相当なもの。佑輔は誰よりも率先して運ぶ生徒。日頃の掃除で鍛えられたことも、この一打を生んだのでは」と分析。「また勝負どころでしっかり決めろ。頑張れ佑輔」と激励する。
金足農高の地元、秋田県内では17日、テレビ観戦した農業関係者らが、劇的な逆転劇に歓喜した。感動して涙を流す姿もあった。
男鹿市で菊を露地4・4ヘクタール、ハウス24棟で栽培する文ちゃん園芸では、同校野球部出身で11年前に甲子園に出場した納谷(旧姓・船木)拓美さん(27)が研修していることもあり、従業員ら10人がテレビの前で試合を見守った。
2点リードされた8回裏、金足農高が劇的逆転3ランを決めると「まじでー」「やばい」と、叫び声が響き、拍手が沸き起こった。
勝利の瞬間、納谷さんは同校のユニホームを着た娘とハイタッチをして大喜び。「感動した。後輩は夢だ。食べ慣れた秋田の米をたくさん食べて力を付け、ベスト4へ進んでほしい」と激励した。
同農園で働く吉田征子さん(79)は「この年になってこんなに感動すると思わなかった。生きていてよかった。生徒の頑張りを見てこれからも農業を頑張ろうと思える」と選手をねぎらった。
同農園の吉田洋平さん(28)は「秋田の誇り。研修生が金農出身でもあり、農業高校ということで例年以上に応援に力が入る。準々決勝は仕事どころじゃないな」と笑った。
「次も平常心で」 農家で元監督 嶋崎さん応援
一塁側のアルプス席で静かに戦況を見つめたのは秋田県五城目町の嶋崎久美さん(70)。第66回大会(1984年)で金足農高がベスト4に進出した時の指揮官だ。同校の監督として春、夏の計7回甲子園に導き、東北の名将として知られる。監督業を退いた今は、米農家として1ヘクタールで「あきたこまち」などを栽培する。
この日の一戦は、34年前の初戦、広島商業高校戦と重なって見えたという。当時、完全に不利といわれたが勝利。それから一気に波に乗り、べスト4に進出した。「広島商業も横浜高校も甲子園優勝校だが、選手は同じ高校生。次も平常心で戦えば大丈夫。甲子園という農場に素敵な花を咲かせてほしい」とエールを送る。
2018年08月18日
[活写] 戦時の記憶 ぽつり今も
8月15日は終戦の日。埼玉県深谷市の櫛挽(くしびき)地区にある畑に太平洋戦争中、火薬工場だった分厚いコンクリート製の建物が残っている。
広さはおよそ5メートル四方、高さ約10メートルの2階建てで、農地とともに近所の酪農家が所有する。周囲は日陰になるため、何も栽培していない。
戦時中、銃器用の火薬を作る東京第二陸軍造兵廠(しょう)櫛挽製造所と呼ばれる工場の一部だったと伝わる。東京都内の工場が空襲を避けようと疎開したもので、1944年10月から終戦までの10カ月間稼働したという。
戦後、辺りが農地となる中、この建物だけは残った。しばらくは住居や倉庫に使われたが、現在は放置されている。同市には軍需工場に水を供給した給水塔跡も残る。戦時の記憶を伝えている。(富永健太郎)
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2018年08月15日