泊まってないのに高額請求!? 旅行サイトの落とし穴 体験記

旅行サイト「エクスペディア」のホームページ

「料金は〇×万円です! 13人分です」

 思わず耳を疑った。

旅行サイトで予約したホテルに支払うことになってしまった。

 最初に断っておくが、この話は、法律上、突き詰められれば私に非がある話だ。

 そうだとしても・・・やはり腑に落ちない。モヤモヤしてしまう。

 結果的に私は実際には泊まっていない部屋の料金を支払うことになってしまったのである。

 

舞台はホテルルートイン釜石だ。

 

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 8月16日にこのホテルに宿泊した。大学のゼミの取材旅行で学生12人を引率して宿泊した。

 東日本大震災の被災地である岩手、宮城と1週間かけて訪ね歩いて、「被災から7年」の今をドキュメンタリー作品と文章ルポにしようという目的だった。今回、1週間かけたゼミ合宿は、途中で大雨に遭遇した日々もあったが、全体的には学生たちは岩手でも宮城でも被災した人たちの現在の様子をビデオカメラやペンを持って様子を記録し、話を聞いて回った。それがようやく終わったところで、「ホテルルートイン釜石」からの連絡を知って、ルートイン釜石および旅行記サイトの「エクスペディア」と延々やりとりすることになった。

 お盆の時期の岩手県は宿泊先の予約が難しい。学生を含めて13人の集団となると、固まって宿泊するホテルを確保するのは一苦労だ。ましてや岩手県は大人数で泊まって値段も手頃なホテルが多いといえない地域だ。学生が泊まるのであまり高くならないようにと、今回の合宿にあたってはいくつかのホテルを旅行サイトでブッキングした。

たくさんある旅行サイト

 現在、旅行サイトは数多い。「るるぶ」など旅行会社が運営するもの。「楽天トラベル」「じゃらん」のような旅行のポータルサイト。さらに航空機の「エアトリ」や「skyticket」、長距離バスの「発車オーライネット」など、様々なサイトがある。

国内勢に加えて最近伸びてきているのが、「Booking.com」や「Expedia.co.jp」、トリバゴなどの海外勢だ。

 今回、私はこのうちの「エクスペディア」(Expedia.co.jp)を利用した。

 8月16日、一泊で13人分。

 どんどんホテル数がなくなるなかで早めに確保しなくては、とかなり早い時期から予約した。

 ただ、その後、学生たちとのやりとりの中で学生は自分たちで予約する、という話になったので、私が学生のために予約していた部屋はすべてキャンセルした。

 メールアドレスでログインしておくと、後から履歴で予約状況をまとめて確認することができる。

 誰のためにいくつ予約したのかがわかる仕組みだ。

 私の名前で予約したホテル予約などは「旅程」という形で、1つずつ読むことができる。このため、1つずつキャンセルしていたので私自身が泊まる部屋を除いてはもう予約はなかった。・・・少なくとも主観的にはそう考えていた。

 またログインしなてくも、「ゲスト」という形でも予約できる。これが後々、落とし穴につながった。

 

スマートフォンからも予約可能な便利さがあるが・・・

 どのサイトもスマホからも予約が可能だ。これは非常に便利で通勤途中でも予約することができる。

 実はこれも落とし穴だった。私のように指が大きい人間には・・・。

 ホテル ルートイン釜石に話を戻そう。

 8月16日にチェックインした時、フロントの女性が「水島宏明さんですね...。エクスペディアでご予約でお名前がたくさんあります」と言われた。

 学生たちは「るるぶ」なのか「じゃらん」なのか、いずれにしてもエクスペディアとは違うサイトで予約していた。

 

「そんなはずない。すべて学生たちの分はキャンセルしたはず・・・」

 そう言って私は自分のPCで自分のログインIDで確認した。やはり「予約はキャンセル」になっていたので、その旨をフロントの女性に告げた。

 フロントの女性も「PCでそうなっているなら何かの間違いだと思います。もう問題ありません」と言ってくれた。

「解決ですね?」と聞くと、フロント女性は微笑んでくれた。

 そこで私は安心して自分の部屋に戻って眠ることができた。同ホテルチェーンは人工温泉の大浴場がついていて快適だ。そこでゆったりと湯船につかった。

 このダブルブッキングの問題は、これで解決したはずだった。

 翌朝、早くにチェックアウトして、その後、バスで宮城県に移動し、名取市閖上や仙台市荒浜、石巻市のかつての大川小学校跡など、大津波の被災地を学生たちと取材を続けた。ゼミの課題として映像ドキュメンタリーと文章ルポという2つのジャンルで報道作品にするというのが水島ゼミの合宿の目的だ。

東北でのゼミ合宿(宮城県名取市閖上)
東北でのゼミ合宿(宮城県名取市閖上)

 

 と、8月19日の夕方になって電話着信があったのを20日の午後に気がついて電話したら3日前にチェックアウトしたホテルルートイン釜石からだった。

 

「13人分決済されることになっているのでエクスペディアに念のため確認してほしい」

 寝耳に水とはこのことだろう。

 

「だいたい、こういう場合、最終的にはいったい誰の判断で払う払わないということになるのだろう? ホテルなのか、旅行予約サイトなのか??」

 ホテル ルートイン釜石の女性の話を聞く限り、あくまでエクスペディアがどう判断するかだというようなことを言う。

 そこでエクスペディアに電話してみた。

 最初にホテル ルートイン釜石側から教えてもらったエスクペディアの電話番号にかけると、ここではなく「カスタマー担当」が対応するという。

 そこで事情を説明して、エクスペディアの担当の女性がホテルルートイン釜石側と話しをするので待ってほしいと待たされること1時間。

 出た結論が「すでに料金はカード決済で引き落としになっている。ルートイン側が判断したことです」という。

 

 確かに私は自分のIDでログインしたサイトでは学生の分はキャンセルしていた。しかし、その前に「ゲスト」としてログインしていたのだという。確かに電車の中でスマホから予約したような記憶がおぼろげながらある。その際に保証用にクレジットカードの番号などを入力した記憶もある。学生たちの名前を入力した記憶もある。それがそのまま決済されていたのだという。しかもその時になかなか自分のIDでログインできずにゲストのままで予約していた。さらにその際にスマホで自分のメールアドレスを入力した際にアルファベットが間違っていたため、メールが届かず、そのまま失念してしまったらしい。ただ、カード情報だけは正確だったので「決済」だけはきちんとされてしまったわけだ。

「こんなことがあっていいのだろうか?」

 そう思った。

 なぜならホテルには宿泊客の名前の情報があるはずだ。それが2重になっていたのに、チェックインの時まで気がつかなかったのか。チェックイン時に「あなた様のお名前で予約が他にもあります」というのではなく、前日にも言ってくれるのが「客への親切」というのものではないのか。ホテルにも落ち度があるのではないのか。納得できない、と電話口で言うと、エクスペディアの担当の女性はまたもやホテル ルートイン釜石と交渉してくれた。

 そうして待つこと小一時間。結果的に私は50%のホテル代は2-3週間後に戻ってくることになった。泊まっていない13人分なのでそれでもなかなかの出費ではある。なんとかならないものなのかと電話で懇願した。

「ルールですからっ!」

 ホテルルートイン釜石の女性は電話口で冷たく言い放った。

 

 エクスペディアのキャンセル料の契約ルールを詳しく読めば確かにそういったことが書いてある。

 彼らも商売だし仕方ない面もあるのだろう。そうだとしても、一度は「解決した」と微笑んでくれたフロント女性の笑顔はなんだったのか。 

 これほどネットでの予約が多くなった時代にはこういうダブルブッキングが起きる可能性は常にある。

 

 実際に今回のようなトラブルになった時にどう対応するのか。それは個々のホテルも、旅行サイトも問われているのではないのか。杓子定規に「ルールですからっ!」と言い放つのか。そういうことにならないように、日頃からダブルブッキングを防ぐようなやり方を工夫すべきではないのだろうか。

 だからこそ、今回はあえて旅行サイト名と、ホテル名について、実名で記事を書くことにした。

エクスペディア

ホテル ルートイン釜石

 それなりに名前があるホテルや名のある旅行サイトである。そうした名のある会社ならば、個別の事情を聞いてくれて、きめ細かい対応をしてくれるのではないのかと心の底では期待していた。しかし、それは甘かった。そんなことはなくて、なさけ容赦はなかった。本当に・・・。

 私自身は、この名前がつくものをもう今後2度と使うことはないだろう。

 ただ、今回の私の身に起きたことは他の人たちにも起きる可能性がある。

 教訓としては、以下のようなことになるだろう。

・予約のキャンセルが必要になったら確実にしておく

・スマホでの予約は打ち間違いなどがそのまま反映されてしまうので危険だから避ける

・ゲストでのログインでの予約はやめておいたほうがいい

・予約した後で、予約前日や前々日などのメール連絡を頻繁に送ってくるサイトを選ぶ(「じゃらん」などと違って、エクスペディアはそんなことはなかった)

・責任がホテルにあるのか旅行サイトにあるのか、曖昧な物言いをするホテル(今回のルートイン釜石のようなところ)や旅行サイトは絶対に避ける

 

いずれは旅行サイトをランキング順に並べるサイトができてもいい。旅行サイトもホテルも、杓子定規で細かい客のニーズに対応できないところは淘汰されるべきだろう。

 というわけで、突き詰めれば個人的なトホホの話でしかないのですが、旅の終わりでこういうことになるとせっかくの旅行が台無しになってしまいます。

 同じ轍を踏まないように、みなさん、ご用心、ご用心!