「集団強姦」でっちあげ 「仕事行きたくなくて」ネットで依頼 虚偽通報容疑の女ら書類送検
福岡県宗像市で6月、男2人から性的暴行の被害に遭ったなどとうその通報をして警察の業務を妨害したとして、福岡県警が今月、偽計業務妨害の疑いで、県内の男女3人を福岡地検に書類送検していたことが捜査関係者への取材で20日、分かった。
書類送検されたのは、いずれも県内在住で、銀行員の20代の女と、女に協力した20代の男ら2人。書類送検容疑は6月中旬、共謀して、うその性犯罪事件をでっち上げ、警察官の業務を妨害した疑い。
捜査関係者によると、女がインターネットを通じて知り合った男2人に「連れ去ってレイプしてほしい」などと依頼。2人は実際に、宗像市内で帰宅中の女を車で連れ去り、わいせつな行為をしたという。女が家族に「集団強姦(ごうかん)の被害に遭った」と相談し、両親が県警に通報した。
県警は防犯カメラの映像などから男2人を特定。事情を聴いたところ、「女から頼まれた」と話し、女と連絡を取り合って計画していたことなどから虚偽の事件と判断した。女は動機について「仕事に行きたくなかった。彼氏の気も引きたかった」と話したという。
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捜査に延べ70人投入
“事件”の一報を受け、県警は延べ70人以上の捜査員を投入した。浜松市の女性看護師(29)が車ごと拉致され、6月上旬に静岡県の山中で遺体が見つかった事件の発生直後で、捜査幹部は「手口に共通点もあり、大きく構えた。性犯罪は被害者の心情に配慮して細かく聞けない場合もあり、初動が肝心だ」と話す。
うその通報で摘発されたケースは過去にもある。福岡県内では昨年11月、警察に虚偽の通報をして駆け付けたパトカーから走って逃げ回る「パト戦」という行為を繰り返したとして、15~17歳の少年約10人が軽犯罪法違反(虚偽申告)などの疑いで書類送検された。
一方で、目撃者からの通報は、火災や事件事故を早く察知する重要な手段だ。警察庁は「善意の通報なら、結果的に違っても罪に問われることは基本的にはない」と呼び掛ける。
今回、書類送検に踏み切ったことについて県警幹部は「虚偽の通報に対応している間に、別の重大事件が起きる可能性もある。うその代償は大きい」と指摘した。
=2018/08/21付 西日本新聞朝刊=