岩田広治医師 』
で、今回の改訂の『心』
「改訂ガイドラインは、
いくつか選択肢がある中で、
患者さんと相談をして、
介入を決定する際に
参考にしてほしいツールである」
実際の臨床現場、
患者からすれば、『自分の』癌の治療、
で重要なのは、
『医師の経験』や『患者の価値観』が
加味されること、
『ガイドライン』は、
あくまでベースとなるツール。
ということを前面に押し出した改訂が、
さらに、
「今までよりも、医師・患者の
shared decision making の重要性
を考慮し、
日本の乳癌診療が成熟し、
次のステップに入ったことによる
ガイドラインであるともいえる」
「生存期間などの『益』と、副作用などの
『害』のバランスを考慮した手法を
取り込んだ」
「CQの投票の結果の賛成率や独自の
メタ解析結果も記載されている。」
が、すっごく、喜ばしく嬉しく感じる、
とご紹介した、
乳癌診療ガイドライン、自分の目線で
気になるところ
(乳癌学会として、まだ議論があったり、
私もブログで同病の後輩患者さんから
質問を受けたり、自分「だけ」が正しいと
いうような方々から批判コメントを浴びたり
した点も含む。私は初期治療は終わっている
ので、初期治療については、医学の発展に
期待する患者としてウォッチしています)
を確認しました。
※人(患者)それぞれ、必要な情報が違うで
しょうから、
ガイドラインをお読みくださいね。
あくまで、私は自分のために確認した
メモです。
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【放射線療法編】
乳癌の疾患概念
・1980年代:ハルステッド理論
原発巣リンパ節転移血行性遠隔転移
※ハルステッド術
(領域リンパ節まで広範囲に取れるだけ
取りましょうという手術。
因みに、
過去記事には何度も書きましたが、
腋窩から胸骨傍まで
広~くリンパ節転移していた私、
&感覚的にやはり癌を取り切り
たかった私は、
主治医にこの手術が出来ないか2度
確認して2度断られている )
乳癌全切除術
+乳房全切除術後放射線療法(PMRT)
・郭清範囲を拡大しても生存率改善せず。
全身病モデルが提唱され、PMRTは激減。
・1997年:デンマークとカナダのRCT
高リスク群に対する全身化学療法併用の
PMRTは局所再発率減少だけでなく
生存率も向上。
・現在:スペクトラム理論
ハルステッド理論と、全身病モデルが
混在している。
私も、こういうことじゃないかなぁ、
と、感覚的に納得性があります。
中には、すごーくのんびりした、
あるいは、リンパ節転移しない
近藤先生曰くの「がんもどき」も
含まれるのかもしれませんが…。
初期治療の放射線療法の目的と対象
(特に目立った変更なし)
・目的は、局所・領域リンパ節再発の制御。
・対象は、乳房温存術後または再発リスクの
高い乳房全切除術後症例。
・効果は、年齢や腫瘍因子や全身療法の併用
に関係なく一定の割合でみられ、
再発リスクが高いほど効果的。
・乳癌術後の局所・リンパ節再発高リスク
患者には集学的治療の中で放射線療法が
積極的に行われるべき。
薬物療法編でも書かれていますが、
局所進行乳癌(ステージ3)、
炎症性乳癌には、強く推奨されている。
私も治療しました。皮膚は病理検査の
範囲では浸潤はしておらず、
リンパ節もcCRはしていたので、
若干判断に迷うポイントでは
ありましたが…。
私は、この治療をしています。(50Gy)
照射野はMAXの、鎖骨上下も
内胸リンパ節も含んで。
治療前に画像上、胸骨傍リンパ節転移
疑いだったので。
腋窩は治療前の病理検査でも明らかな
転移があり(FECでcCRしたが)
郭清しているので、
照射していません。
乳房全切除術後放射線療法(PMRT)
・腋窩リンパ節転移4個以上の場合、
標準治療。
・腋窩リンパ節転移1~3個の場合、
勧められる。(合意に至らず)
ーーー
・1回線量2Gyの分割照射(25~30回)
・郭清された腋窩への照射は勧められない。
(理由)
リンパ浮腫など有害事象が有意に増加するが
腋窩の制御率は有意に向上しないため。
・鎖骨上リンパ節照射が標準、その際、
鎖骨下へも照射される。
内胸リンパ節へも照射することがある。
乳房温存術後放射線療法
(特に目立った変更はないと思う)
・非浸潤癌およびステージ1、2でも
乳房温存術後の放射線療法は必要
というのが標準治療。
・術前化学療法でpCRした場合でも
乳房温存術後の放射線療法は必要
というのが標準治療。
・断端陽性の場合の腫瘍床へのブースト
照射は弱く勧められる(83%)
・加速乳房部分照射(APBI)は行わないことを
弱く推奨(92%)
(理由) 長期のエビデンスが不十分
術後放射線療法の適切なタイミング
(特に目立った変更はないと思うが
より明確化されたかな)
・化学療法をしない場合、術後20週以内
・化学療法放射線療法の順が標準治療
・化学療法と放射線療法の同時併用はしない
・ハーセプチンと放射線療法の同時併用は
右乳癌の場合問題なし。
左乳癌の場合、心臓への有害事象を考慮し
十分注意して行う。
再発治療の放射線療法の目的と対象
①局所再発
・初期治療で放射線療法した場合は
耐容線量近くまで照射されているため
同じ場所への照射は不可。
②遠隔転移
・骨転移や脳転移に対する緩和的治療が
多い。
陽子線、重粒子線
・臨床試験レベルで原発巣に対する根治的
照射に用いられているがエビデンスは
まだ乏しい。
・3個以下で他の転移・再発がない肝転移
に対してのみ先進医療として
認められている。
脳転移に対する定位放射線照射
・ガンマナイフ
・リニアックを用いた定位放射線照射
・サイバーナイフ
・予後良好群で最大径3cm未満、個数1~4個
SRSを行い全脳照射を省略、弱く推奨(83%)
・全身状態のよい最大径3cm未満、
個数10個以下、全腫瘍体積15ml以下、
髄液播種なしの場合、SRSを行い経過観察
全脳照射を回避できる可能性。
放射線療法による有害事象
(これらは、通常、インフォームド・
コンセントで署名する際の説明書に
細かく書いてある)
・全身倦怠感
(私もあった)
・放射線皮膚炎、色素沈着
(私もあった、程度の差はあれ必発)
・放射線肺蔵炎症
※1年以内に、2%程度の発生率
PMRT胸壁のみだと1%、リンパ節
領域追加で4%
・リンパ浮腫
※腋窩郭清した場合、
リンパ節領域照射を追加すると、
9%18%に増
・左乳癌の場合、心臓の有害事象(晩期障害
※最近の治療技術では大きく問題に
なることはない。
・わずかながら二次がん発症リスク増