■軽自動車は本当に危ないのか？

anond:20180821070403

データ厨です。

感情的に「軽自動車は危ない」と印象論で煽っていらっしゃるので、客観的にデータでみてみたいと思います。

結論だけ先に述べると

1. 軽自動車は事故を7%起こしやすく、普通自動車より約4割多く死ぬ。
2. JNCAPの新安全性能評価でも軽はやはり弱い。だがホンダのN-BOXとN-WGNは別格で、普通車の平均並。
3. 普通車でもスズキソリオX ・三菱デリカD:2は軽以下。

①衝突安全性について

サイズである程度衝突安全性能が決まってしまう。

軽自動車のボディの規格枠は決まっており、全長は3395mm、全幅は1475mmで、全車が共通になっています。最近の売れ筋モデルはそのほとんどが規格いっぱいのギリギリサイズで造られています。

小型／普通車の大きさはいろいろですが、5ナンバーサイズの小型車に属するコンパクトなホンダフィットは、全長が3990mm、全幅は1695mmです。フィットは小型車の中でも小さな部類に入りますが、軽自動車のボディはさらに全長が595mm短く、全幅は220mm狭いのです。

(中略)

そうなると単純に考えれば、衝突された時に衝撃を吸収する部分が小さくなります。

(https://kuruma-news.jp/post/91606より)

②JNCAPの新安全性能評価

独立行政法人日本自動車事故対策機構(JNCAP)が行なっている安全基準の評価がある。車のリアウィンドウに貼ってある星がついたシールの奴だ。

平成23年から新しい衝突安全性能評価を実施していて、乗員保護(100点)+歩行者保護(100点)+シートベルトリマインダー(8点)の208点満点で評価している。

こちらのサイトから全ての結果を検索して見ることができる

http://www.nasva.go.jp/mamoru/car_search

この基準は軽自動車でも普通自動車でも同じ方法が取られるので、純粋に比較することができる。

軽く探して見たけど、普通自動車と軽自動車の比較しているページはなかったので、自分で集計して調べてみた。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1hUtl1vCEcAqR4YG560-ISd091JTA9qwhr__3__x_Wb0/edit?usp=sharing

元増田は、乗っている人の安全のみを考えているので、乗員保護のポイントを中心に見ると良い。

平均をとると、そりゃあ排気量の多く大きい車が高くなるのは当たり前という結果となった。

軽vs普通という観点ではボロ負けなのだが、特定の車種において「この車は安全！」「この車はヤバイ」という例外がいくつか存在することが分かる。

まずはホンダN-BOXとN-WGN。こいつの乗員保護性能は88.8と87.35と、普通車の中堅程度の安全性能を誇っている。こいつらなら軽であっても大丈夫そうだ。インプレッサよりも安全というのは草。

逆にヤバイのが日産モコ X・スズキMRワゴン。59.87と平均を大きく下回り、マズそうだ。

また普通車でも、スズキソリオX ・三菱デリカD:2は、65.12と軽自動車以下なのでヤバイ。

③自動車事故の発生率

軽自動車は普通自動車よりも多く事故を起こしている

公益財団法人 交通事故総合分析センター発行の交通統計 平成28年版からデータを引用して述べる。

(http://www.itarda.or.jp/fl.php?file=tokei/mame28.pdf&n=1281)

平成28年度の普通自動車における交通事故は222,486件、登録台数39,320,933に対して、登録車1万台あたり56.6件に対し

軽自動車の交通事故件数は 131,909件、登録台数21,847,783に対し、1万台あたりの事故は60.4件と

7%程度多くなっている。

④死亡事故の発生率

軽自動車の死亡事故発生割合は、普通車より4割近く多い。

同じく交通統計 平成28年版よりデータを引用すると、第1当事者別死亡事故件数(p68)によると、

普通自動車の死亡事故発生件数は 1,097件、1万台あたり0.28件に対し、

軽自動車は 853件、1万台あたり0.39と、

普通車に比べ39%も多くなっている。

さいごに

これらの安全という指標をどの程度重視するかは人ぞれぞれだが、考慮するのならば軽か普通かという二項対立に囚われずに、車そのものの性能を見て選んだほうがいい。

あと感情論や印象論はやめろ。

追記

JNCAPの新安全性能評価は軽自動車に有利に働いてるという記事がブコメにありましたので追記します。

https://www.lineup-car.com/blog/13635.html

趣旨としては、後面衝突試験は軽自動車に有利なのでは、とのことです。

確かにJNCAPの衝突試験のページにもこう書かれています。

自動車の衝突事故における乗員傷害のうち、後面からの衝突が乗車中の事故形態の中で最も多く、その傷害のほとんどは頚部の傷害となっています。

　ここでは、後面衝突を再現できる試験機を用い、衝突された際に発生する衝撃（速度変化、波形等）をダミーを乗せた運転席又は助手席用シートに与えます。そのときの頚部が受ける衝撃をもとに、頚部保護性能の度合いを5段階で評価しています。

　この試験は同一質量の自動車が停車中の自動車に時速約36.4km で衝突した際の衝撃（速度変化時速20.0km）を再現したものです。ただし、この試験における評価と実際の後面衝突事故は、衝突速度が相違する場合、質量の相違する自動車に後面から衝突された場合や乗員の乗車姿勢・体格、座席の調整位置の相違により異なることがあり。

ですので、①自分より大きな車に追突された場合、②後部座席に人がいて追突された場合の２ケースに関しては、乗員保護評価よりも割り引いて考える必要がありそうです。

交通統計 平成28年版によると、当事者が自動車の事故件数は2,975件、車両相互における死亡事故数は1,144件、そのうち正面衝突が319件、追突が176件なので、

自動車死亡事故における追突の割合は約6%です。車両相互死亡事故における追突の割合は15%です。

これの普通車と軽自動車の割合の資料がないので追えませんが、軽は普通の1.25倍程度多いと書かれた記事がありました。

ですので、軽に有利になっていたとしても、数値的には数%程度の影響しかない気がします。

ツイートシェア

Permalink | 記事への反応(0) | 00:51