2025年、「アンダークラス」1000万人超の絶望

社会保障費の増大、犯罪の増加…社会全体の不安拡大へ

2018年8月21日(火)

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かつての日本は長く「一億総中流社会」などと言われてきたが、今やその影もなくなってしまった。格差拡大が進み“階級”が固定化してきている。そして、巨大な下層階級「アンダークラス」が新たに出現してきた。アンダークラスの平均年収はわずか186万円で、男性の未婚率は66.4%。その数はおよそ930万人だが、2025年には1000万人を突破するとみられている。
格差や貧困に背を向け、放置してきた結果、日本は今や「階級社会」と呼ばれる状態に (写真:PIXTA)写真はイメージ

 雇用情勢の改善により人手不足が深刻化する日本で、10年ほど前に話題となった「ワーキングプア」の問題は今や消えてしまったかのようだ。しかし、格差は「自己責任」の名目の下で放置され、日本は今や「階級社会」と呼ばれる状態になっている。

家族さえ持てない貧困

 早稲田大学教授の橋本健二さんの研究によれば、現代日本は下図に示すような5階級に分断されている。最大の問題は、貧困層を含む「アンダークラス」と呼ばれる階級が拡大の一途にあることだ。

出典:橋本健二さんの著書『新・日本の階級社会』から

 「アンダークラスの中心となっている非正規雇用の労働者は、正規雇用の労働者と比べると、不安定な状態に置かれており貧しい。貧困のために結婚して家族を形成することさえできない状況は、倫理的にも非常に問題です」

 アンダークラスの平均年収はわずか186万円、世帯年収でも343万円にとどまる。そして男性の実に3分の2が未婚だ。

コメント6件コメント/レビュー

新自由主義(Neoliberalism)の成れの果て。

寄付の文化が定着していない日本では、資産階級から税をキッチリと取るべきだった。

海外に逃げる説もあるが、彼らの殆どは海外では通用しない人材。 逃げ出す前にキッチリと取れば、すぐに戻ってくる。(2018/08/21 13:14)

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「2025年、「アンダークラス」1000万人超の絶望」の著者

柳生 譲治

柳生 譲治(やぎゅう・じょうじ)

日経BP総研 主任研究員

業界紙記者、雑誌編集者、建設作業員など様々な職業に就いた後、2001年日経BP社入社。日本経済新聞社デジタル編成局プロデューサー、日経ビジネス副編集長などを経て、2018年8月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

新自由主義(Neoliberalism)の成れの果て。

寄付の文化が定着していない日本では、資産階級から税をキッチリと取るべきだった。

海外に逃げる説もあるが、彼らの殆どは海外では通用しない人材。 逃げ出す前にキッチリと取れば、すぐに戻ってくる。(2018/08/21 13:14)

アソシエは一時期購読していましたが、ここ数年浅い記事が増えて購入を控えていました。
ビジネスパーソンが紙媒体を手に取ってでも読みたい、という本にレベルアップして、捲土重来を期していただきたいと思います。
アンダークラスの対策ですが、富裕層の財力を奪っても限度があるので、教育と福祉の底上げを地道にやっていくしかないと思います。
アンダークラスが頑張って中産に到達しても、再分配がきつくて手に入るものが少なければ、頑張ろうというインセンティブ自体が奪われますので。(2018/08/21 12:39)

橋本教授の案ですが、本来は大賛成の施策です。しかしながら、これを実際に行うと企業と資産家は再び日本から海外へ逃げて行ってしまいます。格差是正は全世界が結束して同時に行う必要があるのですが、現実には租税逃避地(国)への経済制裁すら行えないのが現状です。アメリカで革命が起こらない限り無理かもしれません。(2018/08/21 11:45)

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