2008年に活動を休止した
細美武士(Vo, G)、生形真一(G)、高田雄一(B)、高橋宏貴(Dr)の4人によって1998年に結成されたELLEGARDEN。バンドは2008年に活動休止するも、彼らの音楽はリスナーに愛され続け、多くの若手ミュージシャンにも影響を与えた。10年間別々のバンドで活躍してきた彼らは、今年の5月にELLEGARDENのオフィシャルサイトで突如ツアーの開催を告知。待ち望まれていた彼らの活動再開に、日本中のロックファンが喜んだ。ELLEGARDENはこのツアーで活動休止前に最後のライブを行った東京・新木場STUDIO COAST、そして宮城・チームスマイル・仙台PIT、ZOZOマリンスタジアムの計3会場へ。全公演にELLEGARDENをリスペクトする
雲の切れ間から夕陽が差す美しい光景に彩られながら、マリンスタジアムのステージに登場したONE OK ROCK。大きなハンドクラップに迎えられた彼らは「Taking Off」でこの日のライブの幕を切り、スケール感のあるメロディとすさまじい音圧で会場を震わせる。「Clock Strikes」を歌い終えたところでTaka(Vo)が「ELLEGARDENおかえりなさい!」と目を輝かせると、この日を待ちわびたオーディエンスも堰を切ったように一斉に喜びの声を上げた。その後も「I was King」「Mighty Long Fall」と曲が進むごとに、興奮は留まることなく高まっていく。アクトの終盤でTakaが「ロックバンドっていろんな時代にヒーローみたいなバンドがいて、俺らにとってはそれがELLEGARDEN。自分がつらいときとか悲しいときに彼らに救われたし、彼らを見て音楽で名を轟かせてやろうと思って日々がんばってきた」と述べ、「俺らもまだ観たいですよ、ELLEGARDEN。まだ終わってほしくないんですよ。今日しかないから言うけどさ、あともう1本くらいツアーやってくれないやってくれないかなと思ってます」と本音をこぼした。「We are」で彼は突然ステージを降り、スタジアムの外周を疾走。会場の後方に立ち、オーディエンスに囲まれながら熱く楽曲を歌い上げる。そして彼らがありったけの力を放つように「完全感覚Dreamer」をプレイしステージを終えると、会場は大きな拍手に包まれた。
ONE OK ROCKのステージが終わった頃、すでに日は沈み、スタジアムの上に広がる空には三日月が浮かび上がっていた。ステージの転換を経て、会場の照明が落ちるとオーディエンスの興奮は最高潮に。スポットライトが夜空を交錯し、スクリーンに映し出されるバンドのロゴをバックにELLEGARDENの4人がゆっくりとステージへ進み出た。地鳴りのような歓声に包まれながら、彼らは言葉を挟むことなくそれぞれの楽器の位置につく。観客の期待と緊張に満ちた空気の中、細美が歌い始めたのは彼が兼ねてより復活ライブのオープニングナンバーであることを述べていた「Supernova」。4人の鮮烈なサウンドが重なった瞬間に緊張感のある空気は張り裂け、スタジアムの前方から後方までが一斉に大きく揺れた。10年前に新木場STUDIO COAST公演で「絶対戻ってくる」と誓い、オーディエンスとの約束を果たしたELLEGARDEN。高橋の胸を打つようなツービートがスタジアムを揺らし、ステージでは細美が弾けるような笑顔で「幕張!」と叫ぶ。「Supernova」の演奏が終わると彼が生形を指差し、軽快なギターサウンドと共に「No.13」がスタート。観客は待ち望んでいた音に自然と体がつられるように、無我夢中で拳を振り上げた。
口ずさむように楽しげに「Pizza Man」を歌ったあと、細美は「こんばんは! ELLEGARDENです!」と誰もが聞きたかったであろう言葉を口にし、客席を飛び交う声に「ただいま!」と元気よく返した。高橋がスティックを振りかざし、ドラムのカウントと共に繰り出したのは「Fire Cracker」。その後も間髪を入れずに「Space Sonic」、そして胸をくすぐるようなアルペジオで始まる「高架線」とリスナーに深く愛され続けてきたナンバーが演奏され、1曲ごとに会場が大きく沸く。細美は「俺たち10年もかかると思ってなかったから、長くなっちゃって悪かった。本当に」と観客に語りかけ、「でも、今日来てくれてありがとう」と柔らかな表情で告げた。
「懐かしいこの曲をいきましょう」という細美の前置きと共に、ファンにとって聴き馴染みのあるスローテンポのギターリフでスタートしたのは「Missing」。細美は両手を広げ、会場を見渡しながらオーディエンスの大合唱を浴びていた。キャッチーなギターリフと共にプレイされた「スターフィッシュ」、センチメンタルなメロディラインが美しい「The Autumn Song」が続き、「風の日」では細美が「生形!」と叫ぶと同時に生形の力強いギターソロが場内に響き渡る。そして細美はゆっくりと言葉を選びながら「多分俺たちはこうやってスタジアムでライブをやれるようなロックスターになりたいと思ったことは一度もないんだわ」と話を切り出し、「だけど、ワンオクから一緒にやろうっていう話をもらって、一日だけスタジアムでライブをやろうって2年くらい前に決まって。その日から実は毎日俺は考えてたんだけどさ、俺の人生で今日たった一回ぽっきり、ロックスターやってみてえなって。今晩くらいはロックスターやってみようぜ?」とメンバーに視線を向けた。
細美は会場を見渡し「半分くらいのやつは初めて会うよね。『父ちゃん母ちゃんの車の中で、小学生の頃よく聴いてました。高校生になったらライブに行こうと思ってたら、活動休止してました』って。これが俺たちELLEGARDENなので、今ひとつお見知りおきを。よろしくお願いします」と初めてELLEGARDENのライブに来たファンに言葉を送る。そして「そして10年前と変わらず綺麗事も言えず、仲間から浮き狂ってるようなバカども。お前らオールドファンにこの曲を捧げます」と述べ、「Middle Of Nowhere」を思いを込めるようにじっくりと届けた。
ライブの中盤でELLEGARDENは、高速ツービートが打ち鳴らされる「Surfrider Association」や「Marry Me」といったナンバーを演奏した。「Lonesome」ではメンバー同士目を合わせながら音を鳴らす姿がスクリーンに映し出され、オーディエンスの温かい眼差しが向けられる。「金星」では楽曲を歌い終えた細美が夜空を見上げ、「いい歌詞だな」と感慨深げにつぶやく場面もあった。「サンタクロース」「モンスター」を経た本編最後のMCではメンバーが1人ずつ挨拶をする流れになり、生形が「本当に10年間待っててくれてありがとう」と言葉にする。高橋が「この10年間、もしかしたらELLEGARDENが再開することはないんじゃないかって、俺は個人的にそう思ってたんだ」と明かし「初めて見た景色なんだけど、みんなの顔を見てると懐かしい気がしてきて。また会えてうれしい。本当にありがとう」と観客との再会を喜ぶ一方、高田は「この10年間、僕はほぼ初台WALLでしかライブをやってこなかったので。こんなに人がいっぱいいるところでライブをやって、勘違いしちゃってるかもしれないです(笑)」とマイペースに語りオーディエンスを和ませた。「じゃあな!」と細美がフランクに別れを告げ、彼らが勢いよく演奏し始めたのは「Red Hot」。その熱を保ったままさらに加速するように彼らは「Salamander」「ジターバグ」を連投し、スタジアムをライブハウスのごとく熱狂の渦へと導いた。そして高橋がスティックを高く掲げ、本編の最後に届けられたのは「虹」。細美は何度も「ありがとうございました!」と力いっぱい叫び、最後までオーディエンスに感謝を伝えた。
アンコールを求める観客の盛大なハンドクラップに呼ばれ、ELLEGARDENは再びステージへ。細美はこの日が73回目の終戦記念日であることに言及したあと「この3分、お前らの声をもっと聞かせてくれ」と呼びかけ、「Make A Wish」をそっと歌い始める。場内に約3万8000人によるシンガロングが響き渡り、大きなスタジアムが1つになる光景が生まれた。夜空の下「月」が真っすぐに届けられ、メンバーがステージを去ったあとも観客の歓声は鳴りやまない。みたびステージに姿を見せた4人はこの日を締めくくるナンバー「BBQ Riot Song」を勢いよく放った。細美が「ONE OK ROCKと、ELLEGARDENでした!」と晴れ晴れしい表情で叫び、最後の一音が鳴らされたと同時にスタジアムの上空に大きな花火が打ち上がる。観客が美しい光景に見惚れている間にメンバーは静かにステージの袖へと去っていき、深い余韻を残して約10年ぶりのツアーの幕は下ろされた。