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「最果てのパラディン」人気上昇 稲沢の文筆家・柳野さん紹介展

柳野さんの作品やサイン色紙が並ぶ=稲沢市祖父江町の祖父江の森図書館で

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 稲沢市祖父江町の文筆家、柳野かなたさん(ペンネーム)を紹介する展示が、地元の祖父江の森図書館で二十四日まで開かれている。柳野さんは三年前から小説投稿サイトに掲載を続けている初の作品「最果てのパラディン」が若者を中心に人気を集め、一昨年に出版社から単行本を出して小説家としてデビュー。読者評価のランキングで一位を獲得したこともあり、漫画化もされた。柳野さんは「一人でも多くの人に楽しんでもらいたい」と話す。

 最果てのパラディンは、人里離れた廃虚でミイラや骸骨に育てられた人間の子ども「ウィル」が、魔獣らとの戦いを繰り広げながら成長していく冒険ファンタジー小説。ウィルには挫折から立ち直れなかった苦い前世の記憶があり、「いつからでも生き直せること」「懸命に生きることの大切さ」などがテーマになっている。

 柳野さんは三十代で、本名や性別などは公表していない。南山大で生命倫理などを学び、現在は家業を手伝いながら執筆している。「子どものころから空想して物語を考えるのが好きだった」といい、小説を書いている友人に触発され、二〇一五年春ごろから同作の投稿を始めた。

 「廃虚に少年がいて、周囲に(ミイラなどの)不死者がいる様子」のイメージが浮かび、そこから構想を練った。数日に一度、五千文字程度を更新し、同年六月初旬に読者評価の日ごとのランキングなどで一位を獲得。十~二十代の若者向けのライトノベルを中心に手掛けるオーバーラップ社(東京都)から声が掛かり、一六年三月に第一巻を発刊した。その後、四巻まで刊行されている。

 同社は幅広い層の人から評価されることを見込んで漫画化したほか、海外の出版社から英語や韓国語への翻訳のオファーもあったという。担当者の岩田一成さん(31)は「ネットで流行していた『転生』(生まれ変わり)を題材に取り入れつつも、筋書きは主人公が出会いと別れを繰り返しながら成長する王道ファンタジー。まるでその世界を見て来たのかと思うぐらいの圧倒的な筆力で、読み応えがある」とPRする。

 展覧会では小説のほか、柳野さんのサインや図書館の利用者に向けたメッセージなどが並ぶ。

 (問)祖父江の森図書館=0587(97)1000

 (秦野ひなた)

 

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