韓水原は「安全性には問題ないが経済性で問題」との理由で月城原発1号機(慶尚北道慶州市)の早期廃炉を決めた。その一方で韓水原はこの月城1号機について「稼働率が54.4パーセント以上になれば経済性に問題はない」と認めている。月城1号機の実際の稼働率は2015年には96.7パーセントを記録したこともある。しかし今後54.4パーセント以下に低下することが見込まれるため、これまで7000億ウォン(約690億円)をかけて補修工事を行ったにもかかわらず、これを廃炉にするという。企業名からして水力と原子力になっている韓水原が、突然再生可能エネルギーに力を入れると言っては右往左往しているのだ。経営が順調だった鉄道会社が突然バス会社に転身するようなものだ。
このように普通では考えられない一連の事態は、現政権発足後に国が掲げた独断的な脱原発政策によって始まった。その後、環境破壊など様々な影響が出ても国は顔を背けている。このままだと原子力分野の人材も養成できず、原発建設に必要な部品などを供給する関連産業も崩壊するだろう。そうなれば将来別の政策を掲げる政権が発足し、再び原子力政策に力を入れようとしても、人材もなく部品も供給できないようでは非常に難しくなるはずだ。国の将来を左右するエネルギー政策を、任期がわずか5年しかない時の政権が何の根拠もない直感だけで勝手に決めてしまっている。これがこの国のエネルギー政策の実態だ。