韓国原子力学会が韓国リサーチに依頼して行ったアンケート調査によると、回答者の71.6パーセントが原子力発電に賛成していた。反対は26.0パーセントだった。しかも原発に賛成する声は保守、進歩(リベラル)、中道といったイデオロギーとも関係なかった。さらに原発の拡大を求める声は37.7パーセントで、現状維持の31.6パーセントを上回っていた。原子力学会が依頼して行われたアンケート調査ではあるが、国民の意向をある程度反映しているのは間違いないだろう。
韓国電力は昨年上半期に1兆2590億ウォン(約1240億円)の利益を出していたが、現政権による脱原発政策の影響で今年上半期には1兆1690億ウォン(約1150億円)の赤字に転じた。理由ははっきりしている。発電にかかる費用が安い原発を、天然ガスなどの高価な発電に切り替えたからだ。韓国電力の子会社で発電所を運営する韓国水力原子力(韓水原)も同様で、今年上半期の決算では5500億ウォン(約540億円)の赤字となった。韓水原は業績の公表をはじめた2002年以来、これまで1度も赤字を記録したことがない。好調だった公企業が脱原発政策によって業績に大きな打撃を受けているのだ。
これは今年だけで終わらないはずだ。韓国政府は今後100兆ウォン(約10兆円)を投じ、2017年には11.3ギガワット規模だった再生可能エネルギーによる発電施設を30年までに58.5ギガワット規模にまで増やす計画だ。しかし太陽光発電や風力発電は稼働率を15パーセント程度に維持することさえ難しく、これは政府も認めている。そうなるとこれを補うには30年まで44.3ギガワット分の液化天然ガス(LNG)の発電所を維持しなければならないが、言うまでもなくLNGは非常に高価だ。今は電気料金の値上げを政府が認めていないが、いずれにしても最終的には電気料金が引き上げられ、国民や企業にその負担が押しつけられるのは間違いない。