金農 日大三に2-1 農高で戦後初 きょう決勝

決勝進出を決め、笑顔で手を上げ一塁側アルプス席の観客らに応える吉田投手(左から2人目)ら金農ナイン(20日、兵庫県西宮市で)

 農業高校の悲願まであと1勝──。第100回全国高校野球選手権大会で準決勝に進んだ金足農業高校(秋田)は20日、日本大学第三高校(西東京)に2―1で競り勝ち決勝進出を決めた。秋田県勢では第1回大会(1915年)で準優勝した秋田中以来103年ぶり、農高では、戦後初の快挙となる。21日の決勝で春のセンバツ優勝校、大阪桐蔭高校(北大阪)と対戦する。1失点7奪三振と力投した吉田輝星投手は「全国の農業高校の代表として絶対優勝を勝ち取りたい」と力を込めた。

 快進撃は続く。金足農は1回に左前打で1点を先制し、5回に中前打で加点。吉田投手は8回に初めての失点を喫した。9回も1死一、二塁のピンチを迎えたが、食い下がる日大三の勢いを冷静に止めた。最後は中飛に仕留め、完投した。

 一塁側アルプス席には、「雑草軍団」と書かれた紫のTシャツを着た1000人規模の応援団が詰め掛けた。試合前から「かなのう」コールの大声援がこだました。吉田投手が最後の打者を打ち取ると、農業関係者からは「やったー」と歓声が上がった。跳びはねるなど大興奮。ボルテージは最高潮に達した。

 紫のメガホンをたたき目頭を熱くしたのは、吉田投手の祖父で同県潟上市の吉田理正さん(70)。「最高。まさかこんなことになるとは……。あすは勝ち負け関係なく悔いなくやってほしい」とエールを送った。
 

「農作業どころじゃ…」


 農家も熱い視線を送った。「農作業どころではない」と、車で甲子園球場に駆け付けたという同市の米農家、佐藤眞智子さん(61)は、勝利を見届け、「感動した。わが子のように応援した」と興奮冷めやらぬ様子だ。

 同校の渡辺勉校長は「有言実行した吉田は素晴らしい。深紅の大優勝旗を秋田に持ち帰ってほしいが、けがが心配。無事に大会を終えてほしい」と話し、選手の体を気遣う。

 34年前の第66回大会でべスト4進出時の監督で現在、秋田県五城目町で農業を営む嶋崎久美さん(70)は、大阪桐蔭戦を踏まえ「強豪だが同じ高校生ということを忘れないでほしい。野球の基本を忘れず戦えば勝機は見えてくるはず」と激励した。

 決勝は21日午後2時にプレーボールの予定。(前田大介) 

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