会社の本当の質はトラブル発生時に分かるもの。そんなことをよく言います。
ドイツのナショナルフラッグキャリアであるとともに欧州で最大級の航空会社、ルフトハンザ航空。他社と比べ比較的高い運賃設定のかわりに高いサービスレベルを維持している航空会社とも知られています。
そんな信頼料もあって少し割高な航空券を購入し利用する予定でしたが、実際にトラブルに巻き込まれ、その際の対応があまりに無責任でずさん。
怒りを通り越して呆れきった対応をされたので、今後ルフトハンザ航空の利用を考えている人に向け考え直したほうがいいのではないかというメッセージも込めてシェアしたいと思います。
目次 [表示]
1. 悪夢の予感
2018年7月27日、LH2481便。ロンドン発ミュンヘン行き。
予定ではミュンヘン到着後1泊した後、翌朝のミュンヘン〜サラエボ便に搭乗し最終目的地へと向かう予定でした。
いつもと何か違う、というのはチェックインの時にすでに感じました。
普段は荷物をベルトコンベアに乗せ、バーコードを付けたのち自動で運ばれていくはずのチェックイン荷物の取り扱いですが、この日はなぜか荷物1つ1つを空港係員がカートに乗せ搬出。
これがすべての悪夢の始まりです。
2. 悪夢1. フライトキャンセル
20時25分出発予定のLH2481便。
搭乗ゲート前で待っていると20分遅延の案内。その程度はよくあるな、と思いつつも30分が経過し一向に何のアナウンスもなし。
その後空港混雑のため、搭乗開始時刻が21時半ころになるとのアナウンス。すでに1時間以上ゲート前で待っている客もだんだんと疲れが見えてきた中、不穏な動きがゲート前の搭乗客によって明らかにされます。
リアルタイムで飛行機の運航情報を位置情報などとともに公開しているフライトレーダー24というサイトを見ていた客がボソッと一言。
「出発時刻明日の11時になってんだけど」。
この客の周辺にいた人がゴソゴソし始め、そこから約10分後、公式にフライトキャンセル、翌日朝11時に延期するとの放送がかかりました。
この日ミュンヘンにいく最終便ということもあり、ゲート前はちょっとしたパニック状態。係員に詰め寄る人もいるくらい荒れた展開となります。
その後、搭乗客はセキュリティや入国審査を逆走し、チェックインエリアのルフトハンザ航空チケットカウンターで振替等の手続きをするために誘導されます。
この時22時20分。
3. 悪夢2. 荷物の屋外放置とバゲージロスト
この時空港の外を見るとびっくり。なんと数千個という荷物が空港の外に投げ出されて放置されています。
このエリアは完全に空港の外、誰でも自由に歩いていけるような場所で、盗ろうと思えば盗り放題な状態。
空港警備に聞いた話によればわずか3時間の間に6000個の荷物がロストとなり、このように外に放置されたんだとか。
すべてルフトハンザ便、そして現在はルフトハンザ傘下になってしまったスイス航空とオーストリア航空のもの。
そして、想像に難しくありませんが、私たちが預けた荷物もこの中。探したければ自由に探しても構わないと言われましたが、量が尋常ではなくそんなことは不可能。
飛行機が飛んでないにも関わらず、預入荷物がロストするというありえない展開になります。
しかも、全チェックイン荷物がロストという異常事態。
4. 悪夢3. 無責任すぎるルフトハンザ社員
私たちがルフトハンザのチケットカウンターに着いたのは22時20分頃。夜間ということもあり、チケットカウンター窓口で対応していた係員(委託職員)は2人。
そこに並ぶ200人以上の客。
一方でロンドンヒースロー空港はルフトハンザの利用客が非常に多く、ドイツから来たルフトハンザ正規職員も複数名勤務しています。
そんなルフトハンザ職員に多くの搭乗予定客が助けを求める中、ルフトハンザの社章をつけた社員から冷酷な一言が告げられます。
「サービスカウンターは23時に閉まる。」「明日朝4時にカウンターが開くから再度戻ってくるように。」「ヒースロー空港周辺のホテルは満室。ターミナル5に寝袋があるからそれを希望する人は申し出るように。」
「ロンドンに家がある人は帰宅するように。」「ない人は寝袋。それしか提供できない。」
まさかの宣告に乗客一同が半分怒りと呆れで社員に詰め寄ります。
中には「3歳と5歳の子供に寝袋で寝ろというのか」と抗議する家族連れも。火に油を注ぐとはまさにこのことの一言がこのルフトハンザ職員から発せられます。
「子供も大人も関係ない。寝袋を取るか取らないかはあなた次第だ (up to you)。」
これに対し周辺の客もかなり大きな怒りの声をあげ、まるでちょっとした暴動現場のようになります。
その際、委託職員と空港警備がこのルフトハンザ職員に少し窓口のオープン時間を延ばすよう助言しますが、この職員は必要ないと言わんばかりのジェスチャーをし、それに反応したアメリカ人旅行者が怒鳴りつけるという場面も起こりました。
そしてこの社章をつけた無責任なルフトハンザ社員は、2名のチケットカウンターにいる委託職員と搭乗客を放置したまま、23時どころか22時40分を前にそそくさと現場から消えました。
スポンサーリンク
5. 悪夢4. 置き去りの搭乗予定客
結局その後宣言通り23時にチケットカウンターはクローズ。
ホテルチケットもミールクーポンも、振替便の手続きや補償の件など一切の説明がないまま多くの客が夜中の空港に取り残されました。
しかもチェックインした荷物もただ屋外に放置されているだけで戻ってきていません。
荷物なし、周辺のホテルなし、空港からロンドン市内へと戻る公共交通機関もすでに終了している時間。
途方にくれた客だけが空港ターミナルに取り残され、人々はルフトハンザへの怒りと呆れを次々に口にします。
6. 悪夢5. 無茶苦茶な要求
取り残された我々が言われたのは、翌朝4時に戻ってくるように、とのこと。23時までなんの情報やサポートを受けることもなく空港に取り残され、指示されたのは朝の4時に戻ってこいとの信じられない要求。
結局朝一番といっても予想通りカウンターは大混雑。
実際にカウンターの職員と話せたのは、並び始めてから3時間が経った後でした。
さらに悪いことに、この日の午前中にミュンヘン空港で不法侵入事件があり、フランクフルト空港でもトラブル。
結局この日の午前中はほとんどすべてのルフトハンザ便利用客が予定通り出発することができず、チケットカウンターは過去に見たことがないような長蛇の列ができました。
7. 悪夢6. 永久に不通なコールセンター
前日の荷物トラブルや振替トラブルに加え、翌日のミュンヘン、フランクフルトのトラブルも重なり、ルフトハンザのカスタマーセンターは英国、ドイツ国内のものいずれも永遠に不通。
事件発生後、補償の件などでひたすら電話をしましたが一週間の間一度も電話が通じることはありませんでした。
8. 悪夢7. メール放置
預けた荷物はどうなってるのか、補償問題はどうなっているのか、カスタマーセンターにメールを出しました。
自動返信メールで48時間以内に返信しますので少しお待ちください、という旨。
結局メールもその後10日間放置され、一切の情報を受けることはありませんでした。
9. 悪夢8. 責任転嫁と補償拒否
結局そのような状況であったものの、何が何でも予定した日のうちに最終目的地サラエボへつく必要があったため、スカイスキャナーでクロアチア航空が運航するロンドン〜サラエボの航空券を別途6万円で購入。
その後、ルフトハンザからも公式に振替便の案内が来ましたが、時すでに遅し。6万円の自費出費とした後でした。
EUの規約ではフライトキャンセルの場合距離に応じて一律の補償金を受けられることになっています。今回は短距離ということで、その申請可能額は250ユーロ。
そのことについて記された「EU Passengers’ right」の案内用紙も空港で渡されていました。
それでも完全に赤字ですが、ないよりはマシということで補償の件をメールで問い合わせたところ、最初の送信から2週間近くが経ち「フライトキャンセルの理由は天候不順なため航空会社に遅延の責任はなく、補償もしない」との衝撃の回答が来ました。
結構となった日のロンドンは気温30度に迫る快晴、雨など一粒とて降っていません。
もともとフライト遅延の理由は、到着便遅延が原因で空港混雑による発着制限にかかったため、そして荷物トラブルだったはず。
わずかこの2日の間に数十便がキャンセルや遅延となりルフトハンザ的にも経済的ダメージが大きかったのは想像できますが、快晴だった日に突然天候不順などという後付けの理由がつけられ、補償を免れようとするルフトハンザの態度に呆れるばかりです。
10. その後
ロストした荷物に関しては不幸中の幸い、実際にロストした日から数えて13日後に自宅に到着。
一方、ルフトハンザ航空はフライトキャンセルについての補償を責任転嫁とも言える方法によって拒否しました。
現在荷物のロストに関わる追加費用と、キャンセルで空港置き去りになった件で利用したタクシー代は別件で請求中ですが、それについてもルフトハンザはメールの返事をして来ず、今後どうなるかは定かではありません。
11. 最後に
いままで格安航空会社を含め30以上の航空会社を利用し、それなりに多くのトラブルに遭遇してきました。
ですが、その中でも今回のルフトハンザの対応は過去最悪。悪名高い格安航空会社イージージェットのフライトキャンセルの時のほうがホテルバウチャーに追加して一律300ユーロ現金をその場で支払ったりとよほどマシな対応をしてもらいました。
同じく格安航空会社Flybeでは、それこそ天候が原因のキャンセルだったにも関わらず空港の営業時間終了後も職員総出で対応してくれたことについては別の記事を書いています。
誤解がないように言いますが、フライトキャンセルやバゲージロストに怒っているのではありません。これはいつどこでも起こりうることです。
実際現場にいて私を含め皆が怒っていたのは、当日の搭乗客をあまりにバカにしたような対応をしたルフトハンザの職員。そしてその後のあまりにお粗末な対応です。
夜遅い時間でのフライトキャンセル、にも関わらず代替便の案内はおろか、宿泊や交通手段の割り当てをすることもなく、夜中の空港に100人以上の乗客を放置し、朝4時に戻ってこいと捨て台詞だけ吐いて帰ったルフトハンザ社員。
相手が子供だろうが寝袋が嫌なら、あとは知ったことはないというふざけた対応。
トラブル時にもかかわらず永遠につながらないコールセンターとメール対応。そして最後には補償を免れるための責任転嫁。
他社よりも高い運賃設定をしつつもその分高いサービスを唱っているルフトハンザですが、実際にはただ社員が自己保身をするだけで乗客のことなど何ひとつとして考えていない無責任航空会社であるということがわかりました。
この航空会社に高い航空券を払って得られるものはなんなのでしょうか。2度と使わない、それを覚悟するには十分すぎる高すぎる授業料でした。
今回のキャンセル&荷物のロストによって私費で追加して払うこととなった費用は9万円ほど。さらにもともと宿泊予定であったミュンヘンのホテルもすべて当日キャンセルとなりました。
この出来事からもうそろそろ1ヶ月、未だにルフトハンザ航空から補償はもちろん謝罪さえもありません。
酷すぎ!お疲れになった事とお察しします。
大変勉強になりました。
ルフトハンザは使いません。一度は乗って見たいって思ってましたが辞めます。ありがとう
まだ解決していないので疲れる日々は続きます、、、